タイムマシン / モリモリあつし

タイムマシン

タイムマシンに乗って過去や未来の自分に会ってみたい…タイムマシンに乗って過去や未来の自分に会ってみたくない?





幼い頃の君に出会えたら時間も忘れて話をしようというあるバンドに影響されて作った楽曲です。
あるバンドの楽曲のメッセージとは少し違い、この楽曲は過去、現在、未来における自分自身、モリモリあつしという一人のクリエイターに向けた楽曲となっております。

まずこの楽曲を作るに辺り「何十人、何十曲というクリエイター、楽曲、デザイン物、web、Flash等の膨大なコンテンツを治める立場になっている」という自覚と覚悟が必要でした。
日に日に増え続ける参加者。中にはなんでこの人が!?と思えるほどの人も居ました。このコンピレーションアルバムの謳い文句である
「DJ、SOUND VOLTEX FLOOR採用者、ちくたくコンチェルト採用者、HARDCORE TANO*C採用者、Diverse System採用者、VIBLE採用者、提供、AVに曲書いてる人、ルービック・キューブの日本王者で世界三位の実力の持ち主まで幅広い音楽の人材が集まるコンピレーションwebアルバム」
は私の大きな自慢であると同時に、今まで何も実績を残したことのない私にとって、非常に大きなプレッシャーとなっていました。

元来、私は人から注目される人種ではなく、参加者皆様のような輝かしい実績もございません。
少しだけ私の事を知っている人は「SDVX落選供養ガチ勢」「東方アレンジャー」「元絵師」というイメージをお持ちでしょうか?
この中の「元絵師」というものが、今まで創作してきた私の心の中で、いつもつっかえているものとなりました。

私が創作する楽しさを知ったのは小学生の頃に出会った、当時大好きだった野球ゲームのお絵描き掲示板でした。
もちろん、元から絵を描いていたわけではなく、自由帳に落書きしたり、廃材で何かを作ったりするのが好きな、他の子よりも少しだけ図工が好きなただの子どもでした。
初めて使うしぃペインター、もちろん描き方が分かるわけではありません。マウス描きです。
塗り潰しやマスク、レイヤーの存在等知りもしません。初めて描き上げたイラストは、大好きなゲームの、オリジナルキャラクターでした。

ただ、夢中で書きました。

文章だけ見ると、一つのありがちな黒歴史、という印象を与えるかもしれませんが、私にとってそれが、今ここで作曲しているモリモリあつしに繋がる、最初の創作物でした。
私はこれで創作する楽しみを知り、創作から繋がる交流という楽しみも知りました。

中学生に上がってしばらくしたある時、私は当時はまだそこまで有名ではなかった、イラスト投稿型SNSに出会いました。
そこでは、自分のイラストを発表すると、閲覧数、点数、ブックマーク数と目に見えて自分のイラストの「結果」が見えました。発表したイラストは、出来によって差異はあれど、きちんと見てくれて、ブックマークをしてくれる人も居ました。

初めて今までとは違う嬉しさを知った。

それから私は絵を本格的に描き始めた。
同じ時期、同じ志を持った仲間と切磋琢磨ただ"上手くなる"ことだけを目標に練習した。
自己啓発本を何冊も読んだ。
あからさまに見くびったやつらに何か特技をつけて仕返しをしたかった。
絵が上手くならない。
焦った。
一度もランキングに入らない。
いつの間にか描くことに義務感を覚えていた。
技術こそ上がってはいたが私の絵には何かが抜けていた。
唯一誇れるものを大切にしたかった。
絵が上手くならない。
当時一緒にデッサンを習っていた、一緒に絵を描こうと言ってくれた友達と殴り会うまで喧嘩した。
絵を描かなくなった…

今思えば、ルービック・キューブの日本王者の郡司光貴選手のブログの
「ウメハラと中島悠に学ぶ「勝ち続ける意志力」〜すべてのスピードキューバーに捧ぐ〜」
という記事でも触れていましたが、「勝つことが目的と化していた」のだと思います(そこまで高みには居なかったですけどね)
それほどまでに評価という概念は、当時の自分にとって強烈な概念でした。

その後、私は逃げるように趣味であった音楽の世界で活動を始めました。音楽は絵とは違い、まだ評価されました。
なし崩しのように始めた活動。確固たるきっかけは何もなく、ただただ曲を発表し続け、あれだけ苦労していたランキングにも簡単に入る事が出来るようになり、夢であった即売会にもCDを出すことが出来た。
自分の曲を好きだと言ってくれる人ができた。絵師時代には手に入らなかったかけがえのない体験をほとんど掴み取る事が出来ました。
しかし、私は釈然としませんでした。一度捨てた絵師であったモリモリあつしはどうなったのか?このまま報われないままなのか?心の中で、絵師であるモリモリあつしが音屋である私を責めているような気がしました。

私は最近までずっとこの事に悩んでいました。他人から見るとよくわからない悩みかもしれませんが、私自身が絵師だったころのデータをPC、ネット中含め全部削除したその日から、ずっとです。

しかし、ある日、絵を描いていた高校生当時、所属していたクリエイター系の部活で今までの部員の作品を保存していたUSBを見つけました。
当時部長を勤めてた私が自分で作ったもので、偶然見つけたものでしたが、何故か、私は心の底から私の絵のデータが残っていたことが嬉しいと思いました。
そして、何故か衝動に駆られ、自分のHPにそのイラストを展示しました。

…なんでもないようなことですが、今までの絵師であるモリモリあつしが許してくれた気がしました。
その日を境に、私の音楽は「音」が変わりました。

今年発表した私の楽曲を聴いてくださった方はもしかしたら少しお気付きかもしれませんが、去年までに比べて音が格段に変わりました。少なくとも自分はそう感じております。
まるで、絵師であるモリモリあつしが助けてくれた気がしました。

そんな環境、感情の中、この「タイムマシン」は出来上がりました。
dj TAKAのrainbow flyerのコメントのように、バックグラウンドこそは違いますが、同じように「オレがオレであるための曲」
という楽曲を貫き通して作れたと思います。まだまだ未熟な私ですが、磨けば光る可能性を提示出来たと思います。

この楽曲が私自身、参加者の皆様、そして「Slim Atsushi -Arcade Edition- ORIGINAL SOUNDTRACK」を聴いてくださった皆様にとって、一つの思い出の終着点となれば、幸いです。

そして皆様、これからも、よろしくお願いします。
タイムマシンに乗って過去や未来の自分に会ってみたいですね。