1996年10月20日

梶 寿美子と箏アンサンブルプリマルーチェ公演
「伝統を超えて PARTU」プログラム掲載

その若さがうらやましい

倉 橋 義 雄

一生は一度だけ・・・・というふうには考えたくないですね。
  できることなら、一生のうちに2度も3度も生まれたい。
  生まれる、というのは、最初からやり直すことです。
  だから、生まれると若くなり、何度も生まれたら、どんどん若くなります。
私の人生これでよし・・・・と思ったら、そのとたんに若くなくなるのでしょうね。
  若年寄はいやですね。
  老若人を見ていたら、気持ち良くなります。
生みの苦しみがあるように、生まれることも苦しいことなのでしょう。
  私の人生こんなのいやだ・・・・とわめいたり、のたうちまわったり、
  私の力を見せてやるぞ・・・・と自信過剰になったり、
  生まれることは、たいへんなことばかりです。
それでもなお、私は、できることなら、2度も3度も生まれたいのです。
  いままでの人生をチャラにして、2度も3度も最初からやり直したいのです。
  そして、いつまでも、若くありたい。
  しかし、それは、しんどいことでしょうねえ。
梶寿美子さんは、一生のうちに何度も生まれて、複数の誕生日を持っています。
  戸籍上の誕生日、宏さんと結ばれた誕生日、ガンと出会った誕生日、
  ほかにも私が知らない誕生日がいっぱいあるのかもしれません。
  そして本日ここに、ガンを克服した誕生日です。
  どの誕生日も、しんどかったでしょうねえ。
  でも、その若さがうらやましい。
  つくづく、うらやましい。
梶寿美子さんの生まれる勇気と力を、私は、こっそりいただこうと思っています。