理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

生徒のことば(その1) T-2   No64       07920()

 

(0) 固体窒素

(1) 卒業生が就職している日本窒素という会社で、液体窒素を貰ってきて実験をしました。 1960年代のことです。

(2) その辺にあるものを、手当たり次第、 液体窒素で冷やしてみました。

  水、石油、 水銀、 メタノールなどの液体も、のきなみに。 そして <すべての液体は固体になる>という法則を帰納させようとしたのですが、 生徒からクレイムがつきました。 "液体窒素は固体にならない" というのです。

  そこで、みんなで液体窒素を固体にする計画をたてました。

(3) 真空鐘の中のビーカーに液体窒素を入れた試験管を立て、 ビーカーの下に発泡スチロールを敷き*、 試験官に沸騰石を入れて*、 脱脂綿で栓をしました*

(4) 真空ポンプを作動させると、 液体窒素は激しく沸騰し始めました。 「空気のもと」が入っているところから空気を抜いているのですから、おかしなものです。やがて静かになったかと思うと、突然、それは「固体」になったのです。

(5) 私にとってもはじめてのことで、 私は感動したのですが、生徒諸君はそうはいきませんでした。 "これ固体か?  シャーベットじゃねえか!"  生徒の固体は「固い」のです。アイスでないことが不満だったようですが…しかし、 これで<液体はみんな固体になる>ことが承認されました。 

 

[蛇足]

[1] 理科では "すべての××は○○である" という形の法則を見つけさせたいものです。 第ゼロ近似でもよいのです。例ば、"すべてのものに重さ(質量)がある" "すべてのものは三態変化する" "ものはなんでもバネになる" "ものは原子でできている"

[2] *これらのことは省略してもよいのですが、 生徒諸君はなかなか「こうるさい?」ものです。 言われたことはやります。

[3] 自転車の空気入れで、空き缶に空気を詰めて重さを測ったことがありました。 空気を抜くときに缶が冷めたくなったのです。 また、 大気圧の測定で真空ポンプを使ったことがありました。 そんなことが生きてきたのです。

[4] また後日、 同僚の一人が "試験管の液体窒素を、 直に真空ポンプで引いて、 固体窒素を作ることに成功しました。 この時、 試験管の外を水が垂れたのです。 試験管は割れてもいないのに! この「水」は液体酸素でした。

  また、 その後、 "水の上の空気を抜いたら、 水が氷った" という電話がかってきました。 夜も遅くに!

[5] この学習での生徒の一人は "水氷は水に浮くが、 メタノール氷はメタノールの水に沈む" と表現したものです。 こう言われると、 固体窒素が液体窒素に沈むところを見せたかったものですが…。

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石井信也