さて、息を吹き込んでみると、意外なほどすんなりと鳴ってくれる。どういう吹き方をしてもクセがあるわけではなく、きちんと対応してくれる、失礼ながら非常に「ちゃんとした」マウスピースなのである。音色は全体的にはマイヤーよりはやや明るく、トナレックスくらいの印象である。息を多く吹き込むと独特の金属的な響きがあり、メタル的な印象も見せる。ただ、全体にダークでウォームさもあるので、耳うるさい印象はあまり無い。
近年はラバーとメタルの「ハイブリッド」なマウスピースも増えてきたが、このマウスピースも素材は一つながら、音色の「ハイブリッド」に成功している。しかも単一素材のおかげか、急に切り替わるような乱暴さはなく、自分の感覚で微妙に音色の変化を楽しむことが出来る。
ビバップ〜多少エレクトリックが入ったサウンドにもマッチするだろう。
それにしても、メタルも落とすと変形するし、ラバーも落としたりぶつけたりするとヤバイのだが、こと「セトモノ」の落下や衝撃はなんだか「恐怖心」まで感じるのはなぜだろう?摩耗には強いが、衝撃には弱いという事を肝に銘じて、大切に保管しないといけないマウスピースだ。
<2010年8月>
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