(全28回)

(昭和41年1月2日〜7月3日 但し「あけてくれ」のみ昭和42年12月14日)

<概要>

全てのバランスが崩れた恐ろしい世界。通称「アンバランスゾーン」。
この未知の世界に万城目(佐原健二)、一平(西条康彦)、由利子(桜井浩子)
が挑む。
円谷プロ初の本格的SFドラマ。

手始めに事のいきさつから書きたいと思う。
最初、円谷プロはフジテレビと提携して「WOO」を放送する予定であった。
ところが、アメリカとの契約交渉に失敗したので企画は立ち消えてしまったのだ。
このとき円谷英二はアメリカのオックスベリィ社の光学合成撮影機
「オプティカル・プリンター1200シリーズ」を見切り発車で発注していたのだ。

こんな状況では金は払えない。
困った円谷プロにTBSが助け船を出した。機材代金の肩代りを申し出て、
それを活用する企画を製作することになった。
その企画が「アンバランス」。すなわちウルトラQのことである。
ここらの話は実相寺氏の小説にリアルな描写で書かれていて興味深い。

円谷「実は3日後に船便で着くのだよ」

全員「しぇー!!」

ってな感じであった。
その頃テレビは16mmでとっていたが、ウルトラQは35mmで撮影し、それを16mmに
縮小するという形をとった。
1話の製作費が約500万円。当時のアニメ「スーパージェッター」が230万。
白黒の「ルーツオバQ」が270万。ドラマのカラーが350万が相場の時代(昭和40年)
では破格の金額であった。たっぷり金を掛けて良いものを作った訳である。
話自身もバランスがうまく取れていて破綻が目立たない。
だからあまり下世話な話はやりようがないのである。

強いていえばその次作「ウルトラマン」では予算不足で高視聴率にも関わらず
終わらせなければならなかった円谷プロの行き当たりばったりの経営感覚が
良く出ていて興味深い。
そんなに金がないならもっとLD出せよ。(限定とか廃盤とかせずにさあ)

今ではアスペクトの「ウルトラQ伝説」とかロマンアルバムが発売されていて
様々な資料が公表されているので細かいことは特に書かなくても良いでしょう。

あと、最初のキャスティングでは由利子が南弘子(女殺し屋花笠お竜!の相棒)、
一平が加藤春哉。ナレーターが若山弦三の予定だったらしい。やったらたぶん
変なものだったかも・・・・。

話も子供騙しは一切なく、なかなかアダルティーな感じであった。
同作品は私にとって最初に会ったSFとして今も血となり肉となり、
挙句の果てにはしっかりナスカ・カーのネタになっている。
怪獣の造形も最高!
できたら動画にしたかったが容量の都合で写真になってしまいました。



作品リスト&一口メモ

 1.ゴメスを倒せ!  脚本 千束北男 監督 円谷 一 (昭和41.1.2)
  
  大阪と東京を結ぶ弾丸道路の工事現場に二大怪獣登場。ゴメスは改造モスゴジで
   大村さんはアル中の土方。ゴメスとリトラ登場.。
2.五郎とゴロー   脚本 金城哲夫 監督 円谷 一 (昭和41.1.9)     くるみを食べて甲状腺異常を生じて巨大化した大猿とそだての親とのやや泣ける話。   この人はゴジラの山本さんだ。ゴロー登場。 
3.宇宙からの贈り物 脚本 金城哲夫 監督 円谷 一 (昭和41.1.16)     火星から帰ってきたカプセルの中には怪獣が入っていた。ナメゴン登場。
4.マンモスフラワー 脚本 金城哲夫 梶田興治 監督 梶田興治 (昭和41.1.23)     太古の植物が丸ノ内に蘇った。ジュラン登場。
5.ペギラが来た!  脚本 山田正弘 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.1.30)     怪獣版南極物語(笑)。ペギラ登場。
6.育てよ!カメ   脚本 山田正弘 監督 中川晴之助 (昭和41.2.6)     無意味なギャング&シュールな浦島太郎。カメロン登場。
7.SOS富士山    脚本 金城哲夫 千束北男 監督 飯島敏宏 (昭和41.2.13)   富士山の噴火がテーマだが中味は怪獣王子。ゴルゴス登場。
8.甘い蜜の恐怖   脚本 金城哲夫 監督 梶田興治 (昭和41.2.20)     ハードな人間ドラマ&マヌケな怪獣(笑)。モングラー登場。
9.クモ男爵     脚本 金城哲夫 監督 円谷 一 (昭和41.2.27)     円谷版ゴシックホラー物。タランチュラ登場。
10.地底超特急西へ  脚本 山浦弘靖 千束北男 監督 飯島敏宏 (昭和41.3.5)     かなりスカした笑いを取る作品。キューピーちゃんは何処へ?人工生命M1号登場。
11.バルンガ 脚本 虎見邦男 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.3.12)   内容は本当にシュールなSF。バルンガ登場。
12.鳥を見た     脚本 山田正弘 監督 中川晴之助 (昭和41.3.19)     最後はお涙頂戴になるがやっぱり泣けてくる。ラルゲユウス登場。
13.ガラダマ     脚本 金城哲夫 監督 円谷 一 (昭和41.3.26)    地球侵略のロボットを何故あんなド田舎に送り込むのか?ガラモン登場。
14.東京氷河期    脚本 山田正弘 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.4.3)     何故か東京にペギラ登場。旧零戦パイロットと一騎討ち。ペギラ再登場。
15.カネゴンの繭   脚本 山田正弘 監督 中川晴之助 (昭和41.4.10)      昔は都会も田舎と大差はなかった。カネゴン登場。
16.ガラモンの逆襲  脚本 金城哲夫 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.4.17)     ガラモン大集合!合成編集が見事。ピアノ線は気にしないように。ガラモン再登場。
17.1/8計画     脚本 金城哲夫 監督 円谷 一 (昭和41.4.24)   昔、非情のライセンスで人間を小さくするという悪魔の計画の話(最終回)が   あったがあれとはまったく無関係です。 
18.虹の卵      脚本 山田正弘 監督 飯島敏宏 (昭和41.5.1)     ウランカプセルを無防備に運ぶとはどういうことだ!パゴス登場。
19.2020年の挑戦  脚本 千束北男 監督 飯島敏宏 (昭和41.5.8)      シュールかつ美しいケムール人は完全にトラウマになってしまった。ケムール人登場。
20.海底原人ラゴン  脚本 山浦弘靖 野長瀬三摩地 大伴昌司 監督 野長瀬三摩地      黒沢利男が若い!大伴版日本沈没。ラゴン登場。 (昭和41.5.15)
21.宇宙指令M774  脚本 上原正三 監督 満田かずほ (昭和41.5.22)      話はかなり盛り込みすぎだが、ラストの余韻は何?ボスタング登場。
22.変身       脚本 北沢杏子 監督 梶田興治 (昭和41.5.29)     初期アンバランス物の優れた一本。これを見てから蝶は嫌いになった。
23.南海の怒り    脚本 金城哲夫 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.6.5)      南海パニック物。大蛸スダール登場。
24.ゴーガの像    脚本 上原正三 監督 野長瀬三摩地 (昭和41.6.12)      結局これって何だったのかサービスしすぎの一本。貝獣ゴーガ登場。
25.悪魔ッ子     脚本 北沢杏子 監督 梶田興治 (昭和41.6.19)   説明はかなり無理があるが本当に気色悪い初期作品。
26.燃えろ栄光    脚本 千束北男 監督 満田かずほ (昭和41.6.26)      怪獣の名前の由来はひょっとして・・・・ピーター登場。
27.206便消滅す   脚本 山浦弘靖 金城哲夫 監督 梶田興治 (昭和41.7.3)      妖星ゴラスといい本当に取ってつけた怪獣トドラ登場。
28.あけてくれ!   脚本 小山内美江子 監督 円谷 一   別ページに

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