理科実験を楽しむ会
3力が働くと(2) 斜面上の物体(1.1) 平面上の物体(1.2)
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
力のつり合い(その4) M-33 No99 08年5月22日(木)

(0) 斜面上の物体にはたらく力

(1) 平面に静止しているブロック(直方体の木片)にはたらく力をみてみましょう。 ブロックにはたらいている力は重力と抗力です。
丁寧にいうと、 地球に引かれる重力と、 机に押される抗力です。
ブロックにはたらいているこの2力がつり合っていて、 ブロックは静止しています。
(図1.2)
(2) 斜面に静止しているブロックにはたらく力をみてみましょう。 ブロックにはたらいている力は重力と抗力です。
これは(1)と全く同じです。 面が少し傾いた場合でも、 (1)と同じだということがわかります。 もう少し傾いても同じです。 更に、 もう少し…と考えていくと、 ブロックが動
き出すまでは、 同じであることがわかります。 (図1.1)
(3) 教科書、 参考書、 物理の啓蒙書などには、 重力と垂直抗力と摩擦力の3力が描かれています(図2)。 しかし、 多くの場合、 この図には欠陥があります。

蛇足
[1] 最近、 (図1.1)が描かれている教科書が出ています。 私たちはこの主張を30年以上も続けてきているのですが…。
[2] 3力の図に比べると、 この図が、 如何にスッキリしているかがわかるでしょう。
[3] 原則として一つの物体からは、 一つの力を受けると考えるのがよさそうです。 計算の都合で、 これを分解するのは、 別の作業です。
[4] 曾て、 実業高校で
"一つの物体からは一つの力を受ける"
と教えたところ
"地面に置かれた物体は、 地球の重力と地球の抗力の二つの力を受けるヨ"
と反論されました。 抗力など接触力の多くはミクロ・スコピックには電磁気力で、 重力とは別の力であることを話したのですが…。
[5] ちなみに、
 (図2.1)では摩擦力のはたらく位置に問題がありそうです。
 (図2.2)では、 この3力では、 ブロックにトルクがはたらいて、回転してしまいます。
 (図1.1)の抗力を、 必要があって、 面に垂直な垂直抗力と、 面に平行な成分(摩擦力)に分解するなら、
(図2.3)のようになります。 傾きによって抗力の位置が変わってくるのが解ります。
斜面に立って(平面の場合には身体を前に傾けて)、この抗力の着力点を足指に実感してみましょう。

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石井信也