ハモリパートの作り方

みなさん、今までに一度ぐらいは「合唱」を経験したことがあると思います
ソプラノ、アルト等、各パートの歌が出会うことによって
とても素敵なハーモニーが生まれますよね
今日では、TV番組などの影響や優れたアーティストたちの手によってゴスペル、ア・カペラも人気です
それらだけではなく、どんなポップスでもロックでもハモリが入ることによって
曲が非常に面白いものになったりします

みなさんも、作曲編曲をしていく中で「ハモリを入れたい」なんて考えることもあると思います
そこで、ここでは簡単なハモリの作り方を楽譜を見ながら学んでいこうと思います
また、これは歌によるハモリだけに限らず
ストリングスなどを編曲して入れる場合にも同じことが言えるものです
つまり、編曲の基礎の一つにあたります
より良い編曲を行う為に、学んでみて下さい


本当の基礎は二つだけ

このコンテンツをご覧の方の中には作曲編曲講座を読まれた方もいると思いますが
ここでも、同じことを書きます
全ての音楽は調に、つまり音階に基づいて成立しうるものです
そして、その音階の中に存在するメロディーにハーモニーを持たせるための物が和音(コード)です
音階と和音に基づかなければ、綺麗なハーモニーは成立しません
これは、ハモリに限らず全ての曲の全てのパートに当てはまることです
ではまず、このコンテンツで例に使う楽曲の楽譜を見てみましょう

この楽曲はこのコンテンツ用に作成したものです
Vocalと書かれた部分がこの曲の歌、つまりメロディーに当たります
ちなみに下の二つ(Piano)はコードを分かりやすく見るために入れたもので
実際には伴奏だと思ってください(笑)
まず、この曲の解説を行います
この曲は調号がファに#になっています
つまり、ト長調の曲です
コード、メロディー共に臨時記号は存在しません
では、早速ハモリを入れてみましょう

ハモリをつける

上図で先ほどのVocalパートに新たな音が加わっているのが分かると思います
最初の音に注目してみます
元々のメロディーは「シ」の音です
そして、コードは「G」です
新たに加わったハモリパートの音は「レ」の音です
これを聞いた瞬間ほとんどの人が分かったと思いますが、加えられた「レ」の音は
Gコードの中の音です
続いてDコードの音
メロディーが「レ」に対して、ハモリは「ファ」となっています
これもDコードの音の一つですよね
つまり、メロディーの流れと同じように、同じコードの別の音を辿ってやったのが
上のハモリ例です
実に単純明快でしょう(笑)
これが最も簡単な入れ方です

さて、ここで、余談を一つ
最初の小節のハモリをみると、レ−ミ−ファ−ファとなっていますが
レとファは分かりますが、中に挟まれた「ミ」の音
これはGコードではありませんよね
よくみると、メロディーもシ−ド−レ−レと、関係のない「ド」の音が入っています
この一見全く無関係に思える音ですが、実は無関係ではないのです
メロディーではGのシの音と、Dのレの音
ハモリではGのレの音と、Dのファの音とを結ぶいわゆる経過地点にあたる音になります
この音と音とを結ぶために経過する音を「経過音」と言います
これは、3小節目のC→Gとなっている部分にも出てきています

上のハモリ例を見て下さい
先ほどと基本は同じです
ハモリの第一音ソそして次の音へのラの間には経過すべき音が存在しません
ですから、ここではソ−ソ−ラ−ラと同じ音を演奏しています
しかし、そういった点を除いて全体をみてみると
先述したとおり、音階と和音に忠実に音を加えているだけなのが分かると思います

上のハモリ例もまた、先ほどと同じことをしています
しかし、先ほどはメロディーよりも低い音でハモリを入れましたが
これはメロディーよりも高い音で入れてあります
メロディーよりも高く入れるのか低くいれるのかに決まりはありません
それは編曲者のイメージによって決められることです

さて、このハモリ例からちょっと趣向を変えてみましょう
今まではメロディーと同じリズムでハモリを入れました
しかし、上の例では3小節目から、メロディーとはリズムが変っています
メロディーをうたっている後ろで「ルールールー」など入ってくる場合などをイメージしてください

最後のハモリ例では、メロディーに対してのハモリという域を脱し
メロディーを追いかけるというハモリを入れてみました
2小節目でメロディーが「ミ−レドレ−」と歌った直後にハモリが「レドシ」と続いていきます

さて、ここまでで5つのハモリ例を示しましたが
勘の良い方ならもう気付いているでしょう(笑)
組み合わせは無数にあります
私が示した例はそのほんの一部に過ぎません

ハモリは一つじゃないといけないなんて決まりもありません
それこそ、極端に言えば、ハモリだけで8パートなんてことも出来ます

繰り返して言いますが、大事なのは音階と和音に基づくということです
そして、それを何度も聞きなおしてみることです
しつこくないか?変な音がはいっていないか?など、注意して聞きなおしてみましょう
細かい理論をしらなくても、これさえ守れば綺麗なハーモニーはできます
格好よくしたいからと、関係のない音を入れる人を見たことがありますが
それではそれぞれの音だけでは格好よいかもしれませんが
ハーモニーとして見ると、滅茶苦茶な音になってしまいます

もし、さらにゴージャスで美しいハーモニーを求めたい人は・・・
和声学を学んで見て下さい(*^^*)
実は対位法なんて・・・所詮はこんなものなんですよ(笑)
基本的に上の説明にさらに細かい決め事などが加わるようなもので
それによって、ハーモニーが豊かになるのは事実ですが・・・先述したとおり
自分で聞きなおして追求すれば・・・案外理論に基づいたものになるものです(爆)


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