ガーデラは咽をいためたブレッカーの為に、どんどん「ラクチン」な方向に進化していっているのだが、そのせいでデュコフのような太くて、パワフルなサウンドは失われていく方向にあった。(もちろんパワフルなタイプのガーデラも存在はするが)
キレイにまとめるよりも、まずはできる限りパワフルに吹きたい筆者としては、ガーデラがあまりフィットせず、ピーターポンゾールのM2プラスをメインとして使うようになっていた。ゴリゴリ感の強いポンゾールはロックには良かったが、フュージョンみたいなサウンドの幅の広い音楽には、ちょっと荒すぎると感じる場面もあった。
そこでSAXZのエンパイアなのだが、しっかりとした吹き答えがあって、「軽く吹いて意外にサウンドがまとまる」類いのマウスピースではなく、しっかり息を入れて、自分らしい「鳴り」を引き出す事のできる「付き合いがいのある道具」と言えよう。こういう道具と語り合う事ができるのも、プレイヤーとしての大きな楽しみの一つだと思う。
独自の素材も落ち着いた鳴り方に貢献していて、非常に良い。この辺が微妙な所で、鳴り過ぎる素材だとハイバッフルはただのうるさいマウスピースになってしまう事が多いのだが、うるさくなく、かといってマイルド過ぎない良いあんばいでまとまっている。軟らかめの素材なので、リガチャーなどでキズは付きやすい。
初心者の方に勧められるか?というのは微妙な部分もあるが、初心者でいきなりデュコフを吹けた人を何人も知っているので、それに比べれば全然使いやすいと思う。
ただ、メタルと言うのが一つのハードルで、もう一つのハードルがハイバッフルと言えるので、やみくもにお薦めすることは出来ないのだが、早いうちにこういう高性能の「キチンと」作られたメタルマウスピースにトライするのも「アリ」だと思う。
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