12. オリンピック選手の100メートル走−−−v-tグラフ
[授業のねらい]
運動を考えるときには,運動するものの速さと時間,距離と時間のグラフを利用するのがよいでしょう。前者をv-tグラフ,後者をs-tグラフといいます。
[授業の展開]
≪問1≫ オリンピックの選手が100メーターを10秒で走りました。この選手の運動のv-tグラフを書きなさい。
図のような座標を与えて書かせます。(図p58-1)
生徒のグラフを黒板に書かせて,どれがよさそうかを検討させます。細かいところを省略すると,およそ図のようなグラフがでるでしょう。
(図p58-2)
≪問2≫ 100メーター走に関して,つぎのような練習方法があります。選手はスタートラインのかなり手前から走りだし,トップスピードでスタートラインを過ぎるときに,スターターはガンを鳴らし,同時にストップウォッチを押します。
選手はトップスピードのまま10秒でゴールしました。この選手のv-tグラフとs-tグラフを書きなさい。
(図p59-1)
このグラフを書きながら,v-tグラフの面積が選手の走った距離(走行距離)を,s-tグラフの傾きが選手の速さを表していることに気づかせます。第2回世界陸上選手権ロ−マ大会の第2日,1987年8月30日の男子100メートル走ではベン・ジョンソンとカール・ルイスの一騎打ちが注目されましたが,ションソソが9秒83の世界記録をマークして勝ちました。
ルイスも9秒93の世界タイ記録てした。 ある解説によるとジョンソンはトップスピードの12.1m/sに達するのに、約5sかかるのに対し,ルイスは彼のトップスピードの12
5m/sに達するのに約6sかかるといいます。二人のv-tグラフはおよそ 図p59-2 のようになるでしょう。なおジョンソンは100mを43歩で走り,スタートの反応時間は0.129sだといいます。
0 12sだとフライングになるのだそうてす。薬物使用は残念てした。
<電車のv-tグラフ>教育実習生のリポート
(図p60-1,2) 「運動を一つ選んで,そのv-tグラフを書け」 皆さん,この宿題やりましたか? さて,私は電車のv-tグラフを実測値から書いてみました。電車の速さは運転台のスピードメーターを見ればわかるのですが,最近の電車は客室と運転台の境の窓が小さかったり,黒幕が下ろされたりで,見ることができません。そこでつぎの苦肉の策を講じることになり,誤差もかなり大きなものとなりました。ですから,グラフの概形から加速,減速,慣性走行の様子を直感的に把握してもらいたいと思います。
測定方法 線路の脇にキロポストという白色の杭が立っています(下り列車で,左側に見える)。キロポストは100mおきに立っていますので,キロ'ポストの間を何秒て走ったかを計測すれは,100mの間の平均速度がでるわけてす。人間の目でキロポストと時計の秒針をにらむのですから,100mで1sくらいの誤差はでます。
≪問3≫
適当な運動を選んで,そのv-tグラフを書きなさい。
≪問4≫ 問1〜問3の運動のs-tグラフを書きなさい。
(図p61)
[まとめ]
1 v-tグラフが書けるようにします。
2 s-tグラフが書けるようにします。
3 v-tグラフの面積は移動距離sを表します。
4 s-tグラフの傾きは速さvを表します。