夏休みの理科工作Part4   (その4)  M-117   No312     2011年8月25日(木)
 
 進化したムーアモーター   福田利明
 
 写真は静電気によって黒い玉がくるくると回転しているものです。これはムーアモーターと言って、本来電気を伝える線(帯)は金属を使います。私が初めて見たのは、2010年に群馬で行った科教協関東ブロック大会のお楽しみ広場でした。やっていた人は山梨の早川憲三さんで、金属にアルミ箔を使っていました。
 私はこのアルミ箔の代わりに蛍光ペンで描く線を使いました。千葉の大村吉郎さんに高電圧なら蛍光ペンの塗料は電気を通すということを教わっていたからです。果たして、スチロール球に墨を塗った黒玉はクルクルと気持ちよくどんぶりの中を回転しました。アルミ箔はわずかに厚みがあるので動きにぎこちなさがありますが、蛍光ペンの線は厚みがなく、玉がなめらかに回転しました。その原理を簡単に述べておきます。
 塩ビパイプとティッシュをこすって静電気を起こします。塩ビパイプは−電気になります。これをスチロールどんぶりのアルミ箔にこすりつけるとアルミ箔が−に帯電し、アルミ箔に接触している蛍光ペンで書いた線も−になります。一方、アースしているアルミ線とそれに接触している蛍光ペンの線は+になります。墨で塗ったスチロール球がどんぶりの中をころがると、+の線と−の線に交互に接触し、そのつど黒玉の電気が入れ替わります。+の線に接触した黒玉は+電気になり、−の線に接触したら−の電気となります。そして、線にふれる度に蛍光ペンの線から反発の力と引っぱりの力を受けます。いったん動き出した黒玉は慣性と電気力て回り続けます。
 ○作り方
 わかりやすいように黒い線が描かれたどんぶりの写真を載せました。線は2種類あり、一方は電気取り入れ口のアルミ箔に接続してあり、一方はアースのアルミ箔に接続してあります。アースのアルミ箔はどんぶりの底に達しています。取り入れ口とアースはどちらの線につないでもかまいません。
 蛍光ペンはトンボ、ゼブラ、ミツビシの3種類を使いましたが、いずれもよく回りました。
 スチロール球の玉はホームセンターで売っていますがやや凹凸があり、なめらかに回転しません。黒田さんが東急ハンズで買ってきてくれた玉や高崎の手芸店bc’s(ビーシーズ)で購入したものは凹凸が少なく、スムーズに回転します。直径15mm、20mm、25mm(または30mm)の3種類の玉を用意しました(bc’sでは1個20円前後でした)。
 スチロールどんぶりはいろいろな種類がありますが、なるべく底がなめらかで玉がころがりやすいものを選びます。私は高崎包装とサトカタ(株)で購入した直径20cmのものを使いました。どちらのどんぶりも表面につやがあります。カインズホームで買ったものにはつやがありません。つやのないどんぶりに蛍光ペンで線を描くとへこみのあるところで塗料がしみていって隣同士の線が接触してしまうことがあります。つやのあるものはそういうことが少ないです。
○備考
・科教協栃木大会のお楽しみ広場で演示しました。電気取り入れ口につながる線(−側)とアースにつながる線(+側)を同じ色にしたもの、別の色にしたものの2種類を用意しましが、同じ色は敬遠されました。
・作ったときは調子よく回ったのに、翌日やると動きが悪いということがありました。ひょっとしたらと、ドライヤーでどんぶりの中を乾燥させてやったら復活しました。しかし、ドライヤーを使ってもうまく回らないということもありました。さてはと、塩ビ棒とこすり合わせるティッシュも乾燥させてやると回りました。静電気は湿気大敵であることを実感しました。
・栃木大会お楽しみ広場で、私の所にやってきた大村吉郎さんが「このどんぶりを置きっぱなしにしてほこりが付着すると回らなくなります。」と言っていました。付着したほこりが電気を通すらしいです。
・調子がよいときは直径25mmの黒玉がどんぶりの底から1cmくらい浮き上がって回転していました。直径15mmの黒玉は3cmくらい浮き上がります。是非、挑戦していただきたいと思います。 
・白いどんぶりには、プラスチック製のものと、紙製のものとがあります。紙製のものは高圧の静電気を通してしまうので使えません。買うjと時に注意しましょう。   
理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

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