WEBで公募したところオフで唯一の顔見知り(笑)「ら」さんより貸していただくこととなりました。感謝感謝・・・・・。さて、実際手にしたSAXWORKSだが、その造りの良さは当然デュコフの比ではなく、ガーデラのハンドメイドのレベルと同様に見える。デュコフとの比較は別ページで詳しく述べるとして、吹いてみた印象だが、思ったよりマイルドな音色の様に感じるが、リードが乱れる事なく振動するせいか、ピアニシモからコントロールしやすく、デュコフなどにありがちな、高音部で妙に音量が大きくなることもなく、絞り出すようなサンボーンの「苦しそうなシャウト」が演出できる。これだけハイバッフルのメタルなのに、狭いハコで1.5m前の客にベルを向けて吹いても耳障りで硬質な音にならないのは驚異的。コントロールは全域でしやすく、ラバーのマウスピースを吹いてるような錯角に陥ることさえあった。実際のボリュームやパワーの限界はポンゾールやデュコフなどよりやや低く、大音量のバンドの中では無理をすると、あまりいいサウンドにならないと思う。吹きやすいマウスピースであることはデュコフの何倍もすばらしいのだが、いかんせん小音量でもすぐ鳴りきってしまう。しかも限界はデュコフより低いので、ある程度音量を均一化して、音を揃えていく必要がある。ライブなんかで、我を失ってブロウしても決して良い音にはならないばかりか、高音では詰まって音が出ない状況に陥る。サブトーンは鳴りやすさの反面出しにくい。全般に「音が揃う」ぶん平坦な演奏になるのに注意しなければいけない。高音部で耳障りになりがちなハイバッフルの音質を絶妙にマイルドにコントロール出来ているのはこのマウスピースの最大の美点だと思う。サンボーンのCDを聞いてるとあんなにブロウしてるのにちっとも耳障りじゃない。ああいう風に演奏するには適してるマウスピースだ。独特なリガチャーはリードを変えるのがジャマくさくてちょっとイヤなのだが、ハリソンなどと付け替えてみてもハリソンがショボく感じるほどの良いリガチャーだ。たくさん付けてもそんなに振動が死ぬ事はないので、キャンディーのように全部付け、も充分アリだと思う。リードは結構選ぶほうで、ステージでリードの不調に気づいてもリガチャーのセッティングによっては交換が大変面倒なので、ちょっと不便かな?プロがあまり使って無いのは、あまりにもサンボーンのスタイル向けすぎるということか?・・・・・もはや生産終了しており全世界中で大変なプレミアムとして扱われている。10万円前後という大変な中古価格が普通についたりもする。いいマウスピースだが、適正価格でないものにワタシの食指は動かない。オープニングはD8相当だが、反応やダイナミクスはD6くらいの感覚なので、ちょっと狭いな、という感じがするのもマイナス要因だ。
SAXWORKSとかガーデラを見ていると、エッジの細いマウスピースを完璧に仕上げて吹き易くすることに価値はもちろん見出せるが、演奏の表現に直接プラスになるかはまた、違った問題なのだと思ってしまう。デュコフのような「氷の上を歩くような」サウンドも魅力に感じることがあるからだ。
(2004年3月)
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