物理読み物6 空気と水の断熱性 T-5 No203 2010年5月6日(木)
空気は断熱性の優れた物質です. つまり,よい断熱材として使えます.
ただし,対流を起こさないように閉じ込めて使用することが必要です.
北国では,窓ガラスが二重になっていて,その間に空気が溜め込まれています. 窓のカーテンもそのような役割を果たしています.
天井と屋根の間の空気も,そのように役だっています.
昔,天井のない,仮設の教室を使った時期がありましたが,夏は暑いし,冬は寒かった記憶が残っています.
田舎の家は夏涼しく,冬は暖いといわれますが,藁葺き屋根や土壁などが,温度環境を快適に保つためでしょうか.
発泡スチロールは空気を多く含んだ材料で,これを板にしたり,小球にしたりして,壁の間や天井裏,床下に断熱材として使用しています. 多孔質のコンクリートも建材として宣伝されています.
衣類も,上手に「空気を着る」と暖かでしす. 暖かくするというのは,身体から熱を逃がさないということです.
ウーリーという状態では, 繊維の間に空気が溜めこまれていて,
断熱効果が大きいのです.
冬山に登る際に,下着の下に新聞紙を着ると暖かく,汗も吸い取るので,快適です.
頭髪にも空気が含まれていて断熱効果があります. アフリカの原住民の頭髪が縮れているのは,その間に空気を保つように進化した結果だときいたことがあります. 哺乳動物の体毛や,鳥の羽毛にも同じような働きがあります.
ミカンの皮もそうです. 暖房の効いた部屋に置かれたミカンの皮を剥くと,実がひんやりしているのは,その間に含まれていた空気のためです. 植物には種子のためにも,温度条件の良い環境がつくられているのでしょう.
雪洞の中は案外「暖かい」ものです. 外がマイナス十数度になっても,雪洞の中は0度内外で,灯火が暖房の役にもたっています.
少し熱めの風呂に入るときには,風呂の中で動かずにじっとしています. 身体の表面の温かい湯が,周囲の熱い湯からの熱の移動を断っているのです.
潜水に使うウエットスーツはスーツと身体の間に水が入り込んで,これの断熱作用で暖かさを保っているのです.
真冬の房総の海で,潜水している人に訊ねたのですが,"水の中は暖かいですよ"と,焚き火にあたって,ガタガタ震えながら答えてくれました.
魚の鱗にもこのような効果がありますかね.
身体の中に油を着込んでいる哺乳動物を想像してみましょう.
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