数あるジャズ系テナーマウスピースの中でも、何から語っていいのか分からないほどの「ド定番」マウスピースがオットリンクである。現在のものとオールドのモノは単純にひとまとめには語れないが、「スーパートーンマスターの申し子」と言っても良いのがジョンコルトレーンだろう。このマウスピースと彼の奏法でその後のテナーサウンドを「確定」してしまったのだ。彼の様々な演奏を聴いてみても分かるが、ハードなサウンドからメロウなサウンドまで意外に多彩なサウンドが出せる。50年代のソニーロリンズやデクスターゴードンも使用しており、テナー奏者で「一度も試したことが無い」という人はまずいないであろう。近年ではブランフォードマルサリスなども長らく使用していた。(現在はガーデラが多い)
テナーの命とも言えるサブトーンでは独壇場の強さを見せ、まさに「ジャズの音」とも言うべき太いサブトーンが出せる。現行の製品はバラツキが多く、同じオープニングのモノを幾つも持っている人もいるくらいだ。仕上げはゴールドメッキでパワーは結構入るようになっている。現行のリガチャーは作りがラフで納まりが悪く、ヴィンテージや他社のモノに替える人も多い。(フランソワルイ、BG、ロブナー革タイプなど)プレミアが付いているヴィンテージの変遷についてここでは多くを語らないが、ニューヨーク→フロリダ→バビット社に買収(直後)→バッビト社となっており、バビット社前期くらいまでが人気が高い。大ざっぱに言えば徐々にサウンドは明るくなって来ている。
July/2002
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