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掲示板 石井信也
理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
高校生の物理 重さ5  重さと水       M-94   No289     2011年6月9日(木)
 
先生 水の中にいろいろな野菜を入れたらどうなるかな。
和美 お料理をするからわかります。ニンジンやジャガイモは水に沈むけど、ナスは浮いてしまいます。水より重いものは沈み、軽いものは浮きます。
一平 スイカはとても重いけど水に浮くよ。
先生  このような時に使う<重い>という言葉は密度のことで、同じ体積で比べたときの重さのことをいうのだ。全体の量が多いか少ないかに関係しないんだね。
和美 それはわかっていても、ビンに入っているてんぷら油の中に、1滴の水が沈んで行くのは不思議な感じがします。
先生 水にものが浮いた時には、その重さがどうなるかを考えてみよう。
和美 浮くというのは重さがなくなるということでしょう。
先生 さあ、そうかな。具体的な例で考えてみよう。300gのビーカーに200gの水を入れて台秤に乗せると、重さは500gを指すだろう。その水に50gの木のブロックを浮かせる。ただし、そのことで、水はこぼれない程度に入っているとする。重さはどうなるかな。
和美 木は水に浮いているので、その重さは台秤にはかからないから、ビーカーと水の重さだけが、台秤に表れるので、500gの重さは変わりません。
一平 でも、木が浮かぶと水面が上がるんだから、水の量が多くなったことになるんじゃないかな。
先生 台秤の示す値はどうなると思う?
一平 はじめの重さの500gよりは重くなると思います。510gとか…
和美 木は水より軽くて、水に浮いてしまうんだから、木の重さは0gになるんじゃない。
先生 では、実験してみよう。この木を軽い糸で縛って、ばね秤に吊してみよう。ばね秤をスタンドに吊して木がビーカーの水の上に来るようにし、木が水に触れないように位置させる。そして、両方の秤の目盛りを読むことにする。
和美 当然のことですが、台秤にはビーカーと水の重さ500g、ばね秤には木のブロックの重さ50gが表れています。
先生 ばね秤の位置を下げて行って、木が少し水に触れる程度にしよう。さて、秤の目盛りはどうなっただろう。
一平 台秤の目盛りは増えて、ばね秤の読みは減っていくよ。
和美 ばね秤の読みが減った分だけ台秤の読みが増えているみたい。
一平 ほんとだ!台秤は520gで、ばね秤は30gだ。
先生 もっとばね秤を下げてみよう。
和美 台秤はもっと増え、ばね秤はもっと減ります。
先生 木を吊っている糸が緩むところまで、ばね秤を下げるとどうなるかな?
一平 ばね秤の目盛りは0になって、台秤の目盛りは550gとなった。ちょうど、木の重さだけ増えました。
先生 薄いポリエチレンの袋にいっぱい水を入れたものを、この木片の代わりに使ってみよう。ポリエチレンの袋は軽いから重さは0とみてもさしつかえない。袋には空気は入らないように注意しよう。さて、ばね秤を下げてくるとどうなるかな。
一平 ポリエチレンの袋が全部水の中に入ると、糸が緩んでばね秤の読みは0になるでしょう。
和美 水の中では水の重さは0になるんですね。その分だけ台秤の読みは重さが増えます。ポリエチレンの袋の水をビーカーにあけたのと同じだ。
先生 水の中のポリエチレンの袋の水の重さが0になるのは、重さがなくなってしまうのかな?
和美 水の重さはなくならないけど、水の重さだけ軽くなるんですね。
一平 少しわかってきたぞ! 水の中に置かれた袋の水は、水の中にある袋の水の分だけ軽くなる。水の中の木も、水の中の木の体積分の水の重さだけ軽くなる。水より木の方が軽いと、その分だけ浮いて水の外に出てしまうんだ。
先生 ポリエチレンの袋に空気が入らないようにして、水を入れてから輪ゴムで閉じて、これを水槽に入れと、袋は水槽の中のどの位置にも止められる。次に、ポリエチレンの袋の中に半分くらい水を入れ、後は空気を入れてから輪ゴムで閉じる。これを水槽に入れてみよう。どうなると思うかな。
和美 袋の中の水と水槽の水面が一致するんでしょう。
一平 この実験はお風呂でできますね。水に浮いているものの全部の重さが、水の中にあるものの体積と同じ体積の水の重さと同じになるんだ!
和美 そのようになるところまで、ものが水の上に出るってこと…
先生 そういうことだね。沈んでいる部分の体積の水の重さということは、その物体が押し退けた水の重さといっても同じことだね。
一平 そうもいえますね。
先生 押し退けたという意味の<排除した>という言葉を使うと、“水に浮くものの重さは排除した水の重さに等しい”ことになる。
一平 それでは、船の重さは排除した水の量で測ることができますね。
先生 そうだよ。それを排水量といって、何万トンのタンカーなどと呼んいる。
和美 そういわれても、鉄の船が水に浮かぶなんて、感動ですね。
先生 いつか、飛行機に乗ったとき、前に並んでいた人が“この鉄が空に浮くなんて…!”と言っていたよ。鉄というのは金属という意味だろうけどネ。