理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
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掲示板 石井信也
高校生の物理 力7    雪の重さ  M-103   No298         2011年7月7日(木)
 
先生 和チャンはお母さんが布団を干すのを手伝ったことあるかな?
和美 ありますよ。お天気のいい日曜日には、よく…
先生 布団を持った時の感じはどうかな。
和美 そりゃ重たいですよ。敷布団は5キロくらいありますから。
先生 どうやって布団を持つの?
和美 両手を肩の幅に上げて、その上に布団を載せるんです。
先生 布団が手の上にある部分はほんの少しだけど、布団の周囲の部分が布団の全体を下へ引っ張って、布団全体が手に重さとしてかかる。
和美 そうです。布団全体を持ち上げているんですから。
先生 固体のものは、変形しても、ものの範囲がはっきりしていて、手に載せたときにはその全体の重さが手にかかるが、液体や気体のように範囲がはっきりしない場合にはどうなるだろう。大気の場合にはどうだったかな。
一平 空気の中にいて、空気の重さを感じようと思って手を出しても、手の上と下から同じ重さで手を押すので、重さを感じることができない。重さを感じようとたら、一方の空気を取り除かなければだめです。プラスチックのパイプや注射器を使って…
先生 空気中で手の平を上に向けると、手の真上にある部分の空気の重さだけが重さとして手にかかることになる。
和美 布団のように周囲の重さが手にかかることがないのですね。
先生 そういうことだね。
一平 空気中で手のひらをまっすぐ上に向けると、富士山より高いところにある空気までが手にかかるんだ!
和美 家の中で手を出してもそうなるんですね。屋根に関係なく。
先生 空気の重さは天井を突き抜けてきて、あるいは、窓から回ってきて、手にかかる。
一平 空気の重さというのは、空気の粒が手に衝突することだって、学びました。
先生 重さの考え方を変えなければいけないね。
和美 布団の重さは止まっているけど、空気の重さは動いているんですか。
先生 ものの重さは力だからね。このことは後で、もう一度考えることにしよう。
一平 だんだん難しくなりそうだ。
先生 それでは、次に、水の中の直方体のブロックを考えてみよう。このブロックは一つの面を水平にして、水に沈んでいるとする。ブロックにかかる水の重さはどうなる。
和美 ブロックの上の面にはその上にある水の重さがかかる。
一平 それから、その上に積み重なっているズーッと上までの空気の重さも…
和美 あゝ、そうだった。
先生 ブロックの下の面はどうかな。
一平 ブロックの下の面でも、その上の水と空気がかかっている。
和美 水の分子が面に衝突するのが重さとなるのだから、下からでも重さはあるんです。
一平 回り込んで来て重さがかかるのは、液体や気体の重さの特徴なんでしょ。
和美 下からでも、横からでも、重さがかかるので、重さと言わないで圧力というんでしたね。
先生 そう考えるといいね。そこで…、このブロックの面にかかる重さはどうなるんだっけ。
一平 ブロックの上の面のかかる重さより、ブロックの下の面にかかる重さの方が大きくなります。
和美 それは、ブロックの部分の水の重さだけ、下の面にかかる重さが大きいことになります。
一平 それが水の浮力なんですね。
先生 そういうことになるね。ブロックの部分が水だったらどうだろう。
和美 その部分の水は、その周囲の水と区別がないのだから、何も起きないでしょ。
先生 その部分の水にも水の重さはあるんだよ。
一平 その部分の水の重さが、その周囲の水の浮力で打ち消されている、ということになるんですね。
先生 そこで、周囲の水が気がつかないうちに、そこの水を取り去ってブロックに入れ替えてしまう。
一平 そうしても、周囲の水はブロックに同じ大きさの浮力を与える。
和美 周囲の水は、自分が押しているのが水であるか、ブロックであるかの区別がつかない!  自然はものを区別しないから!
一平 浮力っていうのはそういうものなのだ。
和美 水の中の水は周囲の水に支えられていて落ちないでいる。水の中に別のものが入り込んでも、周囲の水はそれを水と差別しないで支え続ける。
先生 雪国へ行くと、学校の鉄棒が雪で曲げられてしまうことがある。どういうことになるのだろう。
一平 鉄棒を埋めてしまうくらい雪が積もっても、鉄棒の上の雪なんて、たいした量ではないものね。
和美 布団みたいに、回りの雪が重さになるのかしら?
一平 ああそうか。地面のある場所で、雪が融けて沈んでくると、鉄棒の上にある雪を、周囲の雪が引っ張るんだ。雪は形があるので布団のようだけど、回りの部分と区別がつかないというところでは液体や気体に似ているんだ。
先生 雪国では道路や橋ののガードレールが曲げられているね。雪の多い所では、ひどく歪んでしまって、毎年交換しなければならないのだろう。
一平 降り積もった雪が、沢に沿って流れてきて、橋を壊すこともあるんですね。
先生 川の水のように、雪の塊が流れてくるんだね。
和美 小さいけど、氷河みたいに…雪河って言ったらどうかしら。
先生 斜面の樹木が雪の重みでひしゃげたり、折れたりして、それが雪で押し出されて、道を防いでしまうことがある。6月の尾瀬行で、大清水から一ノ瀬への道に多数の倒木を見たものだよ。
一平 雪や土は、固体だけど流体的なのですね。
和美 水の災害が多いですね。家の中に45cmの深さに水が入った場合、ドアを外から開けられないって、TVでいっていました。
先生 ドアの幅は90cm、水の深さが45cmだから、その圧力は…、和チャンの出番だね。