高校生の物理 重さ6 重さと三態 M-95 No290
2011年6月9日(木)
先生 水のような状態を何というんだっけ。
和美 液体でしょ。
先生 水の他で液体のものを言ってごらん。
和美 醤油、ソース、コーラ、お酒…。キッチンにはたくさんある…
先生 そういう例は、みんな、水に何かが溶けている状態のものだね。もともと、液体のもを言ってごらん。
一平 石油、アルコール、シンナーなんかそうでしょ。
先生 石油も多くのものが混ざっているし、アルコールといってもたくさんの種類があるし、シンナーはいろいろなものをまとめた呼び名なのだよ。
和美 難しいのネ。
先生 アルコールの代表にエチルアルコールがある。水と混ざったものがお酒だといってもよい。その水とエチルアルコールをとりあげてみよう。水を冷やしたらどうなるかな。
一平 凍るでしょう。
和美 0度で氷になるんでしょ。
先生 エチルアルコールはどうだろう。
和美 エチルアルコールは氷になるかしら?
一平 エチルアルコールの氷? ならないだろう。もし、エチルアルコールの氷ができれば、氷砂糖のような氷酒ができちゃうよ。氷砂糖のように氷酒をしゃぶりながら酔っぱらっちゃったりして…。
先生 面白い発想だ。でも、エチルアルコールも氷になるんだよ。液体が凍って氷になることを凝固という。氷というのは液体の凝固の状態をいうんだう。
一平 エッ!それじゃあ、鉄も木もプラスチックも氷なの?
先生 そう言えないこともないね。
和美
ちっとも冷たくないじゃない。
先生 水の氷は冷たいけど、冷たくない氷があってもいいじゃないか。
和美 冷たくない氷があってもいいけど、気持ち悪い。
先生 言葉には語感というのがあるからね。ところで、さっき一平くんが言ったエチルアルコールは温度がとても低くないと凝固しない。ついでに言うと、凝固する温度をその物質の凝固点または融点といって、エチルアルコールの融点は−114度だ。
一平 それじゃ、エチルアルコールの氷を口に入れたら、口の中が変になっちゃう。
和美 マイナス114度ってすごいんでしょ!そんなのつくれるんですか。
先生 空気中にある窒素を液体にした液体窒素が比較的簡単に手に入るので、それで、エチルアルコールを凝固させることができるのだ。
一平 それで、液体窒素の温度はいくらなんですか。
先生 −196度くらいだね。
和美 −196度の液体窒素で、−114度のエチルアルコールの固体をつくるの、見てみたいナ。
一平
やってみたいナ。
先生 そのうちに見る機会があると思うよ。物理か化学の実験で。最近では、中学でもこの実験をやるようになった。
一平 ぼくたちが中学の時にはやらなかった。
和美 −196度の温度なら、たいがいの液体が固体になってしまうんでしょ。
一平 それより、たいがいの気体が液体になってしまうんではないかな。
液体を通り越して固体になってしまうかもしれない。
先生 物質はどんどん温度を下げていくと、気体→液体→固体と変化していく。
和美 それじゃあ、どんどん温度を上げて行くと、固体→液体→気体と変化していくんですね。
先生 そうはいかない物質もある。例えば、砂糖のように、固体の砂糖を熱していくと液体になるが、更に熱していくと、砂糖が砂糖でなくなってしまって、気体にはなりにくい。
和美 先生、砂糖のにおいってあるでしょ。あれは、砂糖の気体を、においとして感じるんではないですか。
一平 お祭りでは、綿菓子のにおいが印象的だものね。
先生 そうだね。砂糖の気体も存在するかもね。だけど、綿菓子のにおいは、砂糖が分解した物質のにおいかもしれない。
和美 気体の砂糖があったら、甘いんでしょうか。
一平 気体の物質に味があったら面白そうです。食塩の気体がしょっぱかったり…
和美 お料理の概念が変わってきそう!