2001.10.25(THU.)
BLUES ALLAY JAPAN

「DREAMS CAN GO!」

則竹裕之(Ds)
古川発穂(Key)
古川望(G)
住友紀人(SAX,EWI)
村上聖(B)


M-1.Time To Landing
(H.Noritake)
M-2.Secret Market
(H.Noritake)
M-3.With A Birth
(H.Furukawa)
M-4.ARIEL
(H.Furukawa)
M-5.Children in Fairy Tale
(H.Furukawa)
M-6.Just About A Twincle Forest
(K.Murakami)
M-7.Zero Point Energy
(N.Sumitomo)
M-8.Clione
(H.Noritake)
M-9.Lilac Time
(H.Furukawa)
M-10.Waterfall Boogie
(N.Furukawa)
M-11.Mia Cadol
(H.Furukawa)
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E-1.Port Town
(H.Noritake)

東京では約1年ぶりのDreams Can Go!。則竹さん曰く「5月のRAGから始まったツアーの、今日は最終日」なんだそうです(笑)。ブルースアレイのステージ中央にセットされた則竹さんのドラムは前のセットに似ているけれど、違うみたい。どうやら、月刊エレクトーンにもかかれていたローズウッドのキットのお披露目となったようです。遠目に見る限り、木の地色を生かした仕上げ(SONORの頃を思い浮かべてもらえるといいと思います)で、とてもきれい。仕様については今後ドラムマガジンなどで明らかになることを期待したいですね。左手側にチャイナシンバルをセットするのは久しぶりに見たような気がします。

1曲目は、やっぱりこれ、Time To Landingです。何度聴いても、体中に新しい空気が流れ込んできて自然と顔が上向きになってしまいそう、とても気持ちよくなってしまう曲ですね。続いて、望さんのギターソロに途中から則竹さんが合流し、短めにフリーなやりとりがあって、Secret Marketへと繋げます。
「ここからは趣向を変えます」という則竹さんのMC。新曲をやるっていうことかな…と思う中の3曲目はWith A Birth。羅麗若の頃に初穂さんが書いた曲だということ。この曲…、なんていい曲なんだろう!と大衝撃でした!この曲を聴いている間の高揚する感じは、もう文章にするのがとても難しい!村上さんのベースは疾走感があって、その上を流れるように歌うメロディはシンプルで可愛らしくて、ギターの音が曲をカラフルに彩っていく。則竹さんのドラムはベースと一緒に弛まぬリズムを刻みつつ、シンバルで曲の流れを引き寄せたり、弾けるようなアクセントをつけたりするところに、またドキドキとします。聴いていると、目の前に明るくてかわいい映像がどんどん浮かんでくるんです。いい曲だなぁ…CDで聴きたい!
ARIELは初穂さん(Randa)のアルバムに収められた曲、ベースの緩やかな動きが特徴的できれいです。村上さんのベースは初穂さんの曲にマッチするなぁといつも思うのですが、この曲が、一番それを強く感じます。前半最後の曲はChildren in Fairy Tale。こうして初穂さんの曲を続けて聴いていると、なんだか子供にかえってゆくような気がしてきます。自分の中に'70年〜'80年代が息づき始めるような、不思議な不思議な気持ち。

2部の1曲目は今回もドラムとベースのDuoです。5月のRAGでも演奏されたというJust About A Twincle Forest。村上さんの作る曲は本当に暖かく美しくて、大好きです。いつもながら、6弦ベースでメロディを唄いハーモニーを奏でる村上さんのプレイは素敵で溜息がでてしまうほど。則竹さんのドラムも、さりげなく唄いあげています。この演奏は、始めと終わりの形は決めてあるけれど、曲の大部分はフリーにしてあるのだそう。だからなのでしょう、則竹さんがハイハットの向こうにいる村上さんから目を離さず、ベースの動きに呼応して盛りあがっていきます。
他の3人もステージに戻って2曲目、Zero Point Energy。この日の選曲の中では最もダークな色合いが強い曲、これもまた大好きです。エスニックな香りがするメロディもいいし、リズムがめちゃめちゃかっこいい!曲の終盤にピアニシモというより、もう消音するくらいまで音量を下げていき、次の小節でどかーんと一気にフォルテシモで入るところがあります。この部分、演奏者もすごく緊張感ある部分だと思うのですが、聴いている側も、やっぱり、一気にボルテージあがります。「こういう風にくるぞ」って分かっていても、やっぱり、全身に鳥肌が立ちそうな…。私の目に入っただけでも、「あっっ」と驚いた表情で聴いていた人が何人もいました(こういう客席の驚きがステージにも伝わっているといいなぁ…)。この部分の後に全員がユニゾンするところも、また良くて…もう、アレンジがあまりにかっこよくて、呆然としている間に曲が終わってしまいます。この曲の途中のドラムソロは(則竹さんのソロとしては)短めでしたが、全体の流れを考えると、すごくちょうどいい長さに思えました。
Clioneの後、初穂さんのピアノソロが優しく客席を満たして(本当に涙が出そうなほどきれいでした)、そのままLilac Timeへと繋げます。
この日の曲の中で最もノリのよいWaterfall Boogie、「うわ、むずかしそう!」と思わず唸ってしまうイントロから、一気に曲の渦の中に放りこまれます。難しそうな雰囲気より、思わず楽しくなってしまう、そんな感じです。そんなノリノリで盛りあがった後に、Mia Cadolで、今度はじっくりじっくり盛りあがっていきます。

アンコールの拍手の中、まもなく再登場して演奏されたのは、やっぱりPort Town。ゆっくりと時を刻むくようなライドシンバルの音に心が静かになっていくような、でも逆に、湧き上がってくるものがあるような、そんな気分になります。中間の初穂さんのオルガンのパートに気持ちが鎮められます。アルバムで聴いていても好きな曲だけれど、ライブで聴くと、静かなドラマチックさに心を掴まれてしまいます。私には、やっぱり、神戸を歌い上げた曲というより、則竹さんにとって心が帰ってゆく場所を歌った曲…に聞こえます(まあ、それが神戸なのですが)。聴いていると、自分にとっての懐かしい場所、子供の頃の遊んでいる間にどんどん暗くなっていく町の様子とか、部活が終わった帰り道のこととか、たわいない日常だけれど、とても懐かしい日々を思い出します。

ライブレポートというより、曲から感じたことばかりを書き連ねてしまいました。実際、その場では、プレイの細かい部分にはっとすることがたくさんあるのですが、全部終わっての印象を書き出してみると、心の中に残る残像が次々にあふれてきます。それで、こういう書き方になってしまいました。
プレイの素晴らしさはもちろんとして、並べられた12曲はどれも素敵で好きな曲ばかり。どの曲も、プログレッシブに圧倒しつつ、メロディの美しさで心の中心を捉えられます。そういう曲達が、このメンバーに、なんて似合うんだろう…と思えてしまうのです。本当にいいバンドですね。いつか、このバンドでアルバムが作られたら嬉しいなぁ。

則竹さんのNewドラムは、素人耳にも木の鳴りが感じられるような、とてもいい音でした。年末に向けてたくさんこのキットの音が楽しめるのかな?と、とても楽しみです。


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