YPC(その9) E-58 No117 08年9月25日(木)
YPC 3月例会(第9回) 港北高校 08年3月16日(日)
ハミルトン・モーター
(1) 金属棒の中央に回転の軸となる突起を作る。
棒の両端の僅かな部分を直角に曲げ、 尖らせて放電端子とする。 これに、 直流の高圧をかけると、棒は回転を始める。 いわゆるハミルトン風車である。
太めのアルミ棒を曲げて、
中括弧型({ )のヤジロベイを作りローターとした。これをコーヒー缶の底に載せて回してみた。
(2) ローターに工夫を。
種々の形のもの、 大きさのもの、
材質のもので作ってみる。エナメル線、 ゼムクリップ、 カーボンペーパー、 厚紙(回らなかったらどうすればいい?)、 …。
放電端子は軸に直角に曲げて尖らせる。放電端子にネオン缶をつけてみたら。
(3) 軸、 軸受けに工夫を。
真ちゅう棒に金属の鉛筆サックやスナップ(ホック)をさす、ニューム管にまち針をさす、 絶縁糸で吊る、磁石と鉄釘(まち針)で吊る、などなど…。
(4) アースにも工夫を。
手をローターの近くへかざす(直に触れないでもよい)と、よく回るのは、
人体がアースになるから。
アースとしてローターの近くに新聞紙、
カーボン紙、 アルミ箔(?)を貼る。
二つのローターをプラス電荷とマイナス電荷で回してみる。どちらかをアースにするとよく回る。
(5) 電源に工夫を。
ヴァン・ド・グラーフの上で、
放電端子をつけた洋傘の骨を、水糸で吊って回してみよう。
ローターの軸を片手で持って絶縁体に乗り、ヴァン・ド・グラーフに他方の手を触れるとローターが回転する。
帽子を被って実験してみよう(髪の毛の先からの放電を防ぐ)!
発電棒で、
小さいハミルトン・モーターを回してみよう。
使い捨てカメラの電源で回してみよう。このキャパシターは160μF, 330Vで、 電圧が弱くて駄目。 1μF, 400Vのキャパシタの個々を充電し、 10個ほど直列にして使ったらどうか? (160μFは充電するのに時間がかかって使いづらい)
これを利用した Cockcroft-Walton型加速器 が使える。
ちなみにこれは、 1932年、 二人がこの4段加速器で600kVを得、陽子を加速してリチウムの原子核を破壊したもの。(岩波
理化科辞典 第5版
p481)
(6) 導体の表面における電荷は、
その電位が一定に(導体内の電場は0に)なるように分布している。 そのために電荷は曲率の大きいところに多く集まり、面電荷密度は曲率半径に反比例する。 つまり、
電荷は尖ったところに集中し、 その近くの外部の電場が非常に強くなり、 空気の分子が電離し、 絶縁性を失ってコロナ放電が起きる。
(7) ハミルトン・モーターの呼び名は一般的ではない。
なお、HPの<ハミルトン・モーター>の項目を参考に。
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石井信也 |
ハミルトン・モーター 石井さんの発表
卍型の金属のクロスした点に軸をつけて、ヴァン・ド・グラーフ起電機の電極に乗せると回転する。「ハミルトン風車」と呼ばれる実験装置だ。このローターの「羽」は放電端子が4極だが、積分記号形の2極でも、三つ巴でもOKだ。金属の表面は電位が同じなので、尖った所では表面電荷密度が大きく、その周辺の空気がイオン化されて反発され、その反作用で回転する。放電端子は尖らせておく。
石井さんは羽の大きさ・形・材質を変えたり、軸受けの方法や電源電圧を変えたりして遊んでみた。高圧なので、紙の羽でも、ちょっと湿らせたり、鉛筆で塗ったりするだけでよく回る。
電源はYPCでもおなじみの12000V小型高圧電源(現在在庫切れ)。軸の摩擦、羽の慣性モメント、アースなどを工夫すると、回転速度が大きくなる。右の小さな羽根車は目にもとまらぬスピードでプロペラのように勢いよく回る。石井さんが「ハミルトン・モーター」と呼ぶ所以である。
ネオンランプを先端につけたものはオレンジ色の光を放ちながら回転する。洋傘の骨も先端にトゲをつけ、手に持って絶縁台に乗り、ヴァン・ド・グラーフ起電機で人体を高圧にするとゆっくりと回転する。
手に持った他のハミルトンモーターももちろん回る。人体を導線代わりと考えればよい。右は、ダブルのハミルトン風車。正負極に接続し、位置関係をうまく調節すると互いに逆方向に回転する。