なんでも電池 石井さんの発表
電池の学習では、より多くの電流を取り出すことに工夫が必要だが、石井さんはここでは、アンプで電流増幅することで、学習の重点を起電力すなわち「電気が起きるかどうか」に置くことにした。
トランジスタの三段アンプにバイアスを設けて、入力端子につないだ発電装置が、ほんの僅かでも発電していれば,LEDが点灯するようにした。こうなると、電池の溶液は、水道水でも、植物の葉でも、人間の皮膚でも、要するに水気のあるものなら何でもいいことになる。そこで、その辺にある金属を、手当たり次第、手に持つだけで、 酸化還元電位の順序が解る。右の写真は洗濯ばさみに二種の金属をはりつけた起電力チェッカー。
ケシゴム付き鉛筆は炭素電極と鉄電極で木をはさんだものと考えればよい。木は水分を含んでわずかに電流を流すので、立派に電解質の役割を果たし、鉛筆がそのまま電池になる。
また、習字の紙に、例えば「電」という字を書くと、かんむりとつくりの部分はそれぞれひとつながりになっているので、それぞれ炭素電極の役目を果たす。乾電池のプラス極を前者に、マイナス極を後者に触れると、水分が電気分解されて、前者は酸素、後者は水素で「充電」されるので、その後で、この字をアンプの入力につなぐとLEDが点灯して、燃料電池ができていることが解る。紙の湿気が溶液の役割を果たしているが、乾燥している時には紙に息を吹きかけて湿らせるとよい。この容量は10pF程度なので、相当のコンデンサーを充電・放電させると、燃料電池とコンデンサーの違いがわかる。
このほか、ファックス原紙の裏紙も、炭素を「金属」として扱う面白みがある。
溶媒は水分に限らない。融解したガラスでもOKだ。ガラス棒に銅と鉄の針金を巻いて、その間をバーナーで熱して溶かすと起電力が観測される。ガラスの通電はやったことがあるが、電池にするのは初めて見た。炎自身もプラズマで通電できるから電池の媒質の役割を果たす。さらには、同種の金属を炎の違う部分に差し入れても、酸化炎、還元炎という炎プラズマの状態の違いを反映して起電力が発生する。電子はあらゆる場面でやりとりされていることがわかる。何とも驚きの実験シリーズだった。
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石井信也 |