音楽な旅 〜Paris編〜


先日、一週間のお休みをいただいたので、ぺんはパリへ旅行してきました。
パリはぺんの大好きな街。パンもチーズもハムもワインもおいしいし、
宮殿や教会や美術作品など古くてよいものがたくさん大切に残されているし、
とっても雰囲気がよくて居心地のよい街。
観光やたべものについてはいろいろなガイドブックでも取り上げられているので
そちらを見ていただくとして、ここでは音楽にスポットを当てて書いてみたいと思います。


もくじ
1. パリ 旅のココロエ
2. 音楽博物館(MUSEE DE LA MUSIQUE)へ行こう
3. マリゴ本社 突撃レポート
4. 楽器屋さん・楽譜屋さんに出掛けよう


1. パリ 旅のココロエ

(1)移動の基本はMETRO(地下鉄)
パリ市内に広がる地下鉄網は、パリを移動する上での基本(だと私は勝手に思っています)。14本あまりの線が複雑に走っているけれど、乗る前にまず確かめるのは自分が今いる場所の最寄りの地下鉄駅と目的地の最寄り駅。これを路線図で見つけたら、それぞれの駅が地下鉄の何番線の上にあるのかを調べて。「何番線のどこ(=進行方向の終点)行き」に乗ればいいのかをしっかりチェックしたら駅構内へ潜入!駅の構造は意外に入り組んでいるけど、番号と終点の名前だけを頼りに(構内の看板にこのふたつの情報は必ず書いてある!)グネグネ進んでいけば目的の乗り場にたどり着けます。乗り継ぎが必要なことも多いけど、月曜日〜日曜日まで1週間分のパリ市街地下鉄乗り放題券も1500円くらいで買えるので、コレを持っていればどこへでも気楽に出掛けられるはずです。
ex.) OPERA駅からEUROPE駅に行くには、3番線 PONT DE LEVALLOIS-BECON行きに乗ればいいということになります。


(2)街の住所の読み方
パリの道には1本1本に名前が付いていて(道の太さによってRUE、AVENUE、BOULEVARDなどと名前が変わりますが…)、道の右側と左側にそれぞれ偶数・奇数の番地が割り振られています。だから目的地の住所と同じ名前の道を見つけたら、あとは壁に書かれた番号を頼りにその道をひたすら歩けいていれば目的地にたどり着けるというわけ。
番地はパリ市内を流れるセーヌ川を基準にして振られています。セーヌ川に背を向けたとき、左側が奇数、右側が偶数。そしてセーヌ川に近い方が番号が若いのです。でもパリの交差点はキレイに直角に交わることも少ないし、どっちがセーヌ川に近いやら…ということも多いかも。だからとなりの番地を見ながら目的地をさがしてしまうほうがむしろカンタンかもしれません。


(3)フランス語はどの程度必要?
パリを含めてフランスでは英語が通じない、とはよく聞くけれど…実際の感じでは英語で用件を伝えても一生懸命こちらの意図をくみ取ろうとしてくれるひとが大半のように思います。ただ、英語で話しかけると露骨に「さぁね、わかんないよ」という顔をするひともいるし、一生懸命聞こうとしてくれるひとにも果たして正確に伝わるかどうかは微妙なところ。自分の目的をスムーズに達成しようと思ったら、どうしても伝えたいこと(欲しいものの名前とか)はフランス語で用意しておくほうが安心かもしれません。発音が心配なら紙に書いて見せても伝わるし。…お店で店員さんに声を掛けたり、誰かに何かを尋ねようとするときには「ボンジュール、マダム」だとか「シルブプレ、ムッシュー」などとフランス語で注意をひくほうが絶対ベター。それからなにかをやってもらった後には必ず「メルシー」と笑顔でお礼を言えるくらいのココロの準備をしておけばきっと大丈夫なはず! あとは度胸だけ?!
ex) Bonjour Monsieur, des anches de l'hautbois, s'il vous plait.(すみません、 オーボエのリードをください)
注…小文字での記載はアクセント記号が不正確になってしまうこと、ご容赦ください。


2. 音楽博物館(MUSEE DE LA MUSIQUE)へ行こう     地図はこちら

音楽好きなら一度は覗いてみたいと思う(はず?)の音楽博物館は、パリ19区にあります。数年前に移転&新装オープンしたこの博物館の外観はパリで見かける建物の中では相当近代的。8つの展示室があって、17世紀からこれまでの楽器の歴史を楽しくたどることができます。入り口でオーディオガイド(英語またはフランス語、残念ながら日本語はありません…)を借りて、ヘッドホンをした状態で展示室を歩くと、目の前にある楽器の音色を生かした音楽と解説が聞こえてくるという仕掛けになっています。
この博物館では毎日3時間ずつ、プロが歴史的な楽器の生演奏と解説を日替わりでいろいろ聞かせてくれるというすばらしい企画が行われています。演奏楽器と予定時間は音楽博物館HPに出ているので、チェックしておいて狙って行くとよいかもしれません。私が訪れたときにはちょうど中世のリコーダーの生演奏が行われていて、もうすっかり釘づけになりました。

バグパイプみたいに左脇で
袋を押さえつけ、低音の伴奏
も鳴らせる楽器。もちろん口
でメロディーを吹いてます。
Fgみたいなボーカルが伸び
てます。低音の柔らかい音
が響いていました。
    
同時に2本の管に息を通せる
ダブル構造。左右の手は別々
の管を担当。もちろん和音が
鳴らせます。
        
小さな笛を片手で吹き、余っ
た右手でカスタネットを鳴ら
しています。倍音が出せる
ため、片手でも音域は充分!

もちろん楽器などの展示もたくさんあります。ダブルリード的に特に興味深かった展示品は、19世紀のリードメイキングキット。小型のケースに納められているのですが、カッティングブロックとかナイフとか、今と変わらない形がもう完成されていたのがよくわかります。

さて、注意しなければいけないのはこの博物館へのアクセス。音楽博物館のあるCITE DE LA MUSIQUEは産業科学博物館(CITE DES SCIENCE ET DE L'INDUSTRIE)と同じ敷地内にあります。こちらの博物館はガイドブックでもときどき取り上げられていて、最寄りの地下鉄駅はLA VILLETTEと書かれています。しかしこの敷地はものすごぉく大きくて、この駅で降りると音楽博物館はほぼ対角線の位置にあるため相当歩かないといけない羽目に…音楽博物館へ直行!という場合には、PORTE DE PANTINという駅を利用しましょう。


3. マリゴ本社 突撃レポート     地図はこちら

ずっと前からひそかに気になっていたこと…それは私の吹いているOboeのメーカーMarigauxの本拠地がパリにあるということ。もちろんそんな場所がガイドブックに出てるわけもないし、どんな雰囲気のトコロなのか想像もつかないけれど、Marigauxの公式Websiteにはちゃんとパリ19区の住所が書いてある。…というわけで、今回思い切って訪問してみることにしました。営業時間もわからないまま、まったくのアポなしで文字どおり突撃…(^o^;)
Marigaux本社の最寄りの地下鉄駅は、COLONEL FABIEN。地上に出るなりすごく複雑な交差点だけど、真ん中に線路が走っている太い通りの向って右側を歩いていくと、目的の番地が…!

中央やや上にMarigauxの文字、
わかりますか?バスの上方には
丸いSMLのマークも。

でもこの建物、1階は絨毯屋さん。そこで2階へ上がってみます。金色の字でMarigauxと書かれたエンジの扉を開けると、オフィスみたいなところに男性と女性がひとりずつ…。ご挨拶して、ここを見させてほしいと言うとちょっと驚いている女性(^o^;) でもここまで来たら、突き進むしかない!「日本でMarigauxを吹いてて、来てみたかったんだ」と伝えると、「工場はここから何100kmも離れたところにあって、ここはただのオフィスだけど、それでもいいならご案内しましょう」と、見せていただけることになりました。

たしかに普通のオフィス。でも壁にはF.ルルーのポスターやら、SaxやClarinettのポスターやら、CDやらが並んでいます。そして、オフィスのつきあたりには広いリペア室が2部屋ありました。楽器の仕上げや微調整はこのオフィスで行っているとのことで、ものすごい数の楽器ケース、木の管にポストだけが取りつけてあるあられもない姿の上管・下管、各種取り混ぜたベルの山…。「写真撮ってもいいですか?」と訊くとはじめは「お嬢さん、そいつは高くツキますぜ」と脅しをかけて?きたOboe責任者のChapochnikさんも、ぺんがMarigaux吹きだと知ると「それなら話は別だ!」とO.K.をくださいました。では中の様子をちょっぴりご覧ください。

こんなふうにリペアに励む方が
6人くらいお仕事中でした。
ベル、べル、ベル…。 右にはホールが空けられた
だけの上下管が立ってます。

お仕事中、こころよく見学させてくださったみなさん、本当にどうもありがとうございました!!


4. 楽器屋さん・楽譜屋さんへ出掛けよう     地図はこちら

芸術の都パリなら、もちろん楽器屋さんとか楽譜屋さんもたくさんあるはず!ですよね。
パリの楽器屋さんは、音楽学校が以前あったあたりにたくさんあります。METROの最寄り駅はEUROPEかROME。有名なサンラザール駅のすぐそば、ローム通り(RUE DE ROME)沿いはもう右も左も楽器関係のお店ばかりがずらずらっと並んでいます。壁一面にバイオリンが吊されてるお店とか、チェロがこれでもかっていうくらい並べてあるお店とか…。もちろん管楽器専門店も!
今回ぺんが覗いてみた管楽器専門店は「MUSIC FOLUM」と「FEELING」の2件。やっぱりDoubleReed楽器はそれほどたくさんおもてに並べてあるわけではないけれど、店員さんに声を掛ければ奥からいろいろ出してくれます。楽器ケースとか楽器スタンドなど、日本では見かけないタイプのものがみつかったりすることもあるし、ほしいものがあるかどうかいろいろ尋ねてみたら楽しいかもしれません。

パリで面白いなと思ったのは、楽器屋さんと楽譜屋さんは別モノだということ。楽器をまったく扱わない楽譜の専門店があるのです。そのなかでどうやらいちばん大きいのが「LA FLUTE DE PAN」というお店。声楽や弦楽など、曲の種類にあわせて3店舗に分かれています。そのうち管楽器の楽譜を取り扱っているのはローム通り49番地のお店。緑色の壁がシックな感じです。



フランス語で楽譜のことをPartition(パルティシオン)ということを後から知ったのですが、お店へいったときはなんと言ったらよいかわからなくて、棚に並んでいる楽譜を指さしながら「Comme ca(こういうやつ)」を連発(^o^;)…まぁ楽譜しか売ってないのだから、お店のひとには楽譜を買いに来たことは明らかなんですけど、やっぱりキーワードも知らずに買いに行くのはちょっと無謀だったかもしれません。
パッと見はごちゃごちゃしてて古い感じのお店ですが、棚の楽譜はどうやらキチンと作曲者名のアルファベット順に並べられているようで、お客さんに勝手に触られるのはイヤそうでした。在庫はしっかりパソコンのデータベースで管理してあって検索も一瞬!なので、ほしい楽譜の作曲者と曲名、編成なんかを紙に書いて店員さんに渡せば、すぐに捜しだして店員さんがもってきてくれます。今回はほしかった木管五重奏の楽譜をふたつ購入♪ 免税になるほどたくさん買い物しなかったけれど、それでもやっぱりお値段は日本よりちょっぴりお安いかも。ちょっと変わった楽譜を捜してみるにはとってもオススメです。

ところで、この通りの名前「ROME」とはもちろんイタリアのローマのこと。もしかしたらもともとこのあたりにはイタリア人がたくさんいたのかもしれません。イタリア人の常識…なのかどうかはわかりませんが、どういうわけかこのあたり一帯のお店は日曜日だけでなく月曜日もお休みのコトが多いのです。できればオープンしている曜日を確かめてから探検に行く方がよさそうです!