日本未発売で、なかなか目にすることのなかったピリンジャーのマウスピースであるが、今回marmaduke saxophone
accessoriesのデックス氏の御好意により試奏することができた。ビンテージのハードラバーマウスピースを意識してデザインされたモノだと思うが、吹いてみてまず感じるのは「端正さ」あまり下品にブリブリ吹くような感じではない。素材のせいかやや固さも感じる。明るい音ではないのでジャズに向いたマウスピースなのだが、ビッグサウンドよりもやや音をコンパクトにまとめたいプレイヤーに。イメージはモーガンなどの「セルマー系ジャズ」の領域かもしれない。
造りは非常に良く、フラジオなども当てやすい。筆者のような楽器を鳴らし切りたいスタイルではやや不満が残った。オープニングが少し狭すぎたのかもしれない。レコーディングを聞いてみると、吹いたイメージよりも格段にまとまりの良い音で、ジョーヘンダーソンのようなシブ目の音色になっていた。リンクラバーというよりソロイストの感じに近いかもしれない。(セルマーほどこもった感じはしないが)あるていどボリュームを押さえて演奏した方が真価が発揮できるマウスピースだと思う。ロスが無く、軽く吹けるのでテナーでジャズを演る時に「しんどさ」を感じる向きにもお勧めできる。ボックスやラベルのデザイン、本体の配色などさすが英国らしい格調の高さで、ビンテージラバーの雰囲気をつくり出している。
Apr/2005
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