玉振発電器 石井さんの発表
塩ビやポリプロピレンなど絶縁体のパイプと適当な金属電極を組み合わせて写真のような器具を作る。パイプの中央内部に金属棒があり、金属棒の両端付近のパイプを包むように銅箔テープの誘導子を巻く。左右のパイプ内には金属球などの送電子(キャリア)を入れ、パイプの両端は適当な金属(集電子)でふさぐ。左の集電子と右の誘導子、右の集電子と左の誘導子を互いに導線で結べ発電器のできあがり。右の写真は、金属棒の代わりにUボルトを用いたU型発電器。いずれも激しく振ると静電誘導で高圧の静電気が発生する。中の玉を振って発電するので「玉振発電器」というわけ。
2個の目玉クリップを導線でつなぎ誘導子と集電子にすると、キャリアを交換できるものも作れる(写真下左)。キャリアは金属球である必要はなく、アラザン、仁丹、白米、大豆、ゼムクリップ、鉛筆など何でもOK。発生した静電気で電気振り子を動かすことができる(写真下右)。
石井さんはいつもの三段アンプで各電極の電荷の正負を判別しながら動作を解説してくれた。
この発電器の出典は、A.D.ムーア著/高野文彦訳「静電気の話
: 基礎的実験から応用まで」河出書房新社(1972.6)。2003年6月例会で右近さんが「起電ポンプ」として紹介したことがある。
YPC(その20) E-99 No174 玉振発電器 09年10月29日(木)
YPC(20回)9月例会 関東学院高校 09年9月23日(水)
玉振発電器
1
工作
長さ10cmの塩ビパイプ2本を,
それにちょうど入る太さで, 長さ5cmのアルミ棒でつなぐ. パイプの両側から送電子(carrier)としての鉄球を入れ, パイプの両側に長さ2〜3cmのアルミ棒をさして固定し,集電子(collector)とする.
中央のアルミ棒の両側近くで, パイプの外に接着剤つきの銅箔を巻いて誘電子(inductor)とする. 左の集電子と右の誘電子を, 右の集電子と左の誘電子を, それぞれ導線でつなぐ. 誘電子に電気振子の電極を立てる. これで玉振発電器はできあがり.
2
実験
発電器を水平に振って, キャリアを往復させる(初めは100回ほど)と,高圧に発電して, 電気振子を運動させられる.
3
工夫・発展
@
塩ビパイプの代わりに, プラスチック(ポリプロピレン)のストローを使い,キャリアとしてアラザン(argent 仏), 仁丹, 大豆,
米粒,ゼムクリップ, 鉛筆, 抵抗器, キャパシタ,植物の堅果(例:ヤブミョウガ)などを使うことができる.
太いチューブでドングリを入れてみたい.
A UボルトでU型発電器を作ってみる.
B 2個の目玉クリップを導線でつなぎ,
このクリップを誘電子と集電子にすることができる. このようにすると, 集電子を抜いて, キャリアを取りかえることができる.
4
理論
左の誘導子と右の集電子は導線でつながっていて, 例えばこれがプラスに帯電したとする. この誘導子に誘導されて, 中央のアルミ棒には,左端にマイナスの電荷が,
右端にはプラスの電荷が静電誘導される.
右の送電子が, この右側の誘導電荷(+)を, 右の集電子(+)へ運ぶ.
左の送電子は, 左側の誘導電荷(―)を, 左の集電子(―)へ運んでいる.
反発力に逆らって, 同種の電荷を合体させる仕事が, 電気エネルギーになる.
5
その他
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初めの電荷は摩擦か何かで発生するらしい.
A 放電電極に 68pF のキャパシタをつけた. これによって, ネオン球を発光させることができ, 電気振子の振動時間を長くすることができる.
B
3段アンプで電荷の正負をチェックしてみる.
C
この実験は A・D・ムーア著<静電気の話>(1976年5月18日購入,6月29日読了)から学んだ.
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