物理読み物12 力学的おもちゃ M-53 No209 2010年5月27日(木)
昔は力学的おもちゃがいろいろありました.
ベーゴマ, メンコ, ビーダマ,
オハジキ, パチンコ, フキヤ, タケトンボ, タコアゲ,
タケウマ, カミヒコーキ, カミデッポ, ミズデッポ, ゴムデッポ,
オテダマ, ハネツキ, ブンブンゴマ, ケンカゴマ, キノミゴマ,
ウイテコイ, ケンダマ, ワマワシ,ヨーヨー, ダルマオトシ,
オキアガリコブシ, カザグルマ,
ヤジロベイ, イトマキグルマ,
ビックリバコ,ショーノーブネ,ササブネ,グライダー,…
こんな遊びを通して, 子供たちは質量,
衝突, 弾性, 重心, 慣性, 回転運動,
角運動量, 歳差運動, 浮力, 摩擦, 空気抵抗,
圧力, 放物運動, 力,などについて, このような言葉は知らないにしても,
それらの概念を,実感として会得し, 使いこなしていたように思います.
ベーごま について, このことを書いてみましょう.
土地によって, 表現する言葉は違っているかもしれませんが,
同じようなことを, 多くの人が経験していると思います.
こまの底が丸いと回転運動しながら円運動をしてしまうので,
円運動をしないように底を尖らせます. そのようなこまを<けっとん>と呼びました.
こまの背は低い方が有利です.相撲は下から組んだ方が有利であるのと同じ意味です.
背の低いこまを<ぺちゃ>といいました.
ペちゃ でなくても, 斜めに攻撃をかけると,
下から組むことになります.これを<むきをかける>といいます.
こまの上面(上の表面)の縁は円形のままであるより,
六角くらいに角をつけた方が反発力が強くなります. それを<角>といいます.
質量は大きい方が強いに決まっています. けっとん にしたり, 角にしたりすると, それだけ質量が減るので, 上面のみぞにローソクやクレオンを熔かして流し込み, 重くしました. これが, 回した時の色彩効果をあげたものです. ここに鉛を流し込むことは違反でした.
重心のすわりがよくて長時間回るこまを<力(リキ)がある>といいました.
左回しのこまと, 右回しのこまが勝負をすると<力をとりあう>ので, 長い時間回り続けました.
こまの歳差運動が終わって回転が安定することを<澄んだ>と表現しました.
時には<ねむった>ともいいました.
光や音や熱に関する遊びもいろいろあったように思います. 例えば, 日光写真,
走馬灯, 幻灯, 万華鏡, 花火, 虫メガネ,
草笛, 竹笛,
どんぐり笛などいろいろな笛, ピストル(火薬を鳴らすもの), 焚き火,
ナイフつくり, 鉛の融解, …
それにも増してよかったことは,周囲に自然がいっぱいあったことでした.
子どもは,大人から独立し,主体となって自然やものに働きかけ,そこから多くのことを学んだものでした.
自然やものに働きかけるという生活習慣は, 幼いうちに身につけさせたいものです.
そして,自然やものに対する信頼感を通して,その実在感を感得させられれば,頭の中でつくりあげた観念的なことがらを,難しい言葉で表現することを格好良いと思うような子ども,はできないはずです.
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