つめたい春の憂鬱
男声合唱組曲 四月の顔
大手 拓次 作詞
林 宏太郎 作曲
にほひ袋をかくしてゐるやうな 春の憂欝よ、
なぜそんなに わたしのせなかをたたくのか、
うすむらさきのヒヤシンスのなかに ひそむ憂欝よ、
なぜそんなに わたしの胸をかきむしるのか、
ああ、あの好きなともだちは
わたしにそむかうとしてゐるのではないか、
たんぽぽの穂のやうにみだれてくる 春の憂欝よ、
象牙のやうな手でしなをつくる やはらかな春の憂欝よ、
わたしはくびをかしげて、おまへのするままにまかせてゐる。
つめたい春の憂欝よ、
なめらかに芽生えのうへを そよいでは消えてゆく
かなしいかなしい おとづれ。
大手拓次の幻想的な世界
むかし、20才の時に、拓次のあやしい魅力に感じて
林宏太郎さんの指揮で歌いました
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