理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

渦電流 石井さんの発表
 「渦電流の実験はダイナミックにやりたいものです。」石井さんはそう言って、立て続けに実験を披露してくれた。
 渦電流で非鉄金属を動かす実験では、1.2kgの銅のブロックを、滑らかな面に置いた時計皿に乗せて、ネオジム磁石で回転させる。摩擦を少なくすれば、どのような非鉄金属でも動かせる。右はホルマル線のコイルを時計皿の上に並べたもの。やはり回転する。渦電流のイメージがつかみやすい。
 

 一円玉を同じように並べる。コイルの実験と同時に見せることで、渦電流の流れ方が印象づけられる。右はアルミ缶の底の部分を切りぬいた回転子。これなら時計皿はいらない。

 次は渦電流でLEDを点灯させる実験。渦電流で相互誘導させて、近くのコイルに誘導電流を流そうというのだ。
 強いネオジム磁石の上に、EI型電源トランス( 鉄芯がEとIをくっつけた形をしているもの)の I の部分の鉄片を取り除いたもの(石井さんはこれを「半トランス」と呼ぶ)を乗せ、トランスの高圧側を3段アンプにつないでおく。そのそばで1円硬貨20枚を重ねたのブンブンごまを回すと、LEDが点灯した。1円硬貨のブンブンごまは、ストロボによると、100Hz程度の回転をしているようだ。
 さらに、もっと早く非鉄金属を動かそうと、仏様のお鈴(リン)の振動を使ってみた。トランスの近くでお鈴を鳴らすと、LEDが点灯した。後日、近くのお寺の梵鐘の前で実験したところ見事に点灯したという。

 この実験では、3段アンプの電池が気になるところだ。そこで石井さんは、3段アンプや電池を使わないことにした。LEDで閉じた、0.12mmφ、2300T のコイルをネオジム磁石の上に置いて、その上で1円硬貨のブンブンごまを回すと、LEDが点灯した。圧電ブザーも鳴らせる。
 この実験で重要なことは、磁石とコイルは動かさないことだ。動かすのは、渦電流を起こさせる非鉄金属だけである。

YPC(その3)  E-50 No107 08年7月17日(木) 



YPC 5月例会(第3回) 慶応義塾高校 07年5月20日(日)

渦電流

  渦電流を利用して、モーターを作ろう。

  金属中を流れる電流を直に見る方法を考えよう。

(1) 高校の実験では

1円硬貨を動かす.

アルミのパイプ中で磁石を落す.

ソフトランディングさせる.

(2) いろいろな金属の物体を動かす.

もっと大きいものを動かす(1.2kgの銅の立方体)とか.

(3) 大きい渦電流を流すには,

金属を大きくする(多数巻コイル相当).

dφ/dtを大きくする.

     φを大きくする. dφを大きくする.

     dtを小さくする.

      金属を速く動かす.

      ブンブンごまにして回す. 

   金属を鳴らす.

    電流を増幅する(トランスを有効に, アンプを使う).

(4) 銅板から直に電流を取り出したいが.

銅板をコイルとみなす. そのイメージは. 要するにコイルと同じ.

それでは相互誘導で.

(5) 相互誘導で電流を取り出すには,

電磁誘導が起きないようにコイルと磁石を相対的に動かさない.

コイル(半トランス,造語)と金属で渦電流を相互誘導させる.

磁石の上に半トランスを置き,

その上で20円ブンブンごまを回す(100T/s程度?).

3段アンプで電流増幅してLEDを点灯させる.

(6) ブンブンごまより速く金属を動かすには,

おりん, 梵鐘, 金管楽器(ブラバンで).

(7) 3段アンプなし(電池を使わない)で,

ネオジム磁石を置いて,

それに, LED(圧電ブザー)つき多数巻コイル(0.12mmφ,2300T)を被せ,

その上で, 20円ブンブンごまを回すと,

LEDが点灯し, 圧電ブザーが鳴る.
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石井信也