以前アルトのマーマデュークオリジナルを吹かせていただいたが、非常にいい出来だったという印象が強い。その上テナー奏者のデックスさん監修だけに、テナー版には非常に大きな期待がかかるというものだ。
デザインは非常にオーソドックスなラバーのデザインで、バレルにうっすらと「Marmaduke」の刻印が、スラント(斜め)に刻まれている。あっけないくらい非常にシンプルな外観である。
筆者はテナーではほとんどメタルを使用するし、ラバーだとソフトな音が欲しい時にたま〜に現行リンクのものを使うくらいだ。よってあまり善し悪しを判別する基準には乏しいのだが、あれこれ吹いてみた印象を書いてみる。
まずこのマウスピースはまず非常に吹きやすい。あまり言いたくない言い回しなのだが、本当にストレスなく吹ける。いいビンテージマウスピースは吹き始めは抵抗感なく、吹きやすいのだが、パワーを入れて行っても詰まる事無く、(ボリュームがどんどん大きくなる訳でもなく)音色のスピード感や凝縮感が出てくるものだが、そういう感覚で気持ちよく吹ける。
全体の音色はダークでソフトだが、リンクよりも分離よくフレイズの一音一音が聞こえてくる。パワフルさもちょうどいい加減で、近年のアメリカンラバーに比べると、コンパクトで日本人にも鳴らしやすい。
柔らかくもスピード感ある音色でビバップにはまさにうってつけのマウスピースと言えるだろう。2〜3管のアンサンブルにも良さそうだ。
音の太さは極太ではないが、Jody Jazzの感じにも近いが、より表現力が広くバランスのいいジャズサウンドだ。
ファンキーに吹いた時のヌケも、ラバーにしてはとてもいい。外見はそっけないが、絶妙にチューニングされた「コダワリ」の感じられるマウスピースだ。
Oct/2010
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