CG Conn New Wonder 1(U.S.A)
2010年購入。シリアルNo.からすると1919年(大正8年)製だ、考えるとオトロシイ・・・
第一次世界大戦が終わった翌年で、アメリカでは禁酒法が制定され、
ますますモグリ酒場、マフィア、ジャズ・・・という雰囲気に入っていく時代。。。。
そのころジャズはまだニューオリンズジャズとか、ディキシーランドジャズなんかが流行ってた頃で、
ビバップはまだ影も形もアリマセヌ。
それどころかチャーリーパーカーも生まれとらんワケです。
(もちろんその後パーカーも吹いた写真が残っておりますが)
なぜこの楽器を買っちゃったのか、と申しますと・・・
ここ最近、筆者は25年以上使ったMk6の予備又は代用となるアルトを探し続けておりました。
アメセルMk6、リファレンス、キャノンボール、カイルベルスシャドウ、セルマーシリーズ3シルバー
あたりが候補として残り(予算は無視してデスヨ!)
「でもまぁそんなに急ぐ事もないか・・・」という状況でありました。
アコースティックのライブで久々にCONN 6Mを使ったりしていたのですが、これがなかなか良く、
「やっぱりCONNはいいわい!」と再認識しておりました。
ただ、あんまり現代的なサウンドにはマッチしにくい場合もあるな。とも感じておりました。
そんなおり、まったく偶然に楽器屋さんに入荷していたこのアルトに出会ったのです。
ゴールドプレイトが美しく、現代では考えられない手のかかった仕上げ。
コーンお得意のチューニングデバイスは付いて無く、トーンホールもロールドタイプではない。
シンプルな仕様が気に入ったのと、古さを感じさせない状態の良さがあったので、
どれどれ?と吹いてみた所、「ん!?」
今までのCONN6Mの「甘い」「太い」「柔らかい」イメージとはなんだか違い、
「柔らかい」んだけど「パワフル」で、
「甘い」音もでるけれど、かなり「ハード」な音も出せ、
「音の太さ」はより太い感じ。
6Mが「ヴィンテージの音」だとしたら、New Wonderは「現代的な音」に聞こえたのです。
前オーナーかはたまた前々オーナーのしつけが良かったのか、
音程はピッタリハマるし、フラジオも太く完璧に鳴る楽器に仕上がっておりました。
ゴールドプレイトというのもパワーを受け止める要因だったかもしれません。
それでも、自分の頭の中の先入観を総動員させて、
「良い音といったってこんな古い楽器、エレクトリックのバンドじゃ使えないぞ!」
とか「録音で聞いたら音程が悪いんじゃないか?」
「メタルのハイパワーマウスピースは使えないからダメだ」
・・・などなどネガティブな情報を総動員して、一度は買うことを踏み止まったのです。
後日、ウチの奥サンを連れて、音を聞いてもらった所、
筆者のイメージにピッタリな音がする、らしく・・・
録音を聞いてもやはり素晴らしかったので、
このCONNはめでたく我が家へ来る事になったのでした。
吹きくらべると、6Mのほうがやはりビンテージっぽいスゥィートな鳴りで、スゴイいい雰囲気なのに対して、
New Wonderは「意のままに吹ける道具」というイメージ。
もちろん軽く鳴るのだが、いくら息を吹き込んでも詰まることなく吹ききれてしまう。
筆者のMk6よりも高音でのヌケがいい。
もちろんキーアクションは全体に重く、かなりがんばらないといけないけれど、
それをおしても使いたいと思わせる吹き答えでありました。
家に持ってかえって、眺めていると自然と笑みがもれます。
我が家初のゴールドプレイトですが、現代の金メッキとは色が違って落ち着きがあり、
キーの手作り感や彫刻のタッチの素晴らしさに心を奪われます。
筆者の6Mが音色のみで選んだ、状態の良いとは言えない外観だっただけに、
古くても状態の良いこの楽器はなんとも言えない気品に溢れてます。
まだ数回ライブで使用しただけですが、なんとハイバッフルのLASaxメタルを付けて吹いております!
ふだん使うのは相性バッチリのトナレックスなんだけど、LASaxでのキレのある大音量も余裕で受け止めることができる。スゴイ!
心の中ではサウンドが一番合わないだろうと思ってたバンドで使えたんで、
ひょっとしたら「コレはメインアルトにできるかもしれない!」と思ったのでアリマス。
6Mみたいなダブルソケット、アンダースラングもいいけれど、
このシンプルなネックも非常に好みのデザインです。
ネックだけでなく、キーデザインなどのディティールはコーンのオリジナルデザインというよりも、
サックスの起源である、アドルフサックスのディティールを色濃く受け継いでいる。と言えましょう。
逆に言えばCONNのオリジナリティが完成されたのが、6Mからと言えるのかもしれません。
これから、この楽器に筆者を「育てて」もらおうと思ってます。
2011/8月 購入
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