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掲示板 | 石井信也 |
物理読み物21 落ちる M-60 No218 2010年6月24日(木)
ここに一枚の写真があります.*
秋です.葉を落とし,実をたくさんつけた柿の木が写っています.幹は黒々としていますが,柿の実は,その半面が夕日に照らされて光っています.よく見ると,それらがみんな三日月型に光っています.そして,さらによく見ると,本物の三日月が,柿の木のバックの空に,小さく写っているではありませんか.
ニュートンのリンゴの逸話をご存じでしょう.リンゴの落ちるのを見て,万有引力の法則を発見したという話です.“リンゴが落ちてくるのに,月が落ちてこないのはどうしてだろう”
と考えたという,例の話です.
しかし,このような思考に到達するのには,一つの前提があったはずです.それは,地上のものも,天上のものも,同じものであって,同じ法則に支配されているはずだ, ということです.
1666年の秋です.リンカンシャーのニュートンの家の庭のリンゴの木は,たわわに実をつけていました.終日の思索の頭をやすめるために庭にでてきたニュートンは,夕日に照らされて三日月型に輝くリンゴを見ました.そして,その先に,本物の三日月を!
木の下にはいくつものリンゴが落ちていました.な―んていう<仮説>は如何でしょうか.
さて,結論はといえば,“リンゴも月も同じように下へ落ちていた”のでした.
問題の一つは “落ちるとは何か”といことです. 広辞苑で<落ちる>をひいてみると “受け止めるものもなく, ものが加速度的に下に移動する意,@上から下へ急に位置が変わる A以下略す(石井)”となっています.
だとすると,次には,<上・下>とは何かということになります.
小学校の生徒が描いた,かわいい絵があります.リンゴの実(柿かもしれません)が木から落ちる絵です.小さくて円く描かれている地球の,上方に立っている樹から落ちたリンゴは地球の上に落ちましたが、斜めに立っている樹(ひょっとして,夕方)のリンゴはまっすぐ下へ、地球から外れて、落ちていってしまいます.
更に,笑い話が続きます.“地球から落ちるので, 夜中に逆立ちするな(私は夜中に逆立ちしたことがあります)” “夜中に逆立ちして,
僕は地球を持ち上げた. 地球の重さは僕の体重と同じだった” **
真上に投げ上げた物体は,始めは上がっていきますが,やがて一瞬止まってから落ちてきます. でも, 考えようによっては,いつも下へ落ち続けているから,このような運動をするともいえます. 初めに貰った上向きの速さが「邪魔して」,落ちているのが見えにくくなっています.
一定の速さで上昇中の気球から,物体を放してみましょう.気球の上の人は,だまって(?)落ちていく,つまり,自由落下する物体を見るでしょうが,地上の人は,気球の速さで真上に投げ上げられた物体の運動を見るでしょう.
人工衛星は月と同じように地球に引かれて落ちています.人工衛星は地球に落ちてこなければ,直線的に飛んでいって,地球から離れていってしまいます(こどもの絵に似ている!).適当に落ちているので,離れていかないのです.遠ざからないというのは,落ちているということです.重力や慣性力による加速運動を,新しく「落ちる」といい直してみたらどうでしょうか.そうすれば,将来,宇宙ステイションでの生活にはなじみやすいかもしれません.
人工衛星のモデルとしてジェットコースターを考えてみましょう.ジェットコースターが回転して,ちょうど,真上に来たとき,乗っている人が,手から物体を離せば,その物体は下へ落ちていくでしょう.この人にとって,下とは自分の足の方,つまり,その時点では,天の方向‐向き,なのです.
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高校物理の授業100時間 20
月も地球に落ちてくる―――万有引力
にこの写真があります。
ただし、月の欠け方が25〜27月? という違和感があります。
このことに関して、常陸太田市の海後竜生さんが、“写真を逆さまにして見よう”という提案をしてくれました。
** 地球には大きな質量はありますが,重さはどうなるのでしょうか.地球は「浮いて」いるので,重さはないのでしょうか.重さは<地球がものを引く力>ですから,作用反作用によって,この子の体重と同じです.地球を持ち上げていたからくたびれたのです.