理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

遊ぶ(その5) M-27     No62   200796() 

 

(1) ベーごま

(2) 小学校の頃、男の子の「命懸け」の遊びはべーごまでした。 こまの取りっこを<ほんこ>といいました。これは「ばくち」だということで、学校では−というより社会的にも−禁じられていました。学校では<べーごま>という言葉も禁句でした。女の子のオハジキは教室で遊ぶことも許されいるのに、不公平だと思いました。女の子だってとりっこしているのに!

(3) ベーごまを強くするために、 種々に加工したものです。

 コンクリートの壁や床に、 こまを擦りつけて、 せっせと削ったものです。 元のままのこまなど一つもありません。

  円錐形の背を低めたものを<ペチャ>、 底面の円を68角にしたものを<角>、円錐の頂点をとがらせたものを<けっとん>などといいました。このように加工すると、こまは強くなるのです。

  もう一つ決定的に強くする方法があります。重くすることです。そのために、表面の凹んだ所にローソクやクレヨンを融かして埋め込むのです。こうすることで、美的効果も増したものです。鉛を埋めることはご法度でした。

(4) 次は、技術的な面です。

 こまを斜めに回して相手の低くみを抉(エグ)ることを<むきをかける>といいました。

  数人が一緒に<行く>ときに、 自分のこまは、 床の周辺の高い所を公転させておいて、 直接には参戦させずに様子を見ることを<見物>といいました。 けっとんとは逆に、頂点に丸みを持たせると、こまはこのような円運動をするのです。

 回転速度が大きいことを<力(リキ)がある>といいました。 紐の巻き方、紐を濡らすことなど、紐の工夫でリキをつける方法がありました。左回りと右回りのこまを戦わせると回転が弱まらないのは、リキを取り合うからです。

 回っている相手のこまに、こまをぶつけて弾き跳ばすことは禁止手です。

(5) <分身>のこまを戦わすのには、主体の戦意が関わると思っていました。こまと一緒に behavior で戦うのです。

 

[蛇足]

[1] ハンマー投や砲丸投の選手が、 球の飛翔中に、 全身全霊(?)で「弾に気合を入れ続ける」態度(サマ)は、 考えてみればおかしなものですが、 その気持は、 解らないでもありません。 (5)と同じです。

[2] 卒業後、近くの工場で働いている子がいました。彼は工場のグラインダーでこまを加工してくるのです。みんな、卒業したらグラインダーのある工場で働きたいと思ったものです。
[3]  戦争が激しくなって、べーごまの生産は中止になりました。こうなると、べーごまは<宝もの>です。こっちの戦いも激しさを増していきました。
[4] 昭和17年に小学校を卒業すると、あれほど熱中していたべーごまからもケロッと卒業しました。そして、その後に来たものは、というと…
[5] 写真の「べーごま」は、 私たちが遊んだものとは違うものです。 
理科実験についてのお問い合わせ等はメール・掲示板にてお願いいたします。
shinya@aqua.dti2.ne.jp.
掲示板
石井信也
べーごまその1