電束電流(その2) E-31 No72 07年11月15日(木)
(1) 使い捨てカメラの電子回路の部分を取り出し、
スイッチの部分(裏を見ると2つの電極が並んでいる)をはんだづけでつないで、 onの状態にしておきます。 電源は単3乾電池1個で、
本体の電池ケースを、市販のスイッチつきのものに変えて使います。 カメラの蓄電用のコンデンサーC1からミノムシクリップをつけたリード線を出しておきます。 これはC3の充電を容易にするためのものです。
(2) 直径7cmの鉄のリング(蛇足の[3])に、 0.4mmφのエナメル線を250回巻いてコイルにします。
(3) 電束用コンデンサーは、
直径7cmの接着剤つき銅板で、 発泡スチロールのトレイに貼って導線を出しておきます。これの2枚で、 (2)のリングを挟むとコンデンサーC2はできあがりです。
(4) 電源をonにすると、 1分ほどでネオン球が点滅して、 330V、 150μFの蓄電用のコンデンサーC1が充電したことが分かります。
これから容量1nF、 耐圧2kVの小型コンデンサーC3に電荷を分けて使います。
(4) コイルを3段アンプにつなぎ、 電束用コンデンサーC2にC3をつなぎます。
いよいよ実験です。 C3の電極を片方づつに指で触れると、 その度に3段アンプのLEDが光ります。 少しづつの放電で変化する電束が、 電流と同じはたらきをしていることが見えるというものです。
蛇足
[1]
C2の容量を大きくするために、
水を浸したペーパー・タオルを、 小さなポリ袋に入れて、 鉄のリングの中に置いてみましたが、 ほとんど効果がなかった(容量が11pFから13pFに増した)ので、 取り去りました。
[2]
C3を充電したら、
高圧装置の電源をoffにしておきます。 C1を空にするには、
放電叉(2本の細い電極が並んでいる)をショートさせると、フラッシュが発光して放電が完了します。 実験前にこうするのは、 高圧装置が3段アンプに影響を与える(回路(その2) No49)かもしれないからです。
[3] 鉄のリングは、
<てつまる>という商品名でダイソーで売られています。 鉄分摂取用調理補助グッズです。
[4] 些かの理論を記しておきますと…、
コンデンサーの電圧を変えると, 電極の間の電束が変化するので、その周囲に磁場Hができます。 つまり、 変化する電束∂D/∂t は電流のようにはたらきます。 これを電束電流といいます。 マックスエルの方程式で云えば
rotH=∂D/∂t+i の部分です。
コンデンサーの電圧を変えると、
鉄枠の磁束場が変わり、これに巻いたコイルに電流が流れて、 3段アンプが作動するのです。
電束電流で充電 | 電束電流用のコンデンサー | コンデンサーの充電 |
理科実験についてのお問い合わせ等はメール・掲示板にてお願いいたします。 | |
---|---|
shinya@aqua.dti2.ne.jp. 掲示板 |
石井信也 |