理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
高校生の物理 重さ4   重さと空気  M-93   No288      2011年6月2日(木)
 
先生 固体と液体のものには重さがあることはわかったね。
和美 石の重さや水の重さは、手に持って感じたこともあるし、秤で重さを測ったこともあります。
一平 空気の重さは感じたこともないし、測ったこともないね。
先生 どうすれば空気の重さを感じることができるかな?
一平 空気って持てないから、重さは感じられないでしょう。
先生 それじゃあ、秤で測ることを考えてみよう。
和美 プラスチックの袋に入れて、秤に乗せたらどうかしら。
一平 プラスチックの重さは別に測っておいて…
先生 具体的にやってみよう。ここに、セイタカアワダチソウの茎を乾燥させた棒がある。棒の両端に針金のフックをつけてから、棒のほぼ中央を細い糸で縛って棒が水平になるようにする。糸は画鋲で、かもいから下げて置こう。空気の入っていないプラスチックの袋を輪ゴムで縛って、両側のフックに下げて、棒がバランスするように調整しておく。
和美 片方の袋をフックから外して、中に空気を入れてからもう一度もとの位置に掛けるんですね。
一平 空気を入れるときに、口で入れてはいけないんでしょう。
和美 湿気が入るから?
先生 それに、プラスチックの袋がパンパンになるほど空気を入れないようにしよう。
一平 ではやってみます。
和美 あれ!空気を入れた方が下がると思ったがそうならない。
一平 空気中では、空気の重さは量れないのかな。
和美 そういえば、水の中では水の重さは測れませんね。
一平 それじゃあ、真空の中で測れば空気に重さがあるかどうかがわかるのかな。
和美 でも、そんなことしたら、袋が破れちゃうんじゃない。
一平 それなら、袋でなくて缶にしたら。
先生 化学の実験で使った二酸化炭素や窒素のボンベが使えるよ。
和美 ボンベをはじめは真空にしておいて重さを測り、それから、空気を入れてもう一度重さを測れば、空気に重さがあるかどうかがわかります。
一平 でもどのようにして、真空にするの。
先生 高等学校には理科室に真空ポンプがあるからできそうだね。だが、そうしなくても分かる方法がある。考えてごらん。
一平 ちょっと思いつかないな。
和美 ギヴアップです。
先生 引くのが駄目なら、押してみよう。
和美 歌の文句ですね。
一平 空気を押し込むんだ!空気がたくさん押し込まれて量が多くなれば、 重くなる。
先生 そうそう、ボンベに自転車の空気入れで空気を押し込む。空気室を備えたボンベがいいね。さあ、この道具を使ってやってごらん。
一平 ちゃんと、備えてあるんだ!
和美 このボンベには、今、何が入っているんですか。
先生 窒素が入っていたボンベだが、もう何回もこの実験に使ったので、今では、空気が入っている。
和美 その空気はそのままでいいんですね。
先生 ボンベは口のところを押すとガスが出てくるようになっていた。だから、口を押すようにした状態で空気入れを使って空気を入れる。
一平 それじゃあ、和チャン、ボンベを持っていてよ。僕が空気入れを押すから。いい?
和美 キュキュ音がして空気が入って行くのがわかる。何だか、缶が温かくなってきたみたい。
一平 だんだんポンプが重くなってきた。
先生 もうひと踏ん張りだ!和チャンが指を離してから、一平くんがポンプを押すのをやめるんだよ。それでは、1、2、3、ストップ。
和美 少し重くなたような気がするけど…
先生 気のせいだね。
一平 では上皿天秤に乗せて測ると…、129.3g
和美 これで、押し込んだ空気を出してしまってから、もう一度重さを測るのね。
先生 ちょっと待って。ついでに、中に入った空気の体積を測っておこう。1気圧の体積という意味だけど。
一平 水上置換をすればいいんだ。バケツに水を入れて、逆さにして水を満たした目盛りつきカップに、ボンベの空気を満たしていけばいいんだ。それじゃ、始めるよ。
和美 わーっ!空気がぼこぼこ出てくる。もうカップにいっぱいになった。一平さん、ストップ。では、もう一度カップに水を満たして、2本目にトライします。
一平 ずいぶん入るものだな。まだ出てくる!
和美 これで500ccのカップに8本目、空気の出が弱ってきたみたい。ああ、もう出なくなった。
一平 結局、3.3リットルの空気が入っていたことになる。
和美 でも、まだ空気がはいっているんでしょ。
一平 それはいいんだよ。初めから入っていたんだから。
和美 ああ、そうでした。それでは、ボンベの重さを測りましょう。
先生 ちょっと待った。水をよく拭き取っておかないと、水の重さが効いてしまう。
一平 細心の注意を払って…、ええと、125.4g。
和美 やっぱり空気には重さがあったのだ! 1リットルについては (129.3−125.4)÷3,3=1.2
先生 それでは、ついでに、教室にある空気の重さを計算してみようか。
和美 教室の大きさがわかればいいんですね。
先生 柱から柱までの長さを1間(けん)といって約1.8mだ。窓になっているところでは、ここにガラス戸が2枚入っている。
一平 それでは、教室の縦は5間、横は4間だ。高さはどのくらいだろう。
先生 2.5mといったところかな。
和美 それでゃ計算しますよ。 縦は1.8×5=9(m)  横は1.8×4=7.2(m) 高さは 2.5(m)  体積は 9×7.2×2.5=162(m^3)=162000(リットル)
重さは 16200×1.2=194400(g)≒200(kg)
一平 小錦くらいもある。すごい重さだ!
先生 空気は軽いけど、体積が大きいからばかにならないんだ。そのうちに、地球全体の空気の重さが計算できるようになるよ。
和美 ヘーッ、すごいな。
一平 期待しちゃうな。

理科実験についてのお問い合わせ等はメール・掲示板にてお願いいたします。
掲示板 石井信也