静電気(その7) E-18 No31 2007年2月1日(木)
(0) 静電高圧装置(その1)
使い捨てカメラを使って、簡単に高圧を発生させることができます。
(1) 写真屋(DPE)で使い捨てカメラを4台貰ってきます。
これを壊して、コンデンサー(容量の小さいもの、黄か白で方形のもの)4個、ダイオード4個、
トランス1台、トランジスタ−4個、10k級の抵抗(3番目が橙色)1個、ネオン球1個と
高抵抗1個を取り出します。別に、単3乾電池2個とスイッチつき電池ホルダーが必要です。
(2) トランスは裏から見て、3端子(4端子の場合には端の一つは空)の方は、中央と両端の抵抗が
それぞれ170オーム、2端子の方は0.3オームです(メーカーによって多少異なりますが)。これらを、
写真を参考にして、図のように配線します。
出力端子は電気振子用に平行電極にします。電源につないで電気振子を振らせてみましょう。
(3) 放電叉には、ネオン球と高抵抗を直列にして、ストローに封じこめたものを作っておきます。
部品保護のために、放電にはこれを使います。
(4) この装置は高圧ですが、電流が弱いので、静電モーターの電源としては、このままでは使えません。
蛇足
[1]
カメラを壊すときには、大きい方のコンデンサーをショートさせてから、仕事をはじめます。
たまに、充電していることがありますので。作った装置は更に高圧なので、
電気ショックを受けないように、十分注意します。
[2] 電気振子については No25,[4] を参考にします。
[3] この装置は、コッククロフト・ウヲルトンの装置と呼ばれます。
人工的にはじめて原子核を壊すのに使われた、歴史的なものです。
[4] <ついに太陽をとらえた> 昭和29年5月 読売新聞社編
1932年2月、ラザフォードは彼の新しい助手のコッククロフトとウヲ−ルトンの部屋へ行った。
この新人はふたりともまだ30歳前だが、彼には、自分がそうであったし、みんなもそうだったように、
物理学上の大発見はみんな二十代の青年がやらかすものだという信念のようなものがあった。
この世界では若造の方がはるかにたよりになる.。 たよりにされた青年たちは、
この間から一つの機械を作っていた。
静電高圧装置というものだった。「なんだい、これは一体?」
原子破壊の弾丸として、陽子の速力を上げる方法を、二人の若者に作れと命じておいたのだ。
その機械がこれだと若者たちは言った。「ホウ、この大砲で何かを撃ってごらん」
若者たちはありあわせのリチウム核を撃ってみた。……!
(一部改訂:石井)
この二人は1951年にノーベル物理学賞を受賞しました。
[5] 一つのデータを示しておきます。
E=AC・350V V(C2)=V(C4)=DC・800V 端子電圧は1600Vです。
[6] 当初は整流管を使用していましたが、本機では整流子を使用しています。
[7] この実験装置は20年ほど前に、千葉の三門正吾さんに教えてもらったものを、一部改変したものです。