プリティーヘイトマシーン インタビュー |
厳寒の扇町公園で世界の終末をみた__。
96年2月、プリティーヘイトマシーンの第2回公演『Skull shot・・・Straight to brain!』が、 真冬に野外というロケーションでおこなわれた。 苛酷な寒さと雪の中、瓦轢とノイズが飛び交う。 つめかけた観客達は目の前で繰り広げられるGrave new worldに引きずりこまれていった。 |
プリティー・ヘイト・マシーン(以下P.H.M.)は1994年に結成された演劇集団である。
演劇はあまりみない筆者だが、P.H.M.には既存の劇団とはまったく違う魅力を感じている。 ノイズやインダストリアル、ハードコアパンクなどをバックボーンとする音へのこだわり、 また多数のモニターをつかうなどの視覚へのアプローチ、 破壊的衝動そのままの演出など、 P.H.M.の表現には音楽系の人間を巻き込む要素が多いからだ。 扇町公園内に彼ら自身の手でつくり上げられた劇場は旗がかかげられ、 まるでヒッピーかパンクスのコミューンのように異彩を放っている。 つめかけた観客達は(これまた個性的な若者が多い)完全鋼鉄の劇場に誘導され、 芝居が終わるまでの間、なかば監禁される。 彼らの第1回公演『豚の神様/God is the bastard』は94年8月、台風の直後におこなわれた。 トラック3台分の瓦轢と雨の中、泥まみれの役者達は観客の頭上や足もとをはいまわった。 第2回公演『Skull shot・・・Straight to brain!』では 「I’M GOD」のナレーションとともに観客のまわりに鉄のフェンスが落ちてきた。 火薬の匂いが立ちこめ、 われわれはフェンスの外側からの狂人の攻撃にさらされることになった。 今回インタビューに応えてくれたのは、 P.H.M.の主宰者である樋口敦子 (役者名は朝吉。『Skull shot〜』ではロボットづくりに没頭するパンクスを熱演)。 そして原案・脚本・演出を手がける影の主宰者、 内田欽弥 (役者としても『Skull shot〜』では 多くの登場人物に影響を与える潜在意識=神?を演じた)の二人である。 |
●結成の動機は?
内田(以下U:)前やってた劇団とちがうことをやりたくなった。 樋口(以下H:)何かやりたいなと。 U:前からずっと何かやりたいなというのがあって。 昔からハードコアのバンドとかみとったから、ああいうのがやりたかったけど。 何やかんやしてたら、ある劇団の公演をみて結構感動してしまった。 芝居なんかみるのは初めてやってん。 野外で、丸太で建てたサーカス小屋みたいなところでやってて、 客席とステージが見分けつけへんような所で、 もう「何やねんこれは!」と。それが衝撃やって。 最初はスタッフで手伝わしてもらおうと思ってたのに何かの手違いで役者の方に。 H:わたしもきっかけはみにいったこと。 全部自分達で劇場つくってやってることとかがすごいと思って。 さっきまでドロドロの格好で地下足袋はいてパネルとか運んでた人が舞台に立ってる。 それが入りこんだきっかけ。 U:ほんでやってるうちに、他の劇団のこととか 「あ、こんな芝居もあるんや」ということがわかってきた。 昔のアンダーグラウンドの芝居とかイモづる式にあのへんの世界も掘り下げていって。 そういう感じで2年くらいやってるうちに違うことがしたくなってきた。 で、その2年間っていうのは、芝居の組み立て方とか立ち上げ方を観察はしてた。 みためはチャラチャラしてるふうなんやけど、結構横目でみてた(笑)。 H:前の劇団では内容的なことに食い違いがでてきて、何か違うなあと。 先に内田君が役者やめて、何かやりたそうやし、わたしも何か違うと思ってるし、 自分達でやった方がいいなあと思って。 ●そこで集まってきた人達って結構いた? U:まあ役者の子とか。 H:友達の友達とか、こっちから声かけた人とか。 結構みんなおもしろがってくれて。 U:でもまあ、実質うちでコアな部分で関わってるって言ったら 俺と朝吉(樋口)と庄司(正幸)っていう劇場の設計してる人。 今日はきてないけど影のメンバーで。この3人かな。 H:プランの段階から関わってる。 ●劇場がとにかくすごいですね。 U: まあ、あのセットに関して言えば、僕個人のわがままでつくっちゃってる部分があるんで。 僕の遊び場なんですよ。 あんまりこれは言うたら他のスタッフに怒られるかもわかれへんけど。 ●あの完全鋼鉄の客席っていうのはオリジナルでつくったの? H:資材は借りたんですよ。 U:建築用の足場なんですよ。家を建てるところがあるでしょ。 その周りにかこいを建ててシート張ってるアレです。 ●スタッフ募集で「溶接できる人」ってのもすごいね。 U:結局一人もけえへんかって自分達でやったんですよ。 目を焼いたりしてね。目焼くんですよ。 あの光をずっとみて一日やってたら、次の日目あけへんようになるねん。 そういう奴がいっぱいおったけど・・・。 H:言いながら楽しんで、みんな顔真っ黒なっとったもん。 U:客席の四方の網とか、全部自分らで溶接した。あれは一週間かかったかな。 一日4枚のノルマとか言って。あれは一枚が4分割になっていて、 4つつくった奴をトラックとかに乗せられないから現場で一つにした。 素人やから、くっついてなかったりして、何回も何回もバーンと落としてテストして、 取れたらまたそこを溶接して。 ●どういう人が手伝ってるんですか? U:僕らみたいに働いたり働いてなかったりする奴。働いてても1〜2週間休みとれる奴とか。 随時10人くらい。ほとんど男ばっかりなんですよ。 H:学生の子もちょっとおったな。 U:女の子とか。男の奴は電気屋してたりとか、内装してたりとか、仕出し屋してたりとか。 ●みんな技術は持ってると。 U:それはありますよ。 ・・・野外が多いのは、そのシステムしか知らんから。 劇場とかああいうところは小さな予算では4日間くらいしか借りれないでしょ。 準備一日、二日公演、一日バラシみたいな。それやったら僕ら美術とかできない。 やっぱり美術や音響なんかに一週間はかけたい。 H:別に野外でなくても安く使える所があったら。 U:何もせんくせに偉そうにしてるだけで管理費とられたり、 そういう奴らがいるからそんな所では絶対したくない。 だけど次の公演は屋内でしたいんですよ。すごくしたいねんけど、 やるんやたら自分達の場所を見つけてやりたい。 H:自由に使えるところ。 U:もし、どうしても見つかれへんかったらまた外やけど、基本的には中でしたい。 見つかれへんかったらやめとこか思ってるくらい。 H:中でも作りこんでできる所。 U:いたる所の隙間を埋める。ジャングルジムのように組んで。 で、お客さんとかフリーで。そん中で、密室でやると。 ●例えば『Skull shot・・・Straight to brain!』の時は、事前にどういう問題点があったの? H:網が閉まるっていうのはもめたな。(上から鉄柵が落ちてきて観客を閉じ込める) U:あれは結構ムチャなことをしたな。まずアミをつくるってこと自体をあんまり考えてなかった(笑)。 やろうと言ってるわりには。強度とか材料とか・・・・そういうのが問題やった。 ●座ってる人の指がとんだり。 U:それも問題やった。当初は何もしないって言うとったけど、さすがに危ないやろって、赤線を入れた。 H:あとこないだ問題やったんは、モニターを使った。映像の。 あれも大変やった。初日倒れたし。 2台倒れとって、3台くらいフレーム壊れとって(笑)。 U:5台弁償。 ●映像をやった人って有名な人? U:スティーブ(ヤマグチ)さん。 H:日系3世の人で、ずっと大阪住んではって。 U:オフマスクOOとかの映像つくってた人。あとQooでVJやってたり。 天宮志狼さんとかと一緒にやったり。 H:大阪弁のうまい外人さんでね。 ●故障とかこわいですね。 H:砂嵐と夜つゆ。霜降りて溶けたらマズイから、そういうのはハラハラしとって。 冬風きついし。 すごいザラザラになってラジカセ2台つぶれたもん。 U:うちのオペレーションルームは雨とか土とか入らないようにガチガチに固めてた。 すごいですよ。砂がジャリジャリって。 そういうのを完璧にしのげるようなオペレーションルームをつくった。 ●映像もインパクトあったんですけど、P.H.M.の場合、音楽も大きな部分占めてますね。 U:音はね、すごく大きい。ムチャクチャ大っきい。全部ありものなんですよ。 ありもののCDを60〜70枚サンプリングして。一曲だらだら使ってるというのは全然なくて、 1シーンに大体一曲は流してるんやけど、そん中に5曲ぐらいのCDをぶち込んで。 オープニングとミッキーマウスのシーンの音楽は自分達で作ったけど。 ●それは誰がやるんですか? U:僕と庄司君。 H:器材が多くて体育座りしかできへん庄ちゃんの部屋で(笑)。2人で泊り込んで。 ●個人的にはどういうのを聴く? U:個人的にはハードコアパンク。結構なんでも聴く方なんで、僕は。自分が良いと思えば。 あとノイズも結構好きなんです。 ●モロでてますね。 U:芝居とかで使うのはね、ハードコアとか使えないから。 ノイズとか民族音楽みたいなものになってしまいますね。 ●季節設定は、1作目が真夏、次が真冬。 いろんな季節にやりたい。 U:例えば、次は雨の時期にやりたい、とかそういう感じで。 ●1作目の時は雨でしたよね。 U:あれは全然狙ってなかった(笑)。 H:あの時台風がきたんです。ずっと始まるまでカンカン照りで。 前の日にリハーサルやろうって音響さんがマイク仕込んで「ちょっとメシ行ってくるわ」って言うて離れたら、 グワーって雲がきて暗くなってきてグワーって雨降ってきて。 マイク何本かやばかった。それからずっと雨降ってた。美術の子が呼んだって噂が(笑)。 セットがねえ、木をたくさん使ってたから、軽い感じのが雨に濡れて重い感じになったんです。 そのへんは良かったなあ。 U:うん。結果的には良かったと思うねんけど、やってる時は泣きそうやった。 ●ジャングルとかマングローブとか、そんな感じで。 U:あの時は廃材をとにかく使おうって。 とにかく初日に全部つぶそうと。「次の日またつくろうや」って。 ●出演者の中で劇団『維新派』の人がいるってきいたけど、どの人ですか?。 子供の役の? U:そうです。女の子の方は違うけど。いがらしだいすけ君。 ●あの人達はけっこう他の人と違いますね。 U:そうそうそう(笑)。 ●本格的な感じで。 U:けっこう前からやってる。 H:いまでは古い方かなあ。 ●女性の方は。 U:東野(祥子)。あいつはホンマはモダンバレエやってる奴なんですよ。 ●『Skull shot・・・』は3日間それぞれ 「ブルタルガールmix」「エコヘッドmix」「トゥ ホワッツ エンド?mix」と称して、 違う部分があったそうですけど。東野さんが踊ってたのが・・・ U:1日目と3日目。 ●リンボーダンスしてたのが・・・ U:2日目。 ●一日目と3日目の違いは? U:芝居の並べ方を変えた。暗闇の中、車がでてきて前田(信次)って奴がその車に入ってて 運転者を殺して車を盗んでいくっていうシーンが3日目にあったけど、 初日は車を盗んだ後から始まる。3日目はそのへんを順序よくやった。 ●内田さんの役「潜在意識」が語りかけるところも2通りなかった?。 モニターから喋ってる時と、外で喋ってる時と。 U:あれは初日に間にあわなくてモニターを使ってリハーサルができなかったから。 コワかったんでやめた。 H:スティーブさんと全然連絡がとれなくて。 U:ちょっと時差が。アメリカ時間と日本時間の(笑)。 ●大阪在住でしょうが(笑)。 H:住んでるけど感覚は外人やからなあ。 でもまあ、頑張ってくれて最後の日は良かった。 U:2日目も良かったよ。 ●老け役っていうか、死体回収人の役の人(南田和紀)。あの人はどういう人? U:あの人も維新派の人。あの人は天然ですわ。あのまんま(笑)。 H:でもすごい芝居してんねんで、自分では(笑)。 U:芝居したらするほどすごくなる。天然になんねん。 H:いろいろ考えてんねん、ナンちゃん。手ケガして包帯巻いてたんはマジっていう。 U:初日に作業してて切ってん。 ●お金の制約で断念したネタってある? U: そらある程度、線引いとかんと 見境いなくなるからね。 今回もかなり見境いなかったんですよ。 ●どっちがブレーキ役? U:(樋口を指差して)彼女一応制作ですから。 H:「やめて、お願い!」(笑)言う方。でもやる言うたら、「はい」言うてやる方向に考えなあかん。 U:基本的に芝居やってる時、主催者は朝吉・・・樋口さんにしてるんですよ。 H:めんどくさいことはうちで。 内容を考えるのはそっちで。 U:スタッフ募集しても全然俺は関知しない。全部もう、樋口さん。 ●BAR NOISEでアメリカのSRLのビデオみたんですよ。 H:大好きやなあ〜。 U:もうビデオ全部持ってる。やっぱりあれみたらねえ〜。 H:アホらしなんなあ。 U:自分でやってることが。 ●あれってロボットがケンカするの? U:ロボット同士のケンカもあるし、お客さんにイヤがらせしてる部分もあるし・・・。 H:でも送ってないようでメッセージ送ってたりしてる。 U:ああいう感じなんやけどPOPなところもある。 あんだけハードなことしてるけど、アメリカ的というか。 H:みてる人が笑いながらみたり。おばちゃんとかみにきたり。 U:あの人らのアトリエでかかってる音楽ってラウンジミュージック。昔のアメリカの。 そういうのかけながら溶接してたり。そういう感覚がハードな中に残ってたり。 H:ただカッコいい機械つくって壊してるんじゃなくて、こんな小さいのがいてて手動いたり、かわいかったり。 なんかそれに顔ついてるだけで生き物に見えたり。 U:あれはちょっと狂ってるわ。 ●『Skull shot・・・Straight to brain!』でマシンと融合する少年がいたじゃないですか。 あそこにSRLの影響が。 U:あれを意識して。 H:あれも内田君と庄司君がコンピューター制御の勉強して。 U:MIDIっていう信号で全部。音のリズムで動かせるように。 ●なんか呼びかけたら反応してましたね、あのロボット。 H:ホンマはそのシーンでかける曲にあわせて動かすようにしたかったけど。 U:裏でキーボード置いてやってるんですわ。 H:ほんまは足をつけて客席までバーン行かしたかったけど、お金の都合でな。 U:次はもっと増やしますから。ああいう感じのを。だから室内でやりたいねん。 いろいろ仕掛けられるから。 H:外やったら管理しにくい。 ●公演の前は泊り込みするとか。 U:そう。一週間。 一応まあ、いっぱい器材あるから盗まれたらあかんから、とりあえずおろうって。 U:やっぱりあんな所で火事でもあったらね。「寒い」言うてる知らん奴がたき火でもされたらこまるでしょ。 ケガされてもこまるし。やっぱり何人かはそこおらんと。 ●エピソードなんか聞かせてください。 U:死にかけた(笑)。 H:テント横に張ってなあ、みんな泊ってたけど、やっぱり何枚服着て、何枚フトンかぶって寝ても・・・ U:6枚くらい着てもガチガチで体固まってなあ。 H:わたしはいろいろ用事もあったから帰ったりもしてたけど、みんなはずっと泊ってた。 U:底冷えがね。激しくて。 ●風邪ひくよ(笑)。 U:気合いですわ。全員気合いちゃうかな。 H:バリバリ風邪ひいた人って何人かしかおらん。 U:いやほとんどいてなかったと思うで。緊張してるから。 そりゃみんな鼻ズルズルはしとったけど体壊した奴っていてなかった。 終わってから調子崩した奴はいっぱいおるやろけど。 ●場所柄変な人も集まってきたでしょ? U:冬は一人ホンマやばい奴がおったけど。かなりキレとった(笑)。 劇場の暗がりの中で、今にも死にかけみたいにおって、 「そこで何してんの?」って言ったら「中入れてくれへんかなあ・・・」 。 二、三言喋ってこいつもう完璧にアブナイ奴やなと思ったから 「向こう行き」言うてそのまんま向こうの方へ(笑)。 ●投げた(笑)。 U:「死んでもええ」とか言うてて。そんなとこおったらホンマに死ぬ(笑)。 ええから向こうで死に!かめへんから死んでも(笑)。 ●修学旅行みたいな楽しいノリは? U:いや〜ないですよ(笑)。 H:それはもう3日目くらいで終わりや。 U:でも中でモチやいたりとかね。ヒバチ持ち込んで。酒飲んだり。 H:夜はそういうのは楽しかった。 U:酒ある程度飲まへんかったら夜寝てられへんもん。 ●あの寒さの中ではねえ。客でみててもね、カイロもらったけど2〜3時間が限界やね。 H:初日の前の日が一番寒かったな。リハーサルの時。 U:もう1℃や2℃やったらぬくいなあって感じやから。ああ1℃かあって。 H:ほんまジーっとしてられへんかった。 でもね、冬でもねぇ、プールの方の建物の所でフトンかぶって寝てる人とかいてはってビックリした。 わたしら中でも寒いっていってるのに。 U:夏の時は完璧ヤバかったんですわ。思いっきり周り浮浪者に囲まれとったから。 夏はあのへん溜まり場ですから。あそこで生活してますから。 H:水道で頭洗ってはるから。 U:お風呂やし。夜とかね、2時3時でもちょっと外でて様子みようかなあと思ったら、 やっぱ向こうの方でガサガサ〜って影が歩いてたりひんぱんにあるから、コワイなーって。 まあ来えへんけどね。 ●向こうも怖いでしょう。 U:基本的に何もしたないからあっこにおるわけやから(笑)。無気力やからそんな物を盗んでとかは・・・。 H:あ、でもママレモンとかスポンジを置いといたら石鹸がわりに持っていかれた(笑)。 U:でもこわかったな〜。 ●でも、そういうことも含めて楽しかったりしません? H:そりゃあ、そういうのも楽しんでやらんと続かへんし。 U:終わってからいつも二度とやりたないと思うんですよ。野外とか。前の劇団おってもそうやったし。 今も俺あまりやりたくないって感じやねんけど、 でもやっぱり日がたつにつれアホやから忘れるんかしらんけど、 またやりたくなる。 ●演じる人達とはセリフの意味とかは話し合ったりするんですか? U:一応まあディスカッションはするけど、俺の台本ってけっこうみんな遊べるようにつくってあるからうるさくは言えへん。 セリフに関してはあんまり言わへんねんけど、要はパッと見。フレームでみちゃうから。 フォルムで考える。立ち位置とか。パッと見、二人がやりあってるのを見て、 イヤやなあと思ったら完全に変えてしまう。 ●朝吉さんの演じたマシンと融合しようとする少年は最後どうなったの?。 ビートニクみたいな2人は死んじゃったし、オッサンはバットで叩かれて死んだじゃないですか。 あと主役の子供達は残って。あの少年の最後って結局どうなったの? U:結局あの役はねえ、にぎやかしっていうか、何も考えてないムチャクチャやってるだけの存在。 あったでしょ「無邪気な破壊衝動」って。アレですわ。ほとんどスジには関係ないっていうか。 俺は好きな役なんですけど。あの世界は人の脳の中っていう感じで、 すべて一人の脳の中っていうことにしたかってんけど。 H:だから全員にからむのは、内田くんのやった役だけで。彼が全部の人の頭の中に出現してきてるっていうこと。 ●車ででてきた2人とはからみましたっけ? U:最後の方で、前田っていう奴が独り言いってて俺が耳打ちして肩ポンって叩いたら それでそいつが完璧にわかったって感じで死んでいく。俺はでてないけど、あいつの頭の中には俺がおる。 で、いがらしの中にも俺はおる。南田君にしてもそうやし。 ●潜在意識って奴ですね。当初のプロットの「外科的手術を加えられた男達」っていうのは? U:あれは関係ないです。 H:っていうかオウムがやった時点でやめた。 ●P.H.M.は神というものにこだわって2作ともテーマにきてるんやけど。 U:ああ、あんまりこだわってはないけど、けっこうおもしろい素材っていうか。 宗教。あの中ででてる宗教観っていうのはいろんな宗教を思いっきりリミックスしてるんですよ。 イスラム教とか。変に言うたらオウムみたいなもんで(笑)。 あんまり僕とかそんなにくわしくないんやけど、本で読むくらいやから。 いろんな所の宗教観みたいなものを全部この前の芝居ではだしたっていうか。 もう多分次しないと思う(笑)。 H:あたしは・・・内田君は基本的に調べて書いてはるんやけど、 わたしはまあ極限の世界で信じれるもんは何なんやっていう感じに受け取ってるけど。 U:でもあんまりあれは自分の本筋ではなくて、ホンマの本筋は朝吉のセリフ「爆弾バァーン!!」。それだけです。 ●『豚の神様』では混乱した若者が沢山でてきて、そこに原始宗教みたいなものが起っていく様子。 これはSFっぽい非現実の世界ですね。今度の『Skull shot・・・』は現代のいろんなもんを 象徴するようないろんなタイプの人間がでてきて、そこに得体の知れない神か何かが現われて翻弄すると。 U:まあ、そんな感じですね。 ●ということは、2作目の『Skull shot・・・』の方が現実をよりリアルに書いてるんじゃないかなと。 U:結構意識はしてましたね。「今」いうのは常に意識はしてました。 ●じゃあ、作品に書かれているように「今」の社会に対してCHAOSを感じている? U:ねえ、イヤですよね(笑)。ホンマもう。けっこうこれは言うてええんかしらんけど、 一回つぶれた方がええんちゃうかなとマジで思う時ありますもんね。「俺もうええわー!」 H:(笑) U:一気にいくんやったら一回なくなったら?って真剣に思う時もあるから。結構ヤバイ。 でも直接行動おこしたりとかは(笑)。そんなんせえへんけど、コソっと思ってたりはしますよね。 ●死んでいった2人の若者がいたじゃないですか。あの2人は結局残った2人と同じことを言ってたんですけど、 結局自分達の本当の意味はわからずに死んでいったと。 U:そうです。 ●みんなさまよってるんやけど、わからないまま死ぬ奴もいる。今の世の中をCHAOSだと感じること自体、 本当はこんなもんじゃないんじゃないかって気持ちを持ち続けてるってことでしょう? U:ああ、僕も実際わかれへんしね。どうしたらええかわかれへんっていう部分があるからな。 H:出口のなさみたいなもんが。そういう普段あるものがでてくるんかな。 U:まあ・・・・それもあるけど、あんまりこんなん言うたらアレかもわからんけど、 筋みたいなんは僕らはこだわってへん。60年代のホラー映画とかバカバカしいのをホンマやりたいねんけど。 なんかいきなりボーン殴られて死んだりとか。あのへんを前面に出したいねんけど。 ●ほお〜。 H:次はそんなん。すごい。 U:結構やってたら出口なしの世界になっちゃう。今の現状を〜!とか。 H:次はほんまバカバカしいの。 U:血タラ〜でてきて。 ●スプラッター? H:今度はPOPなん。POP+お色気あり。 U:次は女の子ばっかりで。 ●脱ぐんですか(笑)? U:そういう子も来てくれたらなあ。 H:やるからにはそういう子も来てほしいですねえ。 ●次は屋内。 U:一応。まだわかんない。今度は名前変えてやるんです。『Venus decomposing』っていうのでやろうと。 もうP.H.M.も飽きたし。一応これを団体名にして。 ●『Venus decomposing』ってどういう意味? U:これはねえ、腐敗したとか。この”Venus”っていうのも女神とかじゃなくてこういうお姉ちゃん。 ●ああ、グラマーな。 U:こういうお姉ちゃんが殺されとって腐ってたとか。 ●いつ頃になりそう? U:まだ来年(97年)たちあげようとかいうアバウトな。でももし室内でできるんやったら、決まったら早いと思う。 前みたいに思いっきり金かけんとパパパっとできる範囲でやりたい。 ●芝居ってその時限りでしょ?ビデオに残したりはしない? U:一応あるけど公表はしない。 H:ただ、それだけ撮ってるだけやったら全然。やっぱり映像は映像用に撮りなおさないとみれない。 U:映画撮るわ。そんなお金あったら。 ●樋口さんはこないだ映画の制作に参加したとか。 H:お世話になって。プロデューサーの仕事を教えてもらったりとか。監督、高岡茂いう人なんやけど。 映画のスクリプター、記録というのを初めてやったんですけど。「ベイビー・クリシュナ」っていうタイトルで 。 ネパール人の男の子が日本にきて友達見つけてって友情モノ。 来年(97年)ぐらいに第七芸術劇場かどっかでやると思います。 ●『豚の神様』やってた少し後に、その映画館で『君が元気でやっていてくれると嬉しい』って映画があったんですけど、 あれはなんか近かった。感覚が。 U:ああ〜、はいはい。 H:あれは友達。ほんで先輩がでてた。 U:主役の筋肉こんな人いたでしょ。あれ○○(東京の有名なハードコアバンド)の元ベース。 ●あ、そうなん?格闘家。 U:格闘家。体術やってて今シューティングの試合にでたりしてます。 H:あいさつが蹴りなんです。 U:元気〜?欽ちゃん。ミゾオチどーん。むっちゃヤバイ人。 △△(これまた東京の有名なハードコアバンド)の結成メンバー。 H:昔の話いっぱい聞いた。いまあんなに穏和やのに(笑)。 U:映画ね。やりたい。 H:しんどかったけど勉強の一つと思ってやったんです。 ●演じる人達とはセリフの意味とかは話し合ったりするんですか? U:一応まあディスカッションはするけど、俺の台本ってけっこうみんな遊べるようにつくってあるからうるさくは言えへん。 セリフに関してはあんまり言わへんねんけど、要はパッと見。フレームでみちゃうから。 フォルムで考える。立ち位置とか。パッと見、二人がやりあってるのを見て、イヤやなあと思ったら完全に変えてしまう。 ●朝吉さんの演じたマシンと融合しようとする少年は最後どうなったの?。 ビートニクみたいな2人は死んじゃったし、 オッサンはバットで叩かれて死んだじゃないですか。 あと主役の子供達は残って。あの少年の最後って結局どうなったの? U:結局あの役はねえ、にぎやかしっていうか、何も考えてないムチャクチャやってるだけの存在。 あったでしょ「無邪気な破壊衝動」って。アレですわ。ほとんどスジには関係ないっていうか。 俺は好きな役なんですけど。 あの世界は人の脳の中っていう感じで、すべて一人の脳の中っていうことにしたかってんけど。 H:だから全員にからむのは、内田くんのやった役だけで。彼が全部の人の頭の中に出現してきてるっていうこと。 ●車ででてきた2人とはからみましたっけ? U:最後の方で、前田っていう奴が独り言いってて俺が耳打ちして肩ポンって叩いたら それでそいつが完璧にわかったって感じで死んでいく。 俺はでてないけど、あいつの頭の中には俺がおる。で、いがらしの中にも俺はおる。 南田君にしてもそうやし。 ●潜在意識って奴ですね。当初のプロットの「外科的手術を加えられた男達」っていうのは? U:あれは関係ないです。 H:っていうかオウムがやった時点でやめた。 ●P.H.M.は神というものにこだわって2作ともテーマにきてるんやけど。 U:ああ、あんまりこだわってはないけど、けっこうおもしろい素材っていうか。宗教。 あの中ででてる宗教観っていうのはいろんな宗教を思いっきりリミックスしてるんですよ。 イスラム教とか。変に言うたらオウムみたいなもんで(笑)。 あんまり僕とかそんなにくわしくないんやけど、本で読むくらいやから。 いろんな所の宗教観みたいなものを全部この前の芝居ではだしたっていうか。 もう多分次しないと思う(笑)。 H:あたしは・・・内田君は基本的に調べて書いてはるんやけど、 わたしはまあ極限の世界で信じれるもんは何なんやっていう感じに受け取ってるけど。 U:でもあんまりあれは自分の本筋ではなくて、ホンマの本筋は朝吉のセリフ「爆弾バァーン!!」。 それだけです。 ●『豚の神様』では混乱した若者が沢山でてきて、そこに原始宗教みたいなものが起っていく様子。 これはSFっぽい非現実の世界ですね。 今度の『Skull shot・・・』は現代のいろんなもんを象徴するようないろんなタイプの人間がでてきて、 そこに得体の知れない神か何かが現われて翻弄すると。 U:まあ、そんな感じですね。 ●ということは、2作目の『Skull shot・・・』の方が現実をよりリアルに書いてるんじゃないかなと。 U:結構意識はしてましたね。「今」いうのは常に意識はしてました。 ●じゃあ、作品に書かれているように「今」の社会に対してCHAOSを感じている? U:ねえ、イヤですよね(笑)。ホンマもう。けっこうこれは言うてええんかしらんけど、 一回つぶれた方がええんちゃうかなとマジで思う時ありますもんね。「俺もうええわー!」 H:(笑) U:一気にいくんやったら一回なくなったら?って真剣に思う時もあるから。結構ヤバイ。 でも直接行動おこしたりとかは(笑)。そんなんせえへんけど、コソっと思ってたりはしますよね。 ●死んでいった2人の若者がいたじゃないですか。 あの2人は結局残った2人と同じことを言ってたんですけど、 結局自分達の本当の意味はわからずに死んでいったと。 U:そうです。 ●みんなさまよってるんやけど、わからないまま死ぬ奴もいる。 今の世の中をCHAOSだと感じること自体、本当はこんなもんじゃないんじゃないかって 気持ちを持ち続けてるってことでしょう? U:ああ、僕も実際わかれへんしね。どうしたらええかわかれへんっていう部分があるからな。 H:出口のなさみたいなもんが。そういう普段あるものがでてくるんかな。 U:まあ・・・・それもあるけど、あんまりこんなん言うたらアレかもわからんけど、 筋みたいなんは僕らはこだわってへん。 60年代のホラー映画とかバカバカしいのをホンマやりたいねんけど。 なんかいきなりボーン殴られて死んだりとか。あのへんを前面に出したいねんけど。 ●ほお〜。 H:次はそんなん。すごい。 U:結構やってたら出口なしの世界になっちゃう。今の現状を〜!とか。 H:次はほんまバカバカしいの。 U:血タラ〜でてきて。 ●スプラッター? H:今度はPOPなん。POP+お色気あり。 U:次は女の子ばっかりで。 ●脱ぐんですか(笑)? U:そういう子も来てくれたらなあ。 H:やるからにはそういう子も来てほしいですねえ。 ●次は屋内。 U:一応。まだわかんない。今度は名前変えてやるんです。 『Venus decomposing』っていうのでやろうと。もうP.H.M.も飽きたし。 一応これを団体名にして。 ●『Venus decomposing』ってどういう意味? U:これはねえ、腐敗したとか。この”Venus”っていうのも女神とかじゃなくてこういうお姉ちゃん。 ●ああ、グラマーな。 U:こういうお姉ちゃんが殺されとって腐ってたとか。 ●いつ頃になりそう? U:まだ来年(97年)たちあげようとかいうアバウトな。 でももし室内でできるんやったら、決まったら早いと思う。 前みたいに思いっきり金かけんとパパパっとできる範囲でやりたい。 ●芝居ってその時限りでしょ?ビデオに残したりはしない? U:一応あるけど公表はしない。 H:ただ、それだけ撮ってるだけやったら全然。やっぱり映像は映像用に撮りなおさないとみれない。 U:映画撮るわ。そんなお金あったら。 ●樋口さんはこないだ映画の制作に参加したとか。 H:お世話になって。プロデューサーの仕事を教えてもらったりとか。監督、高岡茂いう人なんやけど。 映画のスクリプター、記録というのを初めてやったんですけど。 「ベイビー・クリシュナ」っていうタイトルで。ネパール人の男の子が日本にきて友達見つけてって友情モノ。 来年(97年)ぐらいに第七芸術劇場かどっかでやると思います。 ●『豚の神様』やってた少し後に、その映画館で『君が元気でやっていてくれると嬉しい』って 映画があったんですけど、あれはなんか近かった。感覚が。 U:ああ〜、はいはい。 H:あれは友達。ほんで先輩がでてた。 U:主役の筋肉こんな人いたでしょ。あれ○○(東京の有名なハードコアバンド)の元ベース。 ●あ、そうなん?格闘家。 U:格闘家。体術やってて今シューティングの試合にでたりしてます。 H:あいさつが蹴りなんです。 U:元気〜?欽ちゃん。ミゾオチどーん。 むっちゃヤバイ人。△△(これまた東京の有名なハードコアバンド)の結成メンバー。 H:昔の話いっぱい聞いた。いまあんなに穏和やのに(笑)。 U:映画ね。やりたい。 H:しんどかったけど勉強の一つと思ってやったんです。 ●資金ってどうなってるの? U:自分で働いて。そのお金プラス。 H:メンバーとスタッフの一部から。 U:月に一万ずつ。 H:出演者の人だけはケイコ代とかいるし。森ノ宮の会館とか借りるんですけど。 U:で、あと大阪市から20万。 ●助成金。でかいですね。 U:20万はでかい。 H:まあ助かるけど。 U:で、あとは人の善意。 H:そうそうそう。 ●何人関係してるかって考えたらすごいな。 U:でもやるからには新しい人としたいから。 ●(パンフレットを見ながら)この人映画『君が元気で〜』の主役の女の人。 U:そうそう、うちの飯炊き係(笑)。とにかく新しい人と関わりたいから。 みんなとびこみなんですよ。スティーブもそうやし。 「今度こういうことやるんで」言うて企画書みせて頼みにいって。 ほんだら彼の家が天満の方で、前の公演のセットを道から見てて覚えとったらしいんですよ。 あ、ほんだらおもしろそうやしやりましょかって。この芝居のために初めて関わった人とかも多い。 それが面白い。結構緊張したりとか。 H:『Skull shot〜』のパンフレットつくってくれたHYPERBOLE COMMITMENTやってる山下君っていう人は ビジュアルデザインを3人でやってて、この人達もフリーペーパーを配って コミュニケーションをしようっていう人達で。 U:この子らテクノの子らなんや。彼らのミニコミって、字とかあんまりないんですよ。 見開きのポスターみたいになってて、もらった人が部屋に飾ってくれたら嬉しいみたいな感覚で。 H:それを私達もフォーエバー3とかでもらって、なんかかっこいいな〜って家に置いてて。 ほんで声かけてみよかって。 U:向こうもこういうのやってても反応がないから。 H:で、喜んでくれて。タダでやってもらってんな(笑)。 ●太田螢一さんのイラストもインパクトすごい。 U:あれも飛び込みで書いてもらったんですよ。お金払って。 H:必死で連絡先を調べて。 U:ほんでダメもとで頼みに行って。 H:一回目の公演の写真とか全部資料持って東京まで行って。自分で言うてはったんですけど。 「芝居はみないんだよね〜」って。 でもすごい応援してくれはって。 「頑張っておくれよ〜」とか言うて(笑)。なんかいっつも電話したら長電話になんねん(笑)。 U:ムッチャええ人。イラスト代も正規に代理店とかとおしたら何十万とかなるんですけど、 かなり安くしてもらえて。それも善意やし。 H:最近線描きの色指定の絵しか描いてないっていうのに、無理やりカラーで描いてくれーって。 U:あのタッチやないとアカン!とか言うて(笑)。 H:チラシのサイズより5mmほど大きいキャンバスにアクリルで描いてて。 U:すごいですよ。本物みたら感動する。 H:原画みた時、手震えました。電球の上に一本一本白い線が引いてあって。うそやろ〜って。 U:これもキチガイやな〜って。「ええ〜、どうなってんの!?」って。 ・・・最近になってやっとお金払ったしなあ(笑)。 H:「僕のは一番最後でいいから」って言ってくれはって。ついこないだ諸々の支払いが終わって。 U:やっと太田さんに払えるようになって(笑)。 H:毎月10万円くらい支払い済ましていって。 ●すごいなソレ・・・。言ってはりましたねえ、こんなことできるのもあと1年くらいやって(笑)。 じゃあ、最後に読者のみなさんにメッセージがあれば。 H:ライフワークって言ったらあれやけど、 スタンスが1年半とか大きすぎるんやけど・・・ いつかまた次やると思うんで、やってるなあと思ってのぞきに来てくれたら嬉しいです。 ●結構、道に迷ってる人達がああいうのみるとね〜。 H:こんなアホなことしてる人達もおるんやと思って自信がでるかもしれへん。 U:寒い時に。 ●僕も一作目の『豚の神様』をみた時に感じましたね。若い連中はみんな迷ってるやん。 その中で一人一人が自分のやりたいこと見つけていかなあかんて。 U:ああいうのって態度表明やから「俺らはこういうことやってるんやから君らはどうなん?」 っていうのんを一番言いたい。 俺らはこんだけのことしてる。君らはどんだけのことできるのん?って言いたいですね。 |
(取材:96年9月16日)
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PRETTY HATE MACHINEは2002年11月22日(金)〜25日(月)
4回公演「阿呆の王」を行います。 場所:大阪南港国際フェリーターミナル前駐車場 料金:前売り3000円 当日3500円 チケット発売日については後日PRETTY HATE MACHINEホームページにて発表されます。 |
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