ヴィンテージサウンドを追求するブランド「マーマーデューク」もようやく一般にも認知されるようになってきたような感じだ。
今回は若干現代風というか、ジャズからちょっと凶暴なプレイまで対応できるマウスピースが登場したので、試奏させていただいた。
外観に変わりはとくに無いが、内部のデザインは中くらいの高さのバッフルが長く続き、やや広めのチャンバーにつながっている。
サウンドの第一印象はラバーのベルグラーセンに近いイメージであったが、それよりもラバー独自の柔らかさもあり、泥臭さやジャジャ馬的印象と言うよりも、逆に扱いやすくサウンドにもまとまりがある印象だった。太く甘いサウンドが基本にあり、そこから暴れる方向に行けるイメージだ。とくに柔らかめのリードで吹けば、結構ジャジャ馬な感じでも吹けると思う。
基本性能も高くて、フラジオやパワフルなプレイでも心配なく吹きまくることができる。筆者手持ちのヴァンドレンJAVAマウスピースあたりと比較すると、ラバー素材事体の音色も非常に落ち着きがあり、早いフレイズでも追従性が良く、一音一音の分離がいい。フラジオの安定性も優れている。
近年ちょいブームというか、ラバーの柔らかさを残しつつ、フュージョン系のハイトーンまで対応できる(最近のボブ・ミンツァーやミシェルカミロでお馴染みのラルフ・ボウエンなど)。「ラバーでブレッカー」みたいなサウンドにも対応できるだろう。
アコースティックでも十分な倍音とサブトーンで雰囲気のあるジャズサウンドに問題なく対応できるし、ヘビーなロックなどでなければエレクトリック環境でも十分通る音だと思う。かなりビッグサウンドが出せるので、あくまでラバーでジャズサウンドを元にしながら広く音楽に対応したいプレイヤーにはもってこいだろう。
泥臭さもラバーにしてはそれほど濃くないので、フュージョン的な演奏にもマッチすると思う。
さて、スタジオで試してみた。
エレキギターがギャンギャンのフュージョン系バンドだが、マイクののりも良く、音質もラバーのネッチリした太さを保ちつつ、低音からフラジオまで良く抜ける。エレクトリックでも抜けるサウンドのラバーも他にないではないが、マイクを通した音でもあくまでラバーっぽさをしっかり持っているというのがミソだろう。スタジオでは周りの音も大きいので、力が入ってしまいがちだが、そんな時のハイパワーのフラジオでも裏返ったり、詰まったりせず、実に高性能な仕上がりだ。生音も聞き取りやすく、バンドで使ってもパワー不足やストレスは感じない。
筆者がこのマウスピースを使ってみたいシチュエーションだが、活動中のバンドでエレクトリック〜アコースティックどちらもあり、でジャズからロック、ファンクのホーンセクションまでなんでもある女性Voのバンドがあるのだが、そういう所で使ってみたい。マイクは使うが、比較的狭めのハコでの演奏なので、アコースティック的演奏での音色の良さが生きてくるだろうと思う。
難点と言えるかわからないが、筆者の楽器だとほとんどマウスピースをぎりぎり抜ける手前まで抜かないと音程が高く、チューニングが合わなかった。シャンクがやや短いのかもしれない。コルクを巻きなおせば問題ないのだが。
パワープレイ派だけどラバーの音色にこだわりを持つ人にぜひ使ってみて欲しい。
2013/09
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