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掲示板 石井信也
理科実験を楽しむ会

稲葉正さんへの手紙11  E-129  No267  2011324日(木)

 

稲葉正様                 09111日     石井信也

 

 No11  加速器      

@  入力側のコイルの中で磁石ごまを回し, この誘導電流をアンプで増幅して出力側のコイルに流して, これを入力側にフィードバックすると, この繰り返しで, 磁石ごまのパワーが増していきます.

  コイルにスピーカーを並列に入れておくと, 音の大きさも高さも増していきます.

A  入力側のコイルを<センサーコイル>,出力側のコイルを<加速コイル>と呼びます. 前者は細い導線を多数回巻きますが, 後者は太い導線で巻き数は少なくてもよさそうです. 例えば, 前者は 0.2mmφの300T, 後者は 0.6mmφの50Tといった具合です.

B  コイルとコイルの間隔,角度,重なり, 向きなどを変えたり,両者を鉄で繋いだり, 間に金属を挟んだり, 別のコイルを入れ(て閉じたり開い)たりして,入力と出力の相互関係を楽しみます.他にも, このフィードバックに影響を与えるファクターがありそうですが,それらはLEDの明るさや, 音の高さで理解できます.

C  入力のエネルギーは磁石ごまによる電磁誘導ですが, 実際には, コイルを並べるだけで, LEDが光りスピーカーが鳴り出して, 発振しているのが分かります.

  アンプの電源をONにし, バイアス(用のボリューム)を加減すると, LEDが点灯して, スピーカーが鳴りだすので, バイアスをその寸前にした状態で, こまを回します.  

D  磁石ごまは, 片面左右に着磁されたタブレット型磁石に軸をつけたものですが, 表裏がNSのものは軸なしで回ります.

  写真のものは全部回ります. 左右NSの磁石を, ネイル・マグネット方式*で吊って回すと, かなり, 大型の磁石でも回ります. (写真, 磁石で釘を吊るす方式で摩擦が小さい)

E  同様の磁石を糸で吊して回すと, 糸の捩りが増すにつれて, 回転が遅くなり, やがて, 一度止まってから回転が逆になって, また加速していきます.

  あるいはまた,縒りによって糸が短くなることで, ローターの磁石が磁場の外()に出てしまって回転が止まり, 逆回転が始まって縒りが緩み, 再び磁場に入って加速するという, 力学的回転と電磁的回転の強弱が繰り返される面白さもあります.

  糸の縒りの影響を除くには<サルカン>を使います.

F  ローターとしては, 長さ数センチのストローの両端に, 小型のネオジム磁石を押し込み, ストローの中心にまち針をさしたものを, フィルムケースにセットして回すことができます. 

  この場合, 磁石(磁極)の向きを同じにしても回ることは, No9 同調ごま>の項で書きました. 両端が同極の棒磁石は存在しませんが, こうすれば, 人工的にNN, またはSS相当の棒磁石ができるというものです.
 注:実験<フィードバック回路>及び<YPC11>,<YPC14>を参考に。
   * ローターに鉄釘の平らな方を貼りつけ、鉄釘の尖った方を磁石で吊る方式
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち