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  群馬の自然 6号            群馬県立聾学校理科室発行  2009年3月15日
 
 ダーウインの予言 −長いキョを持つランの花と長い口吻を持つ蛾の話−
 
 昨年度末、天田さんが、2年の生物の授業で特別講義をしました。テーマは、進化論でした。
 その中で、ダーウインが予言したことで有名なラン科の植物 アングラエカム・セスキペダレ(Angrecum・secquipedore(Large type 1)の実物を持ってきて見せてくれました。ちょうど花が咲いているということで、わざわざ東京から持ってきてくれたものです。
 このランの花は、キョと呼ばれる突起が異常に発達していて、突端に蜜が入っているという不思議なマダガスカルの植物です。亜種によって、このキョの長さは様々で、その1つ1つに受粉させる蛾が存在するのだそうです。
 このアングラエカム・セスキペダレの場合は、ちょうどこの長さの嘴を持つ蝶か蛾がいるに違いないというダーヴィンが予言し、その予言が約40年後に、実際にこのキョに合うような長い口吻を持つ蛾 キサントパンスズメガ が発見されたということです。
 蛾の実物大の写真も見せてくれましたが、実に長い口吻で、びっくりします。この口吻を器用に操って蜜を吸いますが、その間にランの花の方はうまく受粉するという仕組みになっています。驚くべき自然の仕組みです。この予言とその的中は、進化論をさらに確信させるもとなりました。
 ネットで調べたら、2008年に東京都写真美術館で「今森光彦写真展」があり、その「昆虫4億年の旅」に、ちょうどこの蛾がこのランに受粉している 写真が出ていました。興味ある方は、ネットを引いてみてください。
                                                  
                                                    黒田健次
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