1980年代に小ブームで広まったものの、最近はあまり見なくなったウォルフタイン。正式輸入はここ何年かされてないようだ。イメージ的にはデュコフよりも大人しく、「今ドキ」(当時)の、細めのサウンドだ。ビーチラーの登場とともにその役割を追われ、姿を消した感があるが、JJバビット社により、アメリカでは現在も生産されている。80年代にはスタジオ系のフュージョンプレーヤーが結構使用していたようだ。超有名プレーヤーのイメージがないのでなんとなくマイナーなマウスピースと思ってしまう。
素材はブラスでニッケル系のメッキのようだ。ラニヨンなどと同じく、おとなしめの鳴りのマテリアルである。全体のシェイプもだが、少しテーパーのかかったシャンクのエンドなどはラニヨンによく似ている。
写真のリガチャーはオリジナルかどうか不明。オットリンク式でよくできたものだ。70年代によく見かけた。
サウンドは全体的には細目のイメージだが、キンキンしたところがなく、ヤナギサワメタルよりマイルドで、ジャズにも十分使える。バッフルが低いせいもあるのだろうが、雑味のわりとあるベルグラーセン的なサウンドもあり、R&Bなどで必要とされる「いなたさ」「モッサリ感」みたいなものが出しやすい。
まあ、ヌケの良い現代的なサウンドではないが、オットリンクのように「どジャズ」でもなく、オールマイティに使えて、ラバーのようにコントロールしやすく、ある程度スピード感のある演奏もできることが、現代でもアメリカで生産され、人気を得ている理由なのだろう。(70年代スタジオ系のサウンドを思い起こさせる)
筆者的には当初あまり期待して無かったが、非常にマッチしたためしばらく使ってみる事に決定。
2001/12/2
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