YPC(その16) E-78 No152 09年5月28日(木)
YPC(16回)3月例会
横浜桜陽高校
09年3月22日(日)
電束電流(変位電流)
1
原理
マックスエル方程式の一つ c^2・ε0・▽×B=j+∂D/∂t の電束電流 ∂D/∂t が,
電流 j と同じように,
その周囲に磁束場 B を作ることを確かめる.
キャパシタにたまった電荷を変えて電束電流を発生させ, これを囲んだ鉄芯の磁束場の変化によってコイルに生じた電流で,
LEDを点灯させる.
2
工作
発泡スチロールのトレイに方形のアルミホイルを貼って電極とし, これを2枚重ねて平行平板キャパシタにした(10pF程度).これに,
10kV,1.2nF の加圧用の補助キャパシタを並列にして充電する.
直径 90mm のカードリングに, 0.2mmφのエナメル線を6000回巻いてコイルとし, LEDをつなぐ. これをプラ袋に入れてキャパシターに挟む.
3
実験
(a) 補助キャパシターを充電し, 電極を指で交互に触ると, LEDが点灯する.
(b) 使い捨てカメラの交流電源(約300V, 2.5kHz)を電極につなぐとLEDが点灯する.
(c) この装置からコイルを取り除いて,
電極の間にクランプメータを挟む. 電極を金属でタッチすると,
電束電流の値が表示される. この時,
導線の部分にも同程度の電流が流れている.
注:実験の前に, 実験セットをドライアーで乾燥させておくのがよい.
電極を金属でタッチすると能率がよいのは
∂D/∂t の分母が小さいからか.
使い捨てカメラの直流電源(330V)では, LEDは点灯しない.
4
問題点
回路の電流は導線, 負荷, 電源のどこでも同じ強さである.
<電流一定の法則>
電束電流 石井さんの発表
電束Dの時間変化率は「電束電流」と呼ばれ、マクスウェル方程式では電流と等価に扱われる。すなわちコンデンサの極板間の電束が変化すれば、たとえ真空であっても、そこに電流が流れたのと等価である。それならば電流のまわりに磁束が生じるように、コンデンサの極板間にも、変化する電束をとりまくような磁束が生じるはずだ。この。きわめて本質的な実験を石井さんは見せてくれた。
発泡スチロールトレイに貼った約10cm角のアルミホイルと、上に乗せるアルミブロックがコンデンサを形成する一対の電極で、その間に円形のコイルを絶縁してはさむ。コイルは直径90mmのカードリングにホルマル線を6000回巻いてLEDにつないである。茶色の補助コンデンサーを充電し、電極に指で交互に触れるとそのつどLEDが光る。
左は電源用の高電圧発生装置。ダイオードとコンデンサからなるコッククロフト・ウォルトン回路である。右のように無接触電流計「クランプメータ」でも、電束の変化はちゃんと電流として測定できる。回路の電流は導線、負荷、電源のどこでも等しい。コンデンサのように導線が途切れているところでも電束電流で回路の電流が連続していることをぜひ教えたい。
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石井信也 |