高校生の物理 (6)エントロピー T-17 No323 2011年10月6日(木)
和美 熱のところを勉強したとき、エントロピーという言葉が出てきたんですけど、これも、よくわからなかったんです。
先生 よくわからなかったところは、その時点で先生に質問するんだったろう。
和美 質問したんですけど、もとの概念がむずかしいんですって。
先生 だから、もとの概念なしで、「言葉」だけが出てきったっていうわけ?
一平 もとの概念は出て来なかったけど、エントロピーの考え方は面白かったね。
和美 そうね。
先生 例えばとんなことかな?
一平 物理でいえば、“熱は温度の高いところから低いところへ移動していく”
こと及び “物質は狭い空間から広い空間へ分散していく”
ということです。それが自然の本性で、このことをエントロピーが増えるというんでしょう。
和美 砂糖が水に溶けたり、白と黒の碁石が交ざってしまったりするのもそうでしょう。
先生 この場合も、それぞれのものが、より広い空間へ拡散していく、と考えればいいだろう。
一平 物質の融解や蒸発もそうですね。
和美 ごみがちらかっていくのもそうだし、マラソンの選手が、だんだんバラケテイクのもそうですね。
先生 社会現象にもエントロピー増大の傾向はみられるね。
一平
小遣いなんか、すぐになくなってしまう。貨幣がバラツイテイク。
和美 中学校の同窓会の人たちはいろんな高校へ行っているし、就職した人もあるし…
一平 高校へは、アチーブの得点の輪切りで入ってきても、そのクラスの中では成績に段階ができて来ちゃうし…。
和美 現象はわかるんですけど、エントロピーが増すということと、それがどう関係するのか…
先生 “エントロピーが増す”
という言葉に抵抗があるとしたら、日本語では何と言ったらいいのかな。
一平 空間占有拡大の法則。
和美 乱雑さ増大の法則。
一平 <ますますバラツキー>という言い方はどうでしょう。
和美 熱の薄まり傾向とか。
先生 それを言うなら、温度や密度の薄まりの傾向。
和美 でも、社会現象では、お金なんかはバラツカナイで、一カ所に集中する傾向があるんじゃない?
先生 社会現象には、人為的に、制度的に、そうする傾向があるのさ。
一平 例えば、男子校と女子校があったり…
和美 制服が決められて、みんなが同じ服装をしたり…
一平 日曜以外には、学校へ行かなければならなかったり…
和美 社会のルールでそうさせられているんですね。
先生 自然現象だってそうだよ。エネルギーを使えば、そうすることができるんだ。エネルギーを使ってエントロピーを小さくすることができる例をあげてごらん。
一平 海水から水を蒸発させて塩を取り出すとか、
和美
クリーナーで散らばったゴミを集めるとか、
一平 たまには部屋の整理をするとか、
和美 コーヒーを濾紙で漉すのもそうでしょう。
一平 それ、エネルギーを使っている?
和美 そう、重力エネルギーを使っているけど。
先生 出てきた例はみんなものに関するものだったね。熱が高温のところから低温のところへ伝わるのもエントロピーの増加だから、これについての例をあげてごらん。
和美 冷蔵庫は冷蔵庫の中を冷たくして、外を温かくするので、温度の一様化と逆ですね。
一平 蒸発熱もそうですか。水の一部が蒸発すると残った水の温度が下る。
和美 じゃあ、蒸発した水蒸気は温かくなっているのかしら?
先生 エネルギーを余分に持ったエリート分子が、表面張力に打ち勝って、自由の天地へ出て行ったんだから、そういうことになるかな。
一平 水に温度差ができて、温度的にエントロピーが小さくなっただけ、水蒸気になって体積的にエントロピーが大きくなっていますね。
先生 ほう、いいことに気がついたな。じゃあ、そんな例をどうぞ。
和美 溶液では、溶媒が蒸発してエントロピーが大きくなるけど、溶質が結晶してエントロピーが小さくなる。
一平 部屋の中が整理されると、押し入れの中が乱雑になる。
和美 へんなの!
一平 先生、このあたりで、例の、本来の概念っていうのを話してください。
和美 エントロピーのルーツです。
一平 オリジナル・エントロピーってやつです。
先生 それでは、カルノーサイクルのところを再検討してみよう。前回の復習を兼ねて、その説明をしてもらおうか。
和美 ピストンつきのシリンダーの中の気体に仕事をやらせます。はじめ、装置を、外から温度T1 の熱源で温めて、中の気体の温度が上がらないように外へ仕事をさせます。気体にはQ1の熱量が入ったけど、外へW1の仕事をさせたので、温度は上がらないのです。等温膨張です。
一平 ここで熱源を外して、更に外へ仕事をさせます。熱が入ってこないのに外に仕事をしたので、温度はT2 に下がりました。断熱膨張といいます。
先生 前回は、高熱源の温度をT1、低熱源の温度をT3 としたんだったが、今回は低熱源の温度をT2とておこう。
一平 特に意味はありませんね、記号が変わっただけで…
和美 次に、外からW2の仕事をしてやって、温度が上がらないように気体と同じT2の熱源に熱を逃がしてやります。逃げた熱量をQ2とします。等温圧縮です。
一平 最後に、熱源T2を外して熱の移動を止めておき、外からW2’の仕事をしてやって、断熱圧縮で温度をT1に上げてやります。これでサイクルは完了です。
先生 前回のグラフを参考にしよう。下にシリンダーとピストンの位置も示してあるのだった。このサイクルの最大の特徴は、熱効率が一番大きいということだった。熱エネルギーが全部仕事に変わってしまうのだからね。熱は伝導してしまうと、元に戻れないんだった。だから、その分だけ、無駄になってしまう。“熱伝導させないで、熱を移動させる”
というのが重要なことだったのだ。
一平 “熱の伝導と熱の移動は違う” のでしたね。
先生 熱の伝導といういのは、熱が高温から低温に伝わっていくことだ。温度差がなければ熱は伝導しない。
和美 それなのに、ここでは等温の所へ熱が移動している。熱が伝導できない所へ熱を移動させている。
先生 そこが、カルノーサイクルのポイントなんだ。作業物質の空気より、熱源の方がほんおチョット高温だったと考えてみよう。そうすると、熱伝導するね。ところが、作業物質の温度が上がらないうちに、それに仕事をさせてしまうんだ。つまり、この過程を無限に緩慢に作動させるということだ。
和美 何だか変ですね。ゆっくりだって、熱は伝わっているんでしょう。
一平 それに、そんなに時間をかけたんじゃあ、役にたたないじゃないですか。
先生 ここでは、理想機関としての理論を探求しているんだから、時間を気にしないんだ。ここで大切な点は、このサイクルは熱と仕事が対等に変換していること、だから、逆に操作することもできる。
和美 何しろ、前回やったことも踏まえて、一覧にしておきます。
温度 熱 仕事 (sの変化)
(a) →(b) 第一過程 等温膨張 T 1 +Q1
−W1 (+Q1/T1)
(b
)→(c) 第二課程 断熱膨張 T1→T 2 0 −W1’ ( 0 )
(c) →(d)
第三課程 等温圧縮 T2 −Q2 +W2 (−Q2/T2)
(d) →(a) 第四課程
断熱圧縮 T2→T 1 0 +W2’ ( 0 )
(注:sの変化は後から記入したものです)
一平 先生、W1’とW2’は等しかったんですね。温度差に相当する熱量の分だけ、外に仕事をしたり、仕事をされたりするんだから。
和美 だから、逆にも動かせるのね。
一平 それから熱の収入 Q1−Q2 が −W1+W2 に変わるんだから Q1−Q2−W1+W2=0 つまり Q1−Q2=W1−W2
△Q=△W
和美 得られる仕事は温度差 T1−T2
で決まってしまうんじゃないかしら。
先生 ほう、どうして?
和美 なんとなく、そう思うんです。そうだったら、すっきりするから。
先生 そんなものかな。熱機関の理論を創ったカルノーも直感的にそう思ったようだ。
W∝T1−T2
これはカルノーの原理というんだ。
W=W1−W2=Q1−Q2∝T1−T2 熱効率は(Q1−Q2)/Q1=(T1−T2)/T1 この式を変形して Q1/T1=Q2/T2 このQ/Tという量をエントロピーと呼んで s
と書く。
和美 私の書いた一覧表にエントロピーの変化を書き加えてみましょうか。
一平 第一過程のエントロピーはQ1 が系に入り込んで来るので+です。
和美 第二課程は断熱作用なので0、Tは変わっても関係ない。
一平 第三課程はQ2
が出て行くので−。
和美 最後の課程はこれも断熱課程で0。それじゃあ書き込むわよ。(
)の中へ…
一平 ところで、エントロピーのトータルはどうなるかというと…
和美 トータルは
Q1/T1−Q2/T2 となります。あれ!これは0ですよ。
一平 これにはどんな意味があるのかなー?
和美 出入りする熱量、つまり、エネルギーをその時の温度で割ったんだから…
先生 温度っていうのは一種のポテンシャルのようなものだからね。
一平 そうすると、質量
m に重力場のポテンシャル gh をかけると重力エネルギー mgh になるように…、
和美 電荷 q に電場のポテンシャルの電圧 V
をかけると、電気エネルギー qV になるように…
一平 エントロピー s に温度差 T をかけると熱エネルギー
sT=Q/T×T=Q になるというわけ?
和美 それじゃあ、エントロピー s は、m や q のように実体みたいなもんだね。
一平 熱容量の関係で 比熱 c の物体では Q=mcT だから、Q/T=mc で s
が実体的であることが見えてくる。
先生 カルノーサイクルでは、熱量が入り込んで、それが全部仕事になって出て行く。作業物質は初めから終りまで、シリンダーの中にあり、温度T1で始まって、温度T1へ戻って終わるのだから、何の変化もしていない。熱と仕事は対等でサイクルは可逆なのだ。
一平 熱伝導するとントロピーが増えるというのはどうしてわかるんですか。
先生 T1>T2 として、T1
の温度から T2 の温度へ Q の熱が移動したとすると、どうなるかな?
和美 T1でのエントロピーの減少は −Q/T1、 T2 でのエントロピーの増加は
+Q/T2、その合計は −Q/T1+Q/T2 =Q(1/T2−1/T1)>0
一平 あれ!エントロピーが増えている。うまくできてるナ。でも、チョット、おかしいぞ。さっき、カルノーサイクルを考えたきには、熱源は考えなかったんでしょう。
先生 それでは、熱源も入れて、第一過程を考えてごらん。
一平 熱源のエンロピーの減少は−Q1/T1、作業物体のエントロピーの増加は+Q1/T1で合計0。アツ。エントロピーの変化が0だから、行程が逆にも移動するんですね。熱伝導のときには、エントロピーが増えるから、逆行はできない!
先生 それでは、カルノー機関の
Ts
グラフを描iいたらどうなるだろう。熱源は考えないで。
一平 熱源を考えたらエントロピーはオール0だものね。
和美 それでは…、縦軸に温度Tを、横軸にエントロピーsをとると…
一平 第一過程では、温度Tは一定で、エントロピーsは増えたのだから、グラフは横軸に平行、
和美 第二課程では、断熱で温度が下がるので、Q=0 で縦軸に平行、
一平 第三過程では、等温で熱を低熱源に逃がすのだから、横軸に平行、
和美 第四過程では、第二課程と逆で、縦軸に平行で、元の状態に戻る。
一平 Tsグラフは長方形になっている!
先生 そんなもんだね。
一平 この場合は、カルノーサイクルで熱を仕事に変える変化だから、Tsグラフは右回りになるけれど、これを反対に回転させれば、仕事で、熱を低い温度のところから高い温度のところへ移動させることになりますね。
先生 そうだ。カルノーサイクルでは、熱が逃げたり、仕事が摩擦などで消耗したりしないので、熱と仕事は対等に変換されるのだ。熱に無駄がないので、最大効率なのだ。
一平 このTsグラフの面積は、仕事に変換された熱量を表していますね。
和美 このグラフから次のことがいえます。温度が高いほど、多くの熱量が出入りする。T高×△s が入ってきた熱、T低×△s
が出ていった熱。その差 (T高−T低)×△sが仕事に変わった熱。
一平 この図はこんな風に考えてもいいのかな。同じ熱量Qでも、温度Tが高いとsが小さい。つまり、sの小さい熱源は、温度の高い熱源で、仕事を得るには効率がよいエネルギーだということ。
和美 温度の低い熱エネルギー、つまり、エントロピーの大きい熱エネルギ−は質が悪いということです。熱源の熱が低い温度に薄まってしまっている、ということです。
一平 熱で熱機関を動かして仕事をさせるときには、Tが大きい方が有利なんだ。
和美 Q=Ct という関係があったわね。Cが熱容量で、tが温度差とすると、出入りした熱量がQ。この関係に似ているでしょ。Q/t=C
エントロピーは熱容量にも似ている。
一平 この関係は、同じ熱でも大きい容れ物に入れたら温度は下がっちゃうっていうことだ。
和美 エントロピーが大きいっていうことは、熱が薄まっているということ、熱の密度が小さいっていうこと、温度が低くなってしまった、ということネ!
一平 熱密度の大きいところがあると、周囲に広がって熱密度が小さくなっていくっていうことだ。溶液の濃いところは、溶液の薄いところへ広がっていって、濃度が低くなってしまうということだ。
和美
高温の熱は低温のところへ、高濃度の溶質は低濃度のところへ、高密度の物体は低密度のところへ、広がっていく傾向があるっていうことです。
一平 Q/T=s m/V=ρ エントロピーは密度に、温度は体積に、熱量は質量に似ているので、これらを対比させて考えるとよさそうだね。
先生 そうだね、物質もエネルギーも一様になっていくんだ。平均化されるということだ。
和美 運動は拡散するということです。
先生 玉突き台に玉をたくさん並べておいて、一つの玉に運動を与えると、順番にぶつっかっていって、しまいには、みんなが動き出してしまう。動きは弱く―つまり、速さは小さく―なってしまうけれど。
一平 運動密度が平均化されたといえそうです。
和美 運動がみんなに分け与えられる。熱が周囲のものに分け与えられたように。
一平 熱はミクロの運動だからね。エネルギーがみんなに分け与えられる、といってもいいのかな。運動と熱に関しては、よさそうだけれど。
和美 音は回りに広がるわね。
一平 光もそうだ。一般に振動は広がっていく。
和美 波ということね。あとは電気だけど、電流は音や光と同じように広がるわね。
一平 電流だって、しまいには熱になって広がっちゃうんだから。
先生 0℃の水と40℃の水を茶碗の中で静かにそそぐと間もなく20℃の水になってしまうだろ。
和美 温度の一様化ね。エントロピが大きくなった。
先生 黒の碁石と白の碁石を、お盆の上に、50個ずつ別々に置いて、静かに揺すると、間もなく交ざってしまう。
一平 濃度の、と言ってもいいし、密度の、と言ってもいいし、要するに、一様化です。
和美 黒石の密度も、白石の密度も一様化します。
先生 一様化、平均化は容易にできるが、そうなったものを区別する、あるいは、元の状態に戻す、のは大変なんだ。
一平 エントロピーが大きくなるのは自然だけど、エントロピーを小さくするのは大変だ。別にエネルギーが必要になる。
先生 同じものであっても、エントロピーが小さいい状態の方が価値が高い。3原色3本の絵の具とそれを混ぜ合わせてしまった絵の具を考えればわかるね。
和美 砂糖と食塩を混ぜてしまったものと、別々になっているものとを比較してもわかります。
一平 1億人が1円ずつ持っている1億円より、1人が持っている1億円の方が価値が高い。
一平 0℃の水と40
℃の水が出る2本の水道の蛇口の方が、20℃の水が出る2本の蛇口より価値が高い。
先生 熱エネルギーも集中している熱エネルギー、つまり、熱密度が大きい熱、つまり、高温の熱源はエネルギーとして優れている。
一平 先生、熱エネルギーを仕事に変えるには、熱効率何%と言う制限があるのに、仕事は100%熱エネルギーにかわてしまうのは、エントロピーと、どう関係するのですか。
先生
ちょっと面倒だけど頑張ってみるか。カルノーサイクルでは高熱源T1からQ1の熱を吸収し、これを低熱源T2へQ2だけ放出して、その差Q1−Q2を仕事に変えるのだったね。ここでエントロピーはどうなっているかといえば、気体は1サイクルすると元の状態に戻っているので、熱源だけで考えればよい。高熱源のエントロピー減少は−Q1/T1
低熱源のエントロピー増加は+Q2/T2、ところが、−Q1/T1+Q2/T2=0
だから、仕事に関するエントロピーを考えると、このエントロピーも 0 ということだ。ということは、仕事をエントロピー的にで考えれが W/T=0
ということだ。 つまり、「Tはとても大きい」
ことになる。
一平 わかった!だから、仕事で熱を発生させれば、すごく高温が得られるということなんだ。もっとも、局部的だけど。
和美 エネルギーの量は小さくても集中効果が得られるんだ。
先生 そうそう。熱運動は分子運動でその方向はまちまちだけど、仕事の場合、例えば、動いているピストンを造っている分子はみんな同じ向きに運動をしているんだから、集中を期待できるというもんだ。
一平 電気エネルギーもそうですかね。電子はみんな同じ方向へ走っているんだから。
先生 だから、電気エネルギーは良質で、他の種々のエネルギーに効率よく変換できる。
一平 電気のエントロピーはうんと小さいと考えていいんですね。
先生 だから、電気を暖房に使って部屋の温度を 25℃ に保とうとするなんていうことは、とっても、もったいないことなんだ。25℃にするなら、太陽温水器だって済むことだ。電気エネルギーを使うのなら、それで器械を動かし、その器械で何かを造った時の摩擦熱で、部屋の温度を上げることができるというものだ。
和美 そすうると、エネルギーには質の良い悪いがあるんですね。
先生 そうさ。
和美 良質のエネルギーは電気とか。
一平 化学エネルギーもいい方かな。重力ポテンシャルも同じか。
和美 熱エネルギーは温度の高い集中した熱の方が良質なんですね。
一平 そうして、エネルギーはみんな最後には熱エネルギーに変わってしまうんだ。
和美 しかも、低温の熱エネルギーに…
一平 熱はエネルギ−の墓場みたいだね。
和美 エネルギーにはポテンシャル・エルギーにしておくと、いつまでもそのままでいるけれど、それがアクチュアル・エネルギーになると、どんどん分散していって、質が悪くなってしまうんですね。
先生 光についいても同じことがいえるんだよ。例えば、光合成を考えてみると…
和美 光のエネルギーは、植物の葉によってデンプンに合成され、その化学ポテンシャルは、例えば、人間がそれを食べることで、人間の活動の源になって…、それからは、一平さんにタッチ
一平 人間の体温になったり、体育館でその床を温めたり…、それからどうなるのかな…
先生 人間にしても、体育館の床にしても、その温度に相当する赤外線で放出する。
一平 そうすれば、太陽の光は、とどのつまりは赤外線になったというんですか。
先生 光の波長は短い方が温度が高いことになる。波長の短い電磁波は波長が長い電磁波へと、光も質が悪くなっていくんです。波長の短い青い光は、金属から電子を飛び出させるけど、波長の長い赤い光は、どんなに多くの量を当てても、金属から電子は飛び出ない。
和美 光にも質と量があるんですね。
先生 海の熱量は膨大だけれど、温度が低いので、エネルギー源としては利用価値が低いということだね。