音楽ネタ
ハードロックとヘビーメタル、ZEPとパープル、JペイジとJベック。
これらについては既にいろいろな所で語り尽くされてるますので総論については書きませんが(書けません)、
先日あるBBS上である方から質問されたり議論になったことから、
その「議題」に絞って述べることが今までとは違った別の角度からのアプローチにならないかと思い、自分の各論をUPするとことにしました。
ま、結構な分量になったというきっかけもありますし「それだって今までの角度じゃないか」と言われるかもしれませんがw、その辺はご容赦を。
それではお題の本質に答えてないかもしれませんが、与えられたお題を一つずつ
○レッド・ツェッペリンは聴けるけどディープ・パープルはダメ
これは実は僕が日頃、というかここ何年かで分かったことを如実に言い表してくれてます。
つまり、ハードロックを聴かない人の典型的なパターンとして、
ツェッペリンは聞かないけどパープルは好きという人はいないということですね。
パープルは聞かないけどツェッペリンは好きというパターンの方が遥かに多いような気がします。
例としてZEPファンでもある浜崎あゆみと宇多田ヒカルを挙げてみましょう。
あゆの方は野村よっちゃんをバックギタリストに据えてますし(AVEXでギターオリエンテッドなのは珍しい方だと思う)、
ヒッキーの方もクイーンのフレディ・マーキュリーのファンだったりするわけなんですが、
果たしてそれがハードロック志向の延長線上のことなのか、二人の方向性の上にパープルは存在するのか、
ということになると、それは(情報に触れてないからということだけかもしれませんが)疑問ですね。
○ツェッペリンはアコースティックブルーズをエレクトリックに解釈したロックンロールバンドでありハードロックとしては捉えてない
ツェッペリンに関しては昔から、(ZEPを)ハードロックバンドだと認めている人の間でも「果たしてヘヴィーメタルなんだろうか?」という論議がされています。
僕の場合はツェッペリンはへヴィーメタルではないと思います(ついでに言えばパープルも違う)。
ただ「ハードロックだけどもへヴィーメタルではない」という考えを極論まで突き詰めていくと、「ツェッペリンはハードロックですらない」という意見も当然出てくると思います。
(もちろん僕自身はZEPもパープルもハードロックとして聞いてます。)
ロバート・プラントは「ツェッペリンはハードロックではない」と言ってたそうです。ただそれは、真相はともかく、
「デビューしたての頃は『ハードロック』という言葉自体がなかったしジャンルがなかった以上、
それを自分達がやってたとは認識できない(後からハードロックという言葉ができて自分達がそれをやってるということになった)。」
という意味かもしれないと僕は解釈してますし、ジミー・ペイジの場合はまた違ってきます。
ペイジの場合はツェッペリンを作るにあたって「ハードロック路線」で行くかフォークロック路線で行くか考えてたんですが、
ジェフ・ベック・グループが「ハードロック路線」で成功していた為迷わず「ハードロック路線」で行く事を決心したんそうです。
ただ「ハードロック路線」とか似た言葉を使ったのはあくまでも後の評論家達であって、
ペイジ自身やジェフ・ベックも自分達が選んだ道を「ハードロック路線」だと思ったり「ハードロック」自体を意識・認識してなかったということもないわけではないですが。
ハードロックじゃないと思われるもう一つの理由に、ツェッペリンは結果的にフォークロック路線をも取り込んで、
二者択一の選択のうち、凄いことに、両方を達成してしまったということもあるかもしれません。
更にCelt・India&Arabのいわゆる「CIA路線」も確立しております(Aは違うものだったかも)。
一方のパープルは、意識的かどうかはともかく、わかりやすいハードロックのカッコ良さを追求してしまった結果になってます(特に第2期)。
○メタル/ハードロックというと『白っぽい』イメージがあるけど、ジョン・ボーナムがジェームス・ブラウンのことを大好きと言ってる通りツェッペリンはリズム隊がとにかく『黒い』
僕は、仮に白黒に分けるとしたら、HRが黒でHMが白となるかもしれませんね。という意味ではやはりZEPはHRですね(笑)。
ツェッペリンが非ハードロックファンにウケてる部分って、
ボンゾの存在によるHMとはまた違った重さとか、ソウルミュージック系の「黒」さ、音楽性の分厚さ、サウンドのもわっとした重厚さが挙げられるかもしれません。
ちなみにJB好きと言えばやはり「聖なる館」のThe
Crungeですね。
○パープルのドラマーの方も実はシャッフルとか(ダブルシャッフルも)メチャクチャ上手いみたいですね。
これもZEPとパープルの違いとか、ハードロックのドラマー論に関係してきます。
パープルに関して言えばイアン・ペイスのドラムスの軽さもあってか、あの名盤「マシンヘッド」ですら当時のミュージックライフのディスク評で
「このバンドはどうも軽いんですよねぇ。」
と、今ではびっくりするほどよろしくない評価が書かれています。
ボンゾやコージー・パウエルと違いイアン・ペイスのドラムスはそのパサパサした軽さから言って、YESのビル・ブラフォードの方に近いかもしれません。
○(前述の文章から逆に)ツェッペリンの成功を知ったベックがツェッペリンに対抗
しようとしてジェフ・ベック・グループを組んだのでは?
「あてずっぽに書いてしまったか?」と思ってちょっと「レコード・コレクターズ増刊ブリティッシュ・ロックVol.1」を見たんですが、
「truth」もZEP1stも’68発表なんですよね。
ということで、どっちが先かは、もうこれは、月単位で調べるしかないわけで、ちょうど百年前の幕末史を覚えるような大変な作業です。
かといって、幕末ファンにとっても、ハードロック史を調べる方のが、簡単なはずです。で、上記資料を使ってやってみました(笑)。ネタ作りには最高の問題提起ですw。
年表?
’66・12月 | ジェフの方がジミーを残してヤードバーズを脱退 |
’67・ 3月 | ジェフがソロ・シングル”ハイ・ホー・シルヴァー・ライニング”を発表。全英14位。 その直前からバックバンドの陣容が模索され、3日には暫定メンバーによるロンドンでライヴ。 |
’68・6・14 | ジェフ・ベック・グループ(JBG)、アメリカでのデビュー・ギグを開催。 この時点では米エピックはまだ「トゥルース」の発表を保留。 |
’68・ 7月 | キース・レルフとジム・マッカーティ、ヤードバーズを脱退。 残ったジミーとクリス・ドレヤが新メンバー探しを開始。 |
’68・ 8月 | 6月14日ギグでの評判を元にマネージャーに売り込まれてJBG「トゥルース」発売。 発売後3日間で4万枚が売れ、全米15位まで上昇。 ちなみにこのときのマネージャーはピーター・グラントであり直後にZEPを担当。 |
’68・10・? | ペイジ・プラント・ボーナム・ジョーンズのラインナップで(クリス・ドレヤはこの時点ですでに脱退)、 ニュー・ヤードバーズがデンマーク公演でデビュー(赤岩和美説。9月説もあり)。 この月JBGもアメリカン・ツアー開始。 |
’68・10・19 | 「ヤードバーズ」の名を捨て、「レッド・ツェッペリン」と改名。 |
’68・11月 | この時までに2週間でZEP1st録音。 |
ということで頁や著者によって若干矛盾もありますが、早ければ’68・6月の時点でジミー・ペイジはJBGの「ハードロック路線」成功の報に触れてますね。
そして短期間の内に自分のバンドも似た路線を歩む事を決断した、と見ていいでしょう。っていうかP271に、
新しいバンドの音楽の方向をアコースティック・ロックにするか、ハード・ロックにするかと迷っていたときに、旧友ジェフ・ベックのアメリカでの成功を見て、ためらわずにハード・ロック路線を選択したのも彼だし、・・・・・・・
と書いてあり、僕が見たのはまさにこの文章でした(笑)!
ただジェフはその後コージーを入れたのにファンキーな(?)第2期JBG(注1)
を経てベック・ボガード&アピスを結成しているので、
ツェッペリンの成功後ベックがツェッペリンに対抗するハードロック路線を意図してた時期があったとしたら、
それはBB&A結成時ということはあり得ます。
もう一つ、ジミー・ペイジには「アコースティック・ロックかハード・ロックか」という選択肢がありましたが、
ジェフ・ベックにはその片方のアコースティック・ロックとかフォーク・ロックという選択肢が果たしてあったか、ですね。
クラプトンでもアコギを持ったのに、ジェフ・ベックはフォーク・ギターを持ったという話を聞きませんし、逆に最近はテクノっぽいアルバムを作ってますからね〜(笑)。
(注1)「第1期」JBGグループでもTruthとBeck−Olaではメンバーが違うので厳密に言うと(他のバンドの例で言うと)、
Beck-Olaの編成が「第2期」、コージー・パウエル時代が「第3期」になるはずなんですが、
このバンドの場合、2作とも発表直前にちょこちょこしたメンバーチェンジがあり、
それを考えるとかなりややこしくなるという理由で、
TruthとBeck−Olaの時代を「第1期」、コージー・パウエル時代を「第2期」としているみたいです。
というか僕もそっちの方が簡単なので、JBGの場合は通例どおりそういう風に扱います。
なお日本には、「オリジナル5+3=8」のメンバーチェンジをしてるグループ。もありますが、
これも洋楽の常識でいえば「第2期メンバー」は3の方だけじゃなくて全体の8の方です。
3の方は「第1次追加メンバー」か、「卒業」するグループ。なので「第2期生」の方が適切だと思います。
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