KIRIHITO
interview
photo
& text by Keiichi Minagawa
7.May.2000
KIRIHITO
are
KEN
TAKEHISA - guitar, vocal, synthesizer
SHUNSUKE
HAYAKAWA - drums
←写真をclick
●3rd アルバム"SUICIDAL
NOISE CAFE"(nanophonica)について、ききたいのですが
今回は実に音楽的なアルバムですねー。「キリヒト、音楽に向かったな」と思いました。
KEN「??? じゃあ前のは音楽に向かってなかったんですか?」
●いや、そういうわけじゃないですけど。前は音楽のワクを飛び越えたような感じだった。
KEN「はあ。ど〜う変ったんですか????」
●たとえばドラミング。
HAYAKAWA「いきなりドラミング!?(笑)」
●前はそばに寄ったら怖いような破壊性を感じた。今回はグルーヴ感。ビート感。
さらに鼓動感。そしてリズミックな・・・
HAYAKAWA「どうだろうねえ〜。そりゃじょじょに変ってたんだろうねえ〜。」
●音の乗せ方とかリズムはたぶんにテクノ?
KEN「ビートが機能的に音数の少ないところでグルーヴ、って考えちゃうと、
テクノ的って言えばそうですね。
でも『こういうリフがあって、こういうリズムがあって、こんなに気持ちいい』
って発見した時に、
それが別にテクノであってもガレージであっても、自然の流れの過程の段階だと思うんです。」
HAYAKAWA「やっぱテクノみたいな音は気持ちいいじゃないですか。
次やっちゃうと、きっと変っちゃうと思うけどね。」
●ギターは単音リフが、ほぼ全編。これはたぶんにロックンロール+サーフロック+ガレージ?
KEN「そりゃあもう〜。スタンディングドラムにグレッチ(KIRIHITOの構成)
ってだけでもガレージっぽいじゃないですか。」
●ああそうか!音色は乾いたようなツヤのある音で。
KEN「一曲一曲アンプ変えたり、そのへんはこだわり。楽しくやれました。」
●2曲目や3曲目のグルーヴは、たぶんにソウル、ファンク???
KEN「好きですよ僕。ソウル。子供の頃から(笑)。ソウルミュージック。大好きですよ。」
●ホントですか??
KEN「ええ、ブルースとか(ニヤニヤ笑)。
でも2曲目は俺らなんかにすると珍しい感じはするかな。
前のアルバムから比べたら。わかりやすい。」
HAYAKAWA「けっこうHIPだもんね。」
●『cut』って曲で中国語が入ってたり、YMOみたいなヴォイスエフェクトがあって。
たぶんにテクノポップ?
KEN「あ、ボコーダーみたいのを。YMO世代ですからね。」
●聴いてました?
KEN「聴いてましたね〜」
HAYAKAWA「俺なんかドップリだったもん。はじめてみたライヴがYMOだから。
でもみんなそうだったの、昔は。」
KEN「小学校の時初めて並んで買ったレコードがYMOだもん。
でもそれを今まじめにやるんじゃなくって、面白おかしくやらざるをえないな。」
●そういえばかつてベンチャーズの前座をヒカシューがやってたという
事実に通じるようなテイストがある(笑)。
前作まではほぼ一発録りだったのを、今回は多重録音でしたそうで。
KEN「そんな多重録音とかしてないよね。
ただ最初の生音のテイクを納得いくカタチで録りたかった。
気に入ったスタジオで録れるっていう条件があったから、
じゃあどういう風に録ろうかって考えられた。
そのへんが違うんじゃないですかね。
前は『このスタジオで、何日間で仕上げてくれ』っていう感じだったんですよ。」
●nanophonicaからリリースしたいきさつは?
KEN「そりゃあもう、真二(D.M.B.Q/増子真二)に誘われて。今日も会いましたけどね。
高速のサウナで寝てましたね(D.M.B.Qも別のライヴハウスをツアー中だった)。
HAYAKAWA「起きたらいなかったよ(笑)」
KEN「彼から『どうですか?』と言ってくれたので。
それに、さっき言ったように融通にきく作り方ができると。
これはやった方がいい、ぜひやらせてくださいと。
すごい力になってくれて。ギターアンプをたくさん貸してくれたんですよ。
アルバムのクレジットも真二君は「プロデューサー&マスター・オフ・アンプリファー」って書いたぐらい。
こういう音にするにはどうしたらいいかってきいたり、エフェクターも借りたしねえ。
●前のアルバムからはかなり時間があきましたが。
KEN「2年。なかなか曲ができんないってのはありますけどね。」
HAYAKAWA「ライヴ入ったら中断しちゃうからね。去年はだからあんまりやってないよ。
アルバムつくんなきゃあいけないから。大阪は99年は一回も来てない。
京都で一回やっただけ。」
KEN「すごい前からやってる曲も入ってる。『D.N.A+』とか。
最後にアルバムだけ用にアレンジ変えて、ベーシストが入ってるんですよ。
それをやりたくて。」
HAYAKAWA「座って叩いてる。」
●立ってああいうドラムを叩くってのは、まったくすごいですネ。
KEN「普通じゃない(笑)」
HAYAKAWA「たぶんねー、普通だったらフットでっていうところを、
耳で聴いてて勘違いして叩いてるからさ。そうなるんだよねー。
俺我流だよね。だって『邪道でいこう』だもん。
ドラムマガジンの特集があって。最初『ワンアンドオンリーな人』とか言ってたのに、
できた雑誌みたら『邪道で行こう』だもん。
KEN「ドラム界の変り者。」
HAYAKAWA「たしかに。でもいっぱいいるよね。そういう人。」
●『sutf』っていう曲のドラムは、間奏のところでDUBになりますね。
KEN「あれはTag
Ragの前さん(前川)さんだよね。ミックスの時に大阪まで来て。
一緒に仕事したかったから。
東京に来てもらうよりもこっちから大阪へ行った方がいいんじゃない?って。」
HAYAKAWA「TagRagでシングル録ったじゃない?(Spasmomとsplit)
あれでなんか変ってきた気がするよね。考え方が。こういう風にやるのかと。
前はアルバム10曲録って、次の日mixしてさあ、
前の日どうだったか忘れちゃうんだよね。
Tag Ragの時は1曲だったから、ていねいにできた。
アルバム1枚つくるのと同じぐらい集中力使って。
前さんとかだとベーシックなとこでわかってるから。」
●効果音をたくさん使っていますね。
KEN「効果音がんばりましたよ。風鈴とかね。うちわであおいで。
うちわの音が入っちゃって。
うちわのパタパタしてる音をあんまり入れたくなかったんだけど。
風鈴をいろんなとこで買ってきて。
風鈴にもいろいろあるんですよ。夏に録ったってのもあるんですけど、
冬にだすとかいうから風鈴がいいやって。
マイクもいろんなのを試しつつ。
オンマイクをオフで、アンビエントでいい音をいいマイクで。
まず背景つくってキャンパスの。
ライヴでもDATで流してやりたいな〜と。」
●曲ごとにテーマがありますよね。『Ohyo
death』は仏教的な「死」がテーマなのでは?
KEN「どうなんでしょうね〜、そうですね〜生と死の。鋭いですね。」
●deathのところだけデス声で。
KEN「そうそうデスヴォイス。」
●その前の『D.N.A+』って曲は、あれはSEXかな。性から生への瞬間。
KEN「ドラマチックですねー。う〜ん。うんうん。歌詞カード付けたかったんですよね。」
●最初は歌詞カードついてるの気付かなかったんですよ。
KEN「そうそうみんな気付かないみたい。」
●最初なしで聴いて。その後発見して、改めて読みながら聴いて。おもしろさが2倍に。
HAYAKAWA「万博のタイムカプセルみたいなもんで開けてビックリ。」
●コンピューターでプリントアウトしたら、文字化けして意味不明の記号が並んでる時があるんですけど、
それが変にかっこいい時がある。KIRIHITOのおもしろさってそれに通じるところがあります。
ところが実は、その記号列の中に意味が隠されていたと。
今回のはそんなアルバムですね。
KEN「やっぱり想像力をかきたてるものをやりたいですよね。
今回のも、こういうテーマだからここで感動してくれ、っていうんじゃなく、
それぞれ違うことを考えても成り立つみたいな。」
●メッセージ性はありますか?
KEN「もちろん。」
HAYAKAWA「意味はちょっと違うけど、メッセージって何かってのはあるよね。
『コレはビールだ』っていうだけでもメッセージなんだから。」
●歌詞カードに載ってる写真はどこで撮ったんですか?
photo by Ohayo?
KEN「歌とは関係ないんですけど、たまたまカメラマンにOHAYOさんって人がいるんですよ。
ギリシャによく行ってる人で。それでギリシャで撮ったんですよ。」
●中国かと思ったんですけど。
KEN「ラーメンマークってギリシャが最初なんですよ。実は。それがシルクロードに渡って。」
●釣りしてる写真も?
HAYAKAWA「あれはphoto
in 霞ヶ浦。茨城の。
あとねー、???川(聞き取り不可。埼玉かどこかの川らしい)っていう川があってね。
ハハハ、あれ裏と表全然違うよね。」
(おわり)