静電気(その8) E-19 No32 2007年2月8日(木)
(0) 静電高圧装置(続き)
(1) コッククロフト・ウヲルトンの装置(以後、C・W装置とする)は増幅装置です。
電源の高圧高周波(これについてはここでは触れない)を、これで更に高圧の直流に変換しています。
(2)
使い捨てカメラでは、単3乾電池1本の電圧を、トランジスター(D型)のスイッチング作用で「交流的」にし、
トランスで昇圧させてから整流して、大容量のコンデンサー(330V、160μF)に溜めて使っています。
ここで作った静電高圧装置では、この使い捨てカメラの出力(20kHz、350Vの交流)を、
C・W装置で増幅し、千数百ボルトの直流にして使おうというものです。
(3) このトランジスターでコンバートさせる(交流を直流に変える)ところを、前に使ったリードスイッチの断続
(No6参照)でやってみました。(イ)リードスイッチの回路の一部に、使い捨てカメラのトランスの低圧側をつなぎ、
その高圧側をC・W装置につないでみると、電気振子は激しく振れました。
だとすれば、「交流」(脈流、断続電流などを含め)であれば、C・W装置の電源として使えるということです。
周波数が高ければ、尚、結構というところです。
(4) そこで、上記の(イ)以外で、電流が断続しいるものを探してみました。(ロ)低周波発振器、マブチモーター、
クリップモーターなどを回路(トランスの低圧側)に入れる。(ハ)直流電源に金やすりを入れて
トランスの低圧側につなぎ、導線でガリガリこする、或いは、電池につないだトランスの低圧側で、
導線を断続させる(自己誘導効果)。
(ニ)イグニション・コイルの低圧側に、スライダックの数ボルトをつなぎ、高圧側をC・W装置につなぐ、などなど。
蛇足
[1]
C・W装置では、整流子とコンデンサーの性質を巧みに使っています。
[2] トランスの交流電圧をE[V」とすると、ダイオードの両端の電圧は、ほぼ、直流のE[V]となっています。
だから、ダイオードをn本使用した回路では、端子電圧はnE[V]となります。
写真の装置(4段、No31参照)では出力の端子電圧は1500Vを超えていました。
[3] コッククロフト・ウヲルトンが最初に作った装置は4段で、これで加速された陽子のエネルギは
80万電子ボルトだったといわれます。
[4] 6段、8段なんてものを作ってみませんか。
[5] 使い捨てカメラは、部分的改変で交流電源として使えるようになります。(イ)大容量のコンデンサーを切り取る
(ロ)小容量のコンデンサー及びダイオードをショートさせる(切り取る必要はなく、両端をつなぐだけでよい)
(ハ)スイッチの部分をつなぐ(裏を見ると、2個の導体が剥きだしに並んでいるのでスイッチであるとわかる)
(ニ)(イ)の大容量コンデンサーの脚の部分をC・W装置につなぐ(向きはない)。
[6](ロ)(07/0/24追記)小容量のコンデンサーはショートさせなくてもよい。