渦電流(その3) E-11 No19
2006年11月9日
(1) 渦電流は、平面や立体の金属の中で、電流が流れるというものです。
これまでは、それを力関係で認識してきたのですが、もっと直接的に「見たい」と思ったのです。
(2)
そこで、円形の薄い銅板に、<あれこれと>切り込みを入れたりして、その「両端」を
LEDで結んで回路を作りました。この銅板の上で磁石を動かして、LEDが点灯すれば
申し分ないのでしたが、どのような「回路」を作っても駄目でした。
(3) そのうちに、次のようなアイデアに到達しました。
金属の内部に電流が流れているのであれば、その近くにあるコイルと相互作用をして、
誘導電流を起こすのではなか、と。
(4) 具体的には、金属の近くで磁石を動かして渦電流をつくる。
近くに置いたコイルと相互誘導させて、コイルに電流が流れるのを確認する。
ところが、これは駄目なのです。磁石の運動でコイルに、直に誘導電流が流れてしまうのです。
(5) だから、磁石とコイルが、相対的に動かないこと、つまり、位置関係を変えないこと、が必要条件になるのです。
そこで、磁石とコイルを固定しておいて、渦電流を起こさせる金属の方を動かします。
そして、この「トランス」に流れた電流を増幅してLEDが点灯すれば、渦電流を「見た」ことになるのです。
(6)
フェライト磁石の上に、3段アンプにつないだコイル(半トランス)を置き、
その上で、渦電流を起こさせる銅の板を動かしてみました。3段アンプのLEDは点灯しました。
(7)
効率をよくするように、16枚重ねた1円硬貨のブンブンごまを回してみました。
1円硬貨に流れた渦電流と、半トランスとを相互誘導させるのです。LEDは明々と点灯しました。
蛇足
(1) 磁石とコイルが相互的に動かないようにすることが、この実験のキーポイントです。
ただし、この実験では、渦電流が磁石を動かして(相互作用しているのだから!)、
これが、トランスに電流を流したのではないか、という疑いは捨てきれません。
(2) トランスとして使った<半トランス>というのは、E-I 型の電源トランスの鉄芯の I の部分を取り去ったもので、
電磁誘導の実験では便利に使えます。この呼び名は私的なものです。
ここでは、100V側の端子を使います。
(3) 実験装置は、磁石ーコイルー金属 という位置関係でも、
コイルー磁石ー金属 という位置関係でもよいようです。
(4) 銅板に切り込みを入れた「回路」は、要するに、<1巻コイル>のようなものでしょう。
(5) 1円硬貨の16枚には、特別な意味はありません。このくらいが回し易いというだけのことです。
(6) 盲学校の生徒には、LEDの代わりに、ブザーを鳴らして聞かせます。