燃料電池 石井さんの発表
石井さんは、アルケミストの野曾原友行さんの開発した燃料電池の実験を紹介してくれた。
かつては、ニッケルのネットにパラジウムをメッキした電極を使っていたが、ニッケルのネットが高価なのが欠点だった。野曾原さんは、この代わりにステンレスのネットを使えるようにした。これで、燃料電池の実験が高校の化学の現場で行えるようになった。
プラスチックの容器(10×7×5cm)の蓋の周囲を幅1cmほど残して切り捨て、2枚の電極をクッキングペーパーを挟んで、この蓋の内側にセットする(写真左)。電極を0.5mol/Lの水酸化ナトリウムで浸し、容器の中に水素ガスを導入すれば、ソーラー・モーターが回転し、数時間も反応が継続する(写真右)。
石井さんが次に披露してくれたのは、水素ガスの代わりにメタノールを使用した実験。この場合は起電力が弱いので、2個の電池を直列にして使う。
現在、野曾原さんは、水溶性有機物の燃料としての適不適を、「総点検」しているところだという。
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石井信也 |
YPC 7月例会(第12回) 鎌倉学園 08年7月13日(日)
燃料電池
(1) この燃料電池は, アルケミストの会で論じられ, 安房高校(千葉)の野曾原友行さんが改良したもので,
安房高型燃料電池といいます.
野曾原さんは, 授業で班別に作らせています. 費用は200円程度.
(2) 作り方
プラスチックの容器(10×7×5[各cm])の, 蓋の周囲を幅1cm程残して切り捨てます.
パラジウムを電気メッキしたステンレス金網2枚でクッキングペーパーを挟んで, この蓋の内側にセットし, 0.5モルの水酸化ナトリウムで電極を浸しておきます.
あらかじめ, 電極の端子を出しておいて, ソーラー・モーターにつなぎます.
(3) 実験
試験管に5Mの水酸化ナトリウムと丸めたアルミ箔の塊を入れて水素を発生させ,
容器に送りこむと, やがて,
モーターが動き出します.
(4) 反応
負極の反応
正極の反応
H2 → 2H++2e- 1/2O2+2e- →
O2-
2H++2OH- →
2H2O O2- +
H20 → 2OH-
H2+2OH- → 2H2O+2e-
@
1/2O2+ H2O+2e- → 2OH-
A
全体の反応 @+A H2+1/2O2 → H2O
(5) 発展
野曾原さんは, 水素に続いて, メタノール,
エタノール, ホルムアルデヒド,ギ酸, グルコース, ビタミンCで発電させました. 引き続いて,
水溶性有機物について燃料としての適不適を調べ, その原因を追求しています.
千葉化サ 盛口: あらゆるお酒からダイアモンドができる.
野曾原: あらゆるお酒とジュースを燃料にしてモーターが回る.
(6) このリポートを書いている脇で, 燃料電池のモーターは, 10時間も経過するのに, まだ回り続けています.