YPC(その27) M-72 No236 作用反作用(その3)
2010日9月23日(木)
YPC(27回) 慶応高校 2010年6月20日
作用反作用(その3)
(0)
これまで(作用反作用1,2)の内容.
その1 COS(学習指導要領)の変遷/つり合いと作用反作用の混同/力の矢印の描き方.
その2 斜面上の物体/抗力とその分力/弾性力を使うのなら接触力を/教育的配慮.
(1) ニュートンに帰ろう
In his own words:
To every actions there is
always opposed an equal reaction:
or the mutual action of two bodies upon
each other are always
equal and directed to contrary parts.
ニュートン(1585〜1586)<自然哲学の数学的原理>
分子運動を云々しなくても/素粒子の世界にまで貫徹する.
(2)
いくつかの注意
一つのものから一つの力を受ける.
摩擦力は水平抗力.
リングの思想/3個のリング/再教育講習会における指導主事の説明.
力がはたらくものの確認/撫でコツ
弾性の大小とヤング率(伸びの弾性率),
鋼 a×10^11[dyne/cm^2], 弾性体(ゴム) a×10^(−4)[dyne/cm^2]
形状の弾性と体積の弾性(弾性万能主義).
(3) 質問など
1 <おもりに引かれて>の意味は?
バネはおもりの重力に引かれる? 重力はおもりにとって外力.
バネはおもりの弾性力に引かれる.
元に戻るという説明に ニュートン以前?
高い所のあるものは(落ちて)地上に戻る,それが本来の居所であるから.
伸びたものは(縮んで)元の形に戻る.それが本来の形であるから.
都合のいい理論は創らない.
縮まろうとする力(これは弾性力?)/自分で自分に力を及ぼす?
縮まらせるのは外力/縮むのは加速度運動である.
力がはたらいらいたので変形した.力が欠如したので形が元に戻った.
力がはたらいたので物体は加速した.力が欠如したので速さが元に戻った.
2 ものに力がはたらくと,
@形が変わる.
Aものを支える.
B加速度運動する.
C重心の位置が変わる.
支えるの意味は/静力学的に力を加える?
押す:支える/押(抑)さえる/担う/圧する/捻る/揉む/殴る/打つ/叩く/締める/(締まる)/
突く/刺す/弾く/咬む/抓る/詰める/(詰まる)/引く/吊る/巻く/誘う/手繰る/扱う/抜く/繋ぐ/
結ぶ/寄せる/もやう
3 船と乗客とその系と/人と船の重さのバランス
4
変形は加速度運動/重心の移動/運動の法則の確認/内力を外力に/系を頭で切ること.
5 しようとする力,
擬人法/擬生法/擬物法
人間/生物/物体
元に戻ろうとする力?(力は作用で,ものが持っているのではない)擬人法.
ゴム風船をメスのネズミの腹に縫い込むと乳腺が膨らむ擬人:擬物法(物質の運動).
重力と電磁気力以外のすべての力は「弾性力」(接触力).
<力の原理>?は百科事典にも出ていない,<理科教室>を読む人の混乱.
何々力はなるべく使わない.押す力と引く力で十分.
(4)
引かれて,伸びて,縮もうとして,引き返す.
物体の外力が及ぼされると,変形し,元に戻ろうとして,力を及ぼし返す.
(5)
石井の力学観
タイムラグの問題/擬人法の問題/力と変形の同時性/教育的配慮/力が出る(?)
メカニズムに執着しない/説明をしない.
相互作用の対称性/力と物体の指示を明確に/力は作用/ニュートンに帰ろう.
作用反作用(その3) 石井さんの発表
作用反作用など力の教え方の問題を論ずるシリーズの3回目。運動方程式f=maにより、力は同時に加速度を生む。力で物質が加速し、相対位置を変えるのが変形だから変形は力(作用)と同時に起こる。作用と反作用も同時であり、原因→結果のようにタイムラグを認めてはいけない。
また、石井さんは重力と電磁気力以外の全ての力はあえて「接触力」(押す力・引く力に整理できる。弾性力はこれに包含される。)と呼び、他の「○○力」という名前はなるべく使わないようにしようと主張する。
その他、擬人法の問題:「元に戻ろうとする力」など「〜しようとする力」の表現は正しくない、力の発生メカニズムに執着してはいけない、「教育的配慮」と称して嘘を教えてはいけない、など力の指導をめぐる問題点の指摘があった。