作用反作用ごま(その4) M-12 No36
2007年3月15日(木)
(1) 机の上には水銀を入れた器があり、その中央に棒磁石が立っています。そして、棒磁石の周りを、
上から垂らした銅線が回っています。これが初めて作られたモーターで、作者はマイケル・ファラデーです。
1821年のことです。ちなみに、奥に見えている箱は電池です。<ファラデーのモーターの科学>
(小林卓二著 中村広子画 1986年
さ・え・ら書房)から。
(2) この実験をやってみようと思いましたが…、
@ 水銀が使えないので、融かした鉛を使うことにする。しかし、鉛を融かす鍋が金属なのでショート回路に
なってしまう。では、琺瑯引きの鍋を使ったら…。
A 磁石に鉛が付着しないように、アルミホイルで包んで使うことにする。しかし、鉛の融点は
およそ330度なので、磁石の磁性が失われてしまう危険性は…。
でなければ、磁石を空間に浮かせておく…、などなど、色々難しそうだ。
(3) そこで、全く別の方法にしました。
@ 薄い円筒形のプラ容器の、内側の円周に沿って、銅の電極をしつらえる。
容器に硫酸銅の水溶液を入れる。銅の導線を吊して電極とし、大きい電流を流す。
全体を強い磁石の上に置く。
A これで、原理的には上述のファラデー・モーターと同じ構造になったはずだが…。
(4) 実際には、導線は回らずに溶液が円運動を始めました。回転が見やすいように、アルミの粉を浮かせました。
(5) そこで、溶液の中央に電極を固定して、溶液の回転を安定させてから、装置全体を水に浮かせると、
全体がゆっくり回り始めました。もちろん、溶液の回転とは逆向きに。当然のことながら、
ファラデー・モーターは作用反作用ごま(モーター)なのです。
蛇足
[1] ファラデーの実験でも、全体を「然かるべく」作れば回るはずです。銅の棒(ローター)とセット全体(ステイター)は、
リンゴと地球の衝突(No34)のようなもので、実際には、ステイターを回すことは困難でしょう。
[2]
このファラデーの実験では、もし、回すことができたとしたら、水銀は銅の棒と同じ向きに回るでしょうか。
それとも、逆の向きに回るでしょうか。
[3] 溶液を取り去って、銅線の代わりにアルミ線(軽くするため)を吊して、その先端が円周の銅の電極に
触れるようにすると、このアルミ線は「不器用に」円運動をしました。