デュコフはアルトならずともテナーでも人気の高いマウスピースである。全盛期のマイケルブレッカーや使用していたため、フュージョン系のプレイヤーには今も絶大な人気を誇り「定番」となっている。作りの精度が悪く当たり外れが大きいが、良いものや「パーソナルモデル」では非常にコントローラブルに吹ける。テナーサックス自体のウォームさも手伝って、アルトよりはオールマイティに使うことが出来ると思う。
マイケルブレッカー氏はデュコフと全く同じコンセプトながら精度を上げた「デイブガーデラ」に移行していくわけだが、材質からくるウォームさと、独特なバッフル形状から発せられるピーキーなサウンドとの危ういせめぎ合いはとてもスリリングで、これはデュコフにしかない個性だろう。また、フラジオなども出しやすく、バンド系プレイヤーから好まれるゆえんである。
美貌のテナー奏者ヘレンエリクソンなどはデュコフでサブトーンをボヘボヘと吹いており(これは北欧やヨーロッパでよくある、フレンチポップなどのヴォーカルの妙にハスキーな録音と同じようなもので、アナログコンプレッサーを強くかけたものだ)ジャズにも充分対応できることが証明されている。アルミ合金を主体にした素材は柔らかく、落下=変形はまぬがれない。ややマイルドなLD,さらにマイルドなFなどが他にある。
July/2002
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