Gig Reviews  
Earl's Court London
[Thur 25 Sep 1997]
Review
9月下旬のLondonはもう秋。スエードのジャケットを着てちょうどいいという感じの季節だ。朝11時すぎ、Earl's Court駅に到着。駅を出ると目の前に、Earl's Courtがそびえ立っていた。門の前には既に列が出来ていて、先に来ていた友達と合流。前から50番目くらいだった。 お昼すぎに、Earl's Court敷地内に移動させられる。次々と人がやって来る。 15時ごろには1000人、いやもっと並んでいたかも知れない。16時を過ぎたころから、私の周りはすでにハイテンション。ビール片手にWonderwall、Live Foreverなどの合唱が始まり、続々と押し寄せて来る人に向かって「We're front ! You're back !」などと叫びだし始める。18時をまわった頃からは、もう待ちきれなくなって「Let us in ! Let us in !」の大コール。 そして18時30分、会場。走る、走る、走る!通路を通って、ホールの入り口で、手首にセキュリティー用のリストバンドを付けられる。はやくしてよっ!まさに1秒を争ってるのに!腕を残して行こうとする私に、お兄さんがゆっくり、リストバンドをつける・・・。19時を少しまわった頃に、The Verveが登場。約1時間弱、演奏。30分ちかいステージチェンジが終わる頃には、既に20時30分になろうとしていた…。

時計のベルの音が高らかに、けたたましくEarl's Courtに鳴り響いた。さあ、はやく、その姿を見せてくれ!会場に詰めかけた、約20.000人の−LuckyなプラチナTicketを手にした−Audienceのあちらこちらから歓声がわきあがる。巨大な、真っ赤な電話ボックスが、ステージの中央からやや左手に、その右側にはCDと同じデザインの大きな時計。 左側には ロールスロイスのうえに乗ったDrumsが置いてあり、このロールスロイスと電話ボックスのちょうど間くらいに、まるい、満月のようなスクリーン。Oasisにしては、ごちゃごちゃしたStage setだな、などと思っているうちに 真っ赤な電話ボックスの扉にBellboyが手をかけて…!

Liam「Are'ya mad for it ? I'm Fuckin' mud for it ! 」観客も叫ぶ「Yeahhhhhh ! ! 」Be Here Nowのイントロが流れはじめると同時に、ざわっと、大きく会場が揺れはじめた。(Earl's Court初日はあまり、Audienceののりが良くなかったなどというReportもあったが、待ちに待ったOasisの登場に、観客は歓喜乱舞し始めた。) そして、Openingの勢いのままStay Youngへと続く。この曲はSingle"D'you Know What I Mean"のB-sideにもかかわらず多くのFanのFavourite songでもある。私が約8時間並びたおしてGetしたPositionはというと、ステージ中央からやや左側、(Noelは逆の右側)2列目、まあ、悪くはないかな、というところ。 前半は1st、2ndからのすでに彼らの名曲となったSupersonic、Roll With It、Wonderwallと続いて、会場は大合唱。Liamが今、まさに目の前に立っていて、そして今、一緒に同じ時間と空気を共有しているというただならぬ雰囲気。彼の、彼独特の魅惑的で、彼の剥き出しの魂から絞り出したような美しい声がダイレクトに伝わってくる。そう、そこにはなにも彼の声を阻むものなんてない。 Liamの声がまるで多くの人々の心に容赦なくズバズバと突き刺さっているかのように響きわたっている。叫んでいるのか、歌っているのか。息を切らしながら声をふりしぼっているのに自分の声はまったく聞こえない。頭の中がいっぱいなのか、からっぽなのかも分からない。分からない。もみくちゃになりながら、一緒に歌い、叫び、そして我も忘れて跳んでいる自分に気が付いたのは、Noelのヴォーカルナンバーが始まった頃。 その頃には、斜め前にいたイギリス人のお兄さんが見えないだろうといって、私を彼の前、最前列に引っ張り出してくれてから、もう、ずいぶん時間がたっていたのではないかと思う。

Noelがしっとりと、ひとつひとつの言葉をかみ締めるかのようにDon't Look Back in Angerをうたいあげる。今までとガラっと会場の雰囲気が変わった。力強く、伸びのあるその声にリードされて、私たちもうたい続ける。Oasisの魅力はこのNoelとLiamのバランスにあるのかもしれない。

Fade In-Outが重々しく鳴り響いた。ステージのうえの方、まるいスクリーンに、ジェットコースターの一番前から、前方の視野で撮影したと思われるフィルムが映し出される。淡々と曲がりくねった線路をが目の前に現れては消えていく。セピア色のノスタルジックな世界を背にして、Liamが歌う。「Get on the rollercoaster The fair's in town today・・・ ・・・Tomorrow we'll cast away・・・」そしてマイクをつかみ     「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh !!!!!!!!!! 」Liamのこの絶叫に、まるで稲妻にうたれたかのように、一瞬、体中に電気が走り抜けた気がした。何を思って彼は叫び続けるのだろう。何もかも吐き出してしまえ!Liam!そんなLiamを私たちは 崇拝し、愛しているのだから。

小さな無数の星たちのようなライトが会場に照らし出された。Champagne Supernovaのイントロが始まった。それに答えるように、あちらこちらから片手にライターの炎をかかげた手があがる。ゆっくりと右へ、左へ。会場が揺れている。美しく繊細なメロディー、Liamのかすれた荒い声が幻想的な世界を醸し出していた。

そしてアンコール、Acquiesceへと続く。Liam が足元のスピーカーを蹴っ飛ばし、Noelがその横でなにくわぬ顔をして歌っている。何だかんだ言っても、やっぱりこの歌を歌うLiamとNoelはお互いにお互いを大好きなのではないだろうかと思わずにいられなかった。そうでなくっちゃね。

そして彼らは、いつものようにギターの音を残してステージを後にした。


Support  The Verve
Setlist
  1. Be Here Now
  2. Stay Young
  3. Stand By Me
  4. Supersonic
  5. Some Might Say
  6. Roll With It
  7. D'You Know What I Mean?
  8. Magic Pie
  9. Don't Look Back In Anger
  10. Wonderwall
  11. Live Forever
  12. It's Getting Better Man
  13. Champagne Supernova
  14. Fade In-Out
  15. All Around the World
  16. Acquiesce