作用反作用Part2 その7 安房塾講座 続作用反作用
M-115 No343 2012年2月9日(木)
安房塾受講者の感想
前回に続き,2011年12月29日に,第2回<作用反作用>の講座を受け持ちました.
その後の受講者の感想です.各項目についての私の感想を追加してみました.
1
○「同時に」という言葉が大事だということが,良く分かった.
○「遠隔力」(湯川)につて石井先生の見解をおききしたかった.
2 1年前の「?」がだいぶ減ってきたのを感じました.でもわからないことがだいぶ残りましたので.力学をどう扱うのか,宿題はかなりあるという感じです.やはり,「疑う」ことや「他人の話を伺う」ことは必要ですね…またよろしくお願いします.
3 作用反作用は法則(経験則)であるので, 正しいことをシンプルに教えればそれでよい. (教科書の誤記はfatalな誤りのみ指摘できればよいかと).力学は天体の運動の理解から発展したので,万有引力を例外として扱うのは本道ではないようい思います.
4
聞けば聞くほどわからない(わかっていない)ことも多くなるが,
それでも前よりわかってきているのを感じる. 今年も楽しいお話でした.
5
石井先生の話し口が心地よく, 昨年に引き続きお話を伺ったことで, イメージが明瞭になった. ありがとうございました.
6
物理は分からないという思いがずっとあったが, 本日もむずかしかった. ただし,いろいろとなぜそれが正しいの? (答えを言ってもらえなかった….
もらえたのかもしれないが…)と考えることが楽しかった.1番よかったのは You can't touch without being touched. という言葉です. いや, 物理はむずかしいですね.
答えを当てられたらどうしようと思いながらきいていました. ありがとうございました.
7
作用反作用は奥が深い. 初めは2回も何を話すのかと思った.
私には「神の怒り」がおもしろかった.
8
作用反作用は簡単なのだが, それでも間違えてしまうことが多い.
説明用語もつけ加えてしまうものです. 教科書はカントク不足でした.
9
○誤りに気づくことは重要.
○自分なりの解釈を追求するのは理科の面白さだと思っていたが,原理はそうではない.そこが美しいと改めて感じました.
10
酒に酔ったようにトウトウとしゃべりました. とにかくよかったね.
11
途中モヤモヤ感でいっぱいでしたが, ストローが曲がっているのは何故か? という問いの答えで, 1つ,少しスッキリしました.
固定観念は捨てなければならないですね. 想像はできても目で見えない力の理解は難しいですが, ストローの答えで済むのであればシンプルですね.
12
お話興味深く聞かせていただきました. 全て理解できたわけではありませんが,
必ず存在するものとして考えることが出発点になるということが大切であることが,
よくわかった様に思われます.
13
そのB 理由を考えること自体ナンセンスというのはブッタマゲです.話についていけない人間でしたが,そのことだけは,自分が説明を納得できてなかったのでスッキリしました.
14
重力電磁力が例外でなく, 接触力の方が例外でないかと思う.
15
○「説明できる」ものでなく, 作用・反作用がある.
○
生活感で表してはいけない.
○
ものの中に作用点がある.
○
抗力の「2つ」の定義説明,心して説明していきたい.
16
はっきりした話でおもしろかった. 教科書から間違っている記述があるなら根は深い.
歴史的にまちがっているなら, 今からでもなおさないといけません.
教科書会社については連絡しておきます. (私も責任の一端あり)
17
作用・反作用にこだわる理由が知りたかった.
18
久しぶりに石井節を聞いた. 元気だ!! 面白い!! 私はぼんやりと記述を眺めているんだと気づいた. ハッキリした考えをもって, 文章を読みたいと思った.
19
男と女の引き合いはふれあいでしょうか?
20
普段生物を教えている為, 作用反作用についてあまり考えたことがありませんでした.
教科書の記述についてのわずかなニュアンスの違いが大きな誤解や場合によっては間違いを生むということがわかり,
これは物理に限定した事ではないので, 普段から気をつけていきたいと感じました.
21 前回よりずっとすっきり. おもしろく, 時間も手頃だったと思いました. 質問もほぼうまく, みんなかみあっていて盛り上げられたと思いました.
22 作用反作用が起こるしくみを弾性力などで説明するのは,
本当はウソだ, ということが,
地球と月の関係(万有引力)で良くわかりました. 原子は何故あるの?
エネルギーは何故質量になるの?
こういう問いにも「答えはない」「そういうもの」と言うことにしています.
23
聞くたびに太く短くなっていくようです.
24
力は解釈しなくてよい. 説明しなくてよい. とすると,
物理学は人が力を解釈したり説明しようとしてきた歴史を考える学問ということになるのでしょうか.
25
子供たちが考えやすく体感的に書けるかと思っていましたが, 今日少しできるような気がしてきました. ありがとうございました.
26
電磁場の応力で
∂D/∂t×B…変動電場からBが受ける体積当たりの力を作用, とすると
−∂D/∂t×B…Bが変動電場から受ける(体積当たりの)反作用,
と考えたのですがどうでしょう.
1 基本的な4つの相互作用を媒介するゲージ粒子としては,
重力のグラビトン,電磁力のフォトン, 弱い力のボソン,強い力のグルオンがありますが, 湯川中間子は最後のケースの一種です. つまり, 力は媒達されるという思想です.
電気力も重力も媒達されるという考え方です,
2 私は, 常に問題意識(?)をポケットに入れております.
3 初等力学では接触力を中心に教えることになります.そういう意味で万有引力は接触していなくてもはたらく力の一つだと教えることになります.例外というのはそういう意味です.高校になったら, 万有引力や電磁気力も重力子や光子によって媒達されているという量子論的な「思想性」を知らせたいものです.
4 個人的に話し合えれば解消できるのですがネ.特に, 一杯飲みながら…
5 イメージがつかめることが大切だと思います.細かいことは「あまり気にしない」ことです.
6 私は当てられるのが嫌いなので,当てることはしません.受講者の積極的な意見や質問は歓迎しますが.
作用反作用が外国ではどう教えられているかに興味があります.
7 まだまだ語りたいことはあります.それくらい問題が存在するのです.生徒や受講者の意見は貴重です.こちらが予想もしなかったことが聞かれるからです.より多くのことを聞けるのを願いながら,それでいて,喋り過ぎてしまうのです.
8 教えていると, より多くの説明をつけ加えたくなるものですね.理解が深まると想って…
9 自分なりの解釈をしたくなるものですが, 自然科学ではその内容が限定されているので,
枠を外すことはできません. 科学外の世界は,
特に芸術の世界は自由でいいですね. 私は気休めに尾瀬へ行きます.<仏らがごまんと御座(オワ)しフキノトウ> とかなんとか言っても, 誰からも文句を言われません.
盛口さんが詩の世界に遊ぶ意味がわかるような気がします.
10 反省しています.私はいつでも焦っているので,喋り過ぎます.群馬の連中は私に語らせるときには, アルコールを準備します. 机の上に…
11 事実はシンプルです. 下手な考え(御免なさい!)は観念論者をつくります. 固定観念が捨てられれば, その人は科学者です.
12 聞いたことや考えたこで話をするより, 見たことや為たことで話をしたいものです.
事実は簡単で美しいと思いませんか.
13 理由を考えることは意味をなさない事柄(事実・関係・法則)があります.<全ての物体間には重力がはたらき,その大きさは質量の積に比例します(実験事実)>に,生徒は
<物体は如何にして相手の質量を「感知」するのでしょうか>と, 物質の身になって(?)考えてしまうのです.
<単位質量同士は同じ大きさの力で引き合うのが質量の性質です> よくわからなくても,
先生がそういうのだから, そういうことにします.
そうすると…
<nキロの物体は, 単位質量のn倍の物体が集まっているので, 重ね合わせの原理で, 引力は相乗積に比例することになります> この先生の説明は,
理論的には納得できます. しかし <物体は相手が如何に巨大であっても, 手抜かりなく, 引っぱり合いに対応する>(力が分散して弱くなったりはしない)ことに対しては, 人間とは違うのだなと思うのでしょうか. 理由を云々すると, 例えば, こういうことになるのです.
科学の解説に, 擬人と権威と感覚とが,
入り込んでしまうのです.
説明しようとすると,
どこかで障害にぶつかりますが,それから先へは入ろうとしないことです.
もう一歩先まで理解を進めることができた(と本人が思う)時点に達するかもしれませんが, それはそれで結構.
もう一つ,マクロな事実を,
分子論的に説明すると,理解が深まったと思うことがありますが,それもそれで結構.
だからどうした!ということですヨ.
事実を説明する(言葉に翻訳する)ことには難しさがあります. 事実で示して “ほらネ”とか, 実験を見て“なるほど”とかいう,
理解の仕方が健康なのです.
またまた, 喋り過ぎましたネ!
14 量子力学的にはその通りです.しかし,初等力学,ニュートン力学的には,机とその上の本は触れています.力を及ぼし合っている物体同士はみんな触れ合っています.それだけのことです.
15○作用と反作用が常に等しいということは,理論的に証明されなければ信じられない,という生徒がいます.理論は経験より優れていると思っているのです.
○というより,
学術用語と生活用語とは異なることを念頭に置かなければ,科学の論議にはならないということです.
○
力の矢印を機能させるためには, 最低の約束を守らなければならなりません.(1)力は, その矢印の作用点が存在する物体に所属する, (2)力のはたらきには方向・向きがあって…(以下略), (3)矢印の大きさで力の大きさを…(以下略)
○ <抗力の反作用は抗力> という生徒の表現の見事さに感動します.
ついでに、もう一つ。“私が壁を押していることは、壁からの反作用を受けて認識されるのですね”<私にはたらいている>のは、壁からの反作用なのですから!
16 原理的に誤っているものは,少くなってきています.力が(物体ではなく)点にはたらいている図だとか,帆掛け船の話だとかはなくなりました.現在の問題点は
"変形したものが元の形に戻ろうとして反作用を及ぼし返す" 式のものです. 教科書会社に連絡したことはありますが, 例えば
“こう表現した方が生徒さんには分かり易いので, 変更する予定はありません(啓林館)” といった具合でした.
17
作用反作用には,多くの記述に誤りや, 不具合があることを, どう思いますか.
生徒には正しいことを教えたいと思いませんか.
18
話が面白いのは, 事実の披瀝が面白いのでしょう.
19
男女の引き合いは電気力!? 反作用は微妙ですね. 学術用語としての力以外の力については, 私は論ずる興味がありません.
おかしな例を挙げてしまったようです.20 教科書を初め,
<権威>なるものには気をつけたいものです.
21
もっとみなさんの意見などを聞くべきでした.喋り過ぎました. いつものことながら反省頻りです.
22
「何故」に答えるのが理科教育だと思っている人(教育者, 文科省の役人,
理科教科書執筆者)が多いので,こういうことになるのでしょうね.
誤っていることに
気づかずに書いていることもあるようです.
原子(質量)が出来た経緯は,
今のところ神話ですね.
物質の運動(ポテンシャルも含めて)は多彩なのです.
植物が有機物というエネルギーを作ったように, その昔,
莫大なエネルギーが質量の形で濃縮されたことについては, 自然の素晴らしさに感動します. エネルギーが濃縮されると, 例えば,
電子対が創成されます.質量というのは最も凝縮されたエネルギーの形態なのです.
23
教育者は<細く, 長く>あるべきです.
24
ピラミッドの建設には, それ相当の力の理解があった筈です. それなくして, あの巨大は建設物が出来ようとは思えません. 物理の概念は, 光でも熱でも電気でも,
歴史とともに理解が深まってきたように思われます.
力は,ニュートンに至って飛躍的に理解が深まりました. ニュートン3則(変形も加速度運動として把握して…)で,
力を, 必要にして十分に理解・納得できます
25
“その本質を些かも曲げることなく子どもに科学の概念を教えることができる”という仮説を信じています.
26
電磁気的にも作用反作用の原理が成立していることを期待できます.
ただし,力が同一作用線上から外れること,場が力を受けるという意味を定義すること,などを確認しながら,作用反作用の法則の内容を拡張する必要がありませんか.
@電荷の力を及ぼし合い
F=kqq'/r2
では, qとq'の力の及ぼしあいについて, 従来の方式で納得できますが,
Aこれを F=(kq'/r2)q=Eq とすると,
電荷qは電場Eと相互作用することになります. 電場Eが電荷qから影響を受けたとすると,
これはqの「映像」である電束ψが変形することになるのでしょう.当然のこととして,この変形が,ψの本体のqに力が及ぼすことになるのでしょう.
Bところがです. 電場は静止磁荷から,
磁場は運動電荷(電流)から独立して存在することになります. つまり,qやiに由来しない場 Ev=B Dv=H
が発生します.かくして,
場と場とが相互作用することになります. こうなると,
電場や磁場は, qやiとは無関係に, 空間(真空)の性質を表すことになるのでしょうから, 逆に, これらを通して,空間の性質を追求することになるのではないでしょうか.
@的に見ると,∂D/∂tは単位体積当たりの電流ですから,∂D/∂t×B は[導線にはたらく]ローレンツ力ですね.しかし,B的に見ると,別の世界がカイマミエます.
電磁気論では,ものから離れた場の相互作用が登場します.ものから離れたとき,作用反作用がどうなるかを検討したいものです.
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