フジロック02体験記 その5

〜7月28日 フジロック3日目 後半〜

■BRAHMAN

グリーンステージの見える我が陣地に戻ると、その頃はブラフマンが大暴れしている最中だった。
それにしても後方より見ているとこのバンドの凄さがよく分かるのだ。
モッシュピットの中の人の暴れ方が凄まじいこと!
本当にダイブの嵐って感じで、ステージ前で人の波が発生が発生しているようだった。

あれは死ぬだろってくらい(笑)。

さすがにこれにはビビッて前に行けなかったが、後方よりブラフマンのライブを楽しんだ。
かっこいいけど、それ以上に狂った観客が恐ろしい。


■Doves

ブラフマンもそこそこに切り上げて、次なる目的はレッドマーキ-でのDoves。
開演時間よりも随分早めにレッドマーキ-へとのりこんだ。
早く来過ぎたせいか、人はまだほとんどいなかったので最前列あたりのポジションで座って出番を待つ。

やはり、開演時間前になると随分と人が増え、その後も続々と人が入ってくる。
こんなにたくさん人がいる中で俺はこんなに近くで見ていいのだろうかって思うくらいに近いポジションを確保してしまった。

そしてしばらくしてメンバー登場!
ここで以外だったのがメンバーは意外とおっさんだったってこと(笑)
しかし、そんなことはライブには関係ないが。

さっそく演奏が始まったが、なんと一曲目から大本命の曲、Pounding!
こうして活字だとうまく表現ができないので非常にもどかしいのだが、あの曲はDovesのなかで、いや今年の曲の中でも上位に入るくらいに感動できる曲なのだ。とくにかくいい!
いきなり会場のテンションも盛り上がった!

一曲目にして大本命の曲を満喫してしまい、すっかり充実感で一杯になってしまった。
その後も彼らの演奏は続くが、音楽自体も良いのだが彼らの面白いところはメンバーの担当の楽器が曲によって変わるということ。
これはこのライブを経験して初めて知ったことなのだが、極端にいうと曲が変わる度にメンバー間で席替えをしているのだ(笑)誰が何担当なのか分からない。
だからボーカル→ギター→ドラム→その他? みたいに。「今度はドラムかよ!(三村風)」ってツッコミを入れたくなる。

しばらくして比較的メランコリックな曲というかちょっとスローな曲が続いたせいか、ここまでの疲れがついに出てしまい、なんとDovesを2メートル前にして立ち寝
昨年のパティ・スミスに続き、とんだ贅沢な時間の使い方をしてしまった。
そして最後の曲で目覚めたが、これまた最後の曲はボーカルなしだが素晴らしい演奏ですごくかっこよかった。

こうしてDovesは終了。(これでいいのか?)


■Jane's Addiction

はっきりいってこのバンドは出演が決定した時、「誰それ?」って感じでまったく知らないし、当日までなんの予習もしなかった。
とりあえずゴージャスな格好をしているらしいということしか情報はなく、大した興味も期待もなくシートに座って出番を待っていた。

そして登場してきたJane's Addiction
ゴージャス〜!なんだこのおっさんは!(ペリーっていうらしいです)
なんか羽のついた帽子をかぶり、怪しい照明と音楽と共に登場した。何故かドラキュラが頭に浮かんでしまう。。
そしてメンバー全員登場して演奏を始めたが、正直なところ音楽的にはあまり興味はなかったのだが(っていうかあんまり聴いていなかった)、あのゴージャスさが見物だった。
そしてボーカルのおっさん、ステージ上でワインをラッパのみしたりして。

ほぉ〜、これがJane's Addictionかぁと満足したあたりで、もうすぐレッドマーキ-で始まるイアン・ブラウンへと向かった。

やっぱりイアンの方が優先だよ、フッフッフ。


■IAN BROWN

あのイアン・ブラウンである。あの元ストーンローゼスのイアン・ブラウンである。
オアシスのリアムはストーンローゼスのパフォーマンスに衝撃を受けて音楽を始めたという。
そんなすごい男を一目見ようと、早めにレッドマーキ-へ駆けつけた。
ポジションも抜群、先ほどDovesで立ち寝した場所だ(笑)

しかし、イアンブラウンはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう?
あのカリスマロックンロールスター、リアム・ギャラガーに影響を与えるほどのものとは何だろう?
そんな期待をしているなか、怪しい赤い照明がつきアジアンチックな音楽と共にイアンが登場した!

うぉぉぉぉぉぉ〜!!!

会場全体がすごい盛り上がった!
イアンは普通に歩いて笑顔で観客に答えてくれた。
なんだか分からないが、初めてイアンを見た瞬間ものすごく興奮をしてしまった。
音楽自体は、彼の3rdアルバムの曲で非常におとなしく決してエキサイトできるような曲じゃなかった。
イアンはただステージ上で静かに足踏みをしながら時々手を挙げてみたりする程度の動きだった。何故か編み笠を被っていたりしていたが、特にパフォーマンスなんて呼べるものではなかった。

だけど、何かすごいモノがあった。

オーラというかカリスマというか、そういったある限られた人間にしかない魅力がイアンにはあった。
ただつったってちょっと足踏みして、歌うだけ。それだけなのに、そこにいるだけですごい。
そんな姿がリアムとすごく似ていた。ガニ股にタンバリンというのが余計にリアムと重なって見えた。

依然としてアジアンチックな音楽と赤い照明が続き、御機嫌なイアンはビーチボールを指の上でまわしたり飛ばしたりしていた。会場は終始ユラユラと揺れ続けた。
そんなイアンは、歌うというより語りかけるという感じだった。

気持ちよく揺れている最中ではあったが一時間過ぎた辺りで、グリーンでのレッチリの時間が迫ってきたので渋々レッドマーキ-を後にした。

イアン・ブラウンのライブを途中で抜けるなんて、もったいないよなぁ・・・。でもレッチリがぁ〜!


■RED HOT CHILI PEPPERS

イアン・ブラウンのアクトを途中で抜け出してグリーンに急いで戻ろうとしたが、すでにグリーン周辺はすごいことになっていた。

これから行われるグリーンの大トリ、レッチリのライブを見ようとものすごい数の人が押し寄せていたのだ。
ステージ前方のモッシュピットは愚か自分たちが陣取っていた場所でさえも人だらけだった。
昨夜のケミカルの時の人の数も凄まじかったが、今日はそれをさらに上回っていただろう。

みんな少しでも前のほうで見ようと移動するがなかなか前に進まない。そんな状況の中、木に登ってまでして見るヤツもいたのがウケた。

俺も出遅れながらも前へ前へと行ってみたものの、スタッフのテントあたりで精一杯だった。
振り返ってみると、人、人、人、ぜーんぶ人。レッチリ人気の凄さが伺える。(去年、似たような状況で自分がオアシス最前列付近にいたこと凄さを思い知った)

ステージ上には当然だがRED HOT CHILI PEPPERSのロゴの入ったドラムなどが既にセットされており、これから確実にレッチリが登場してくれることをみんなに教えているようだった。
開演時間になると、いよいよだ!という雰囲気で会場が一杯になる。

そしてしばらくすると今までかかっていた音楽がとまり・・・ アンソニー、ジョン、フリー、チャドのメンバー全員が登場!!!

その瞬間、凄まじい盛り上がりだった!
スクリーンに映し出されるアンソニーの笑顔。
あの爽やかさといったら、もう、反則!

登場するなり演奏を開始した。

タラララララ・・・

聴き覚えのあるあの優しい感じのギターのイントロは、BY THE WAY!
またしてもものすごい歓声があがり、曲の最初の部分は聞き取れないほどだった。

そしてレッチリでかっこいいのはやはりアンソニーのラップである。
ラップにあわせて体を小刻みに動かし、マイクを持たない手でいろんなアクションを起こす。
キレいいラップとアンソニーのアクションが組み合わさると最高にかっこいいのだ。

途中、アンソニーは着ていたTシャツを脱いだ。
40歳を過ぎているとは思えないような筋肉質なカラダ!そのカラダにばっちり似合ったタトゥー!おそらく俺が女だったら惚れていたに違いないだろう(笑)それくらいにかっこよかった。

詳しいセットリストは忘れてしまったが、アルバム「BY THE WAY」から数曲続いた後、ついに待ち焦がれたAROUND THE WORLD!
個人的にレッチリの曲で一番好きな曲なのだ。この日、この瞬間で爆発するために何度も何度も繰り返し聞き続けてきた。

が、しかし、このとき重大な事に気がついた。

なんか音が小さい。

小さいと言っても十分普通のライブくらいはあるのかもしれないが、どーも音量がたらないのだ。
AROUND THE WORLDといえば、最も爆音であって欲しい曲なのだ(あくまで俺的には)
それが音量的にガツンと届かないなんて!演奏中に隣のヤツの会話が聞こえてしまうなんて!
もっと音上げてくれよぉぉ〜!なんてちょっぴり残念気持ちを抱えたままAROUND THE WORLDは不完全燃焼に終ってしまった。むぅぅぅ。

その後もアルバム「BY THE WAY」「CALIFORNICATION」を中心とした曲が演奏された。

当然ながらボーカルであるアンソニーが一番目立っていたわけだが、ギターのジョン、ベースのフリー、ドラムのチャドもそれぞれ個性的なパフォーマンスをもち、とくにジョンのギターはかっこよかった。

後半にはジョージ・クリントンなるじーさん(もちろん大御所アーティスト、ファンクの帝王)が乱入してさらにステージを盛り上げた。

そして、そろそろ終りに近づいた頃、レッチリのライブでは定番、GIVE IT AWAY!
演奏が始まった途端に、待ってましたとばかりに会場は最高潮に盛り上がった!

ギブラウェイ、ギブラウェイ、ギブラウェイナァー!!!
ギブラウェイ、ギブラウェイ、ギブラウェイナァー!!!


これで今年のフジロックを締めくくるつもりで精一杯跳ねて叫んだ。
マラソンでも終えた後のように最後はヘトヘト。夜だけど汗ダラダラ。

そして、GIVE IT AWAYで大盛り上がりした後、我々フジロッカー5人組みは翌日からの都合などがあり、名残惜しさで一杯だったがそのままレッチリのアンコールを見ながら会場を去ることになった。

レッチリは音量が小さく感じたことがちょっとだけ残念だったけど、その存在感とパフォーマンスの素晴らしさはやはり一流。本物はチガウな〜。

それにしてもアンソニーはかっこよすぎた。


これにて今年のフジロックは終了した。盛りだくさんの内容だったが、あっというまの二日間だった。



〜フジロック02’を終えて〜

去年と同様に、多くの感動と興奮を与えてくれた今年のフジロックは、やはり俺にとって何ものにも変え難い特別なイベントだった。

ただ音楽を聴いたり歌ったりして楽しむだけなら普段の生活やライブハウスでもできることだ。
もちろん、それはそれで楽しいことなのだが、フジロックはそこに留まらず、その先にある自分たちで作り出したプラスアルファを楽しむイベントだと思う。
フジロックの基本理念、Do It Yourself  まさにそのものだ。

好きなことを好きなだけできる。自分から求めれば求めた分だけのモノを得ることが出来る。
大げさなようだが、それこそがフジロックの一番の魅力的な点だと思う。

そうした意味で今回も、音楽を通じた人と人との出会い、感動を仲間と共有できる喜び、ジャンルを越えた音楽の様々な楽しみ方、そして楽しみの中でのマナーやルールなど、多くのことを学ぶことが出来たと思う。

最高の音楽と人と環境。
もちろんロックフェスティバルとして出演アーティストが誰なのかという事も重要だが、それ以前に俺は、このフジロックフェスティバルというイベントそのものが、あの活き活きとした雰囲気が好きで好きでたまらない。

だから、どんなアーティストが出演しようとも、どこで開催されようとも、フジロックフェスティバルに来年も絶対に行こうと思う。

本当に、今年も最高のフジロックだった!


P.S
一緒にフジロックに行ってくれたタケさん、リュウイチさん、モトコ、アツコ、そして会場にいた全てのフジロッカーのみなさん、最高の思い出が出来ました!ありがとう!


(02年12月28日 ギリギリ年内にアップ)